2018年1月21日に第16回きび漢方懇話会 於岡山コンベンションセンター に出席し、勉強して参りました。

2018年1月21日に第16回きび漢方懇話会 於岡山コンベンションセンター に出席し、勉強して参りました。
以下の内容はあくまで聴講メモですので、間違いがあっても責任はもてませんのでご了承ください。

タイトル:不妊の漢方治療② 

講師 邸紅梅先生(中医師、桑楡堂薬局)

今回の講演内容の要旨は、不妊となる要因に内膜の厚さ、硬さ、子宮の血流の阻害(胞宮瘀阻)などが重要な要因であること、それらの漢方薬による治療方法についてです。

内膜の厚さが薄いと着床しない

 月経量の減少

 内膜の薄さ

 排卵直前で内膜を測定する。最低10mm以上の厚さが必要である。

 体外受精しているので、当初から内膜が薄い・・・最近の不妊治療医師では技術者と化して、内膜の厚さを全く考慮しないものが多く嘆かわしい。

妊娠を考慮する場合、45歳をすぎるどんなに若々しくても中身は老化しているので、必ず加齢を意識して補腎が重要である。日本は植物性の補腎薬しかないが(地黄丸類)、中国では動物性もある(亀など)。

腎陰虚となると、陽気が上昇してしまい、FSHが上昇することが知られている。FSHが上昇すると卵の質も低下する。

日本人は世界一長寿で見た目も若々しいにもかかわらず、中国系の女性と比し不妊治療の結果が出しにくいと、演者は感じている。その理由を考えた場合、日本人は腎精(腎陰)はあるが、精から気に転換する能力が少ない。活動性のある部分の「気」すなわち腎気が衰えているので、腎気を衰えさせないのが重要である。

成形陰精・・・日本人は形のある精はあるが、腎気が少ない。→なので不妊治療が成功しにくい。

心血虚に注意することも重要。

 どんなに補血しても心血虚があると不安で落ち着かず眠れない、血を消耗する。日本人は自己評価が低く自信がない、これは心血虚が関与している。なので加味帰脾湯などを投与する。

 肝血虚も女性はなりやすい。

内膜の硬さ(邱先生の表現)

胞宮瘀阻 :胞宮は瘀血によって阻害されている。

によって、子宮内膜がたとえ厚くても内膜の血流が少ない。

日本人女性は瘀血を形成する素地がおおい。

 瘀血の場合、月経痛は初日から、激痛・絞痛。米粒大以上のサイズの塊の月経血がある。最近のナプキンは高性能なので血塊も沈殿するが、裏をみると沈殿が認められる。

 血塊が大きく、痛みが強く、色が濃いほど胞宮瘀阻がつよい。・・・ロキソニンをどれくらい使うかとかも聞く。

 内膜症はダグラス窩の癒着のために、性交痛が多い。

 排卵が近くなると、排便痛(肛門の奥が痛くなる)

子宮筋腫は小さいと西洋医学では着床に邪魔しないからよい、といわれるが、小さくても多発している場合は瘀血を改善させるのに薬量も必要である。

人工中絶や子宮手術の既往があると、瘀血となりやすいので十分な問診をすべき。

卵管・子宮腔の癒着は、内視鏡検査しないとわからない。

日本人の女性では、月経が来そうでこない、茶色っぽいのが少量2−3日つづいてから本格的にくる、あるいは終わりそうで終わらない、いつまでナプキン必要、みたいなこともある。いずれも瘀血である。

41分:胞宮瘀阻があると、まず着床しない。月経痛、頭痛、肩こり、冷え性を合併しやすい。

また胞宮瘀阻のあるものは、卵巣にいく血流が低下し質のよい卵子をつくれない可能性がある(卵子が兵糧攻めにあっている感じ)

もし、胞宮瘀阻があったら、怖がらずに活血化瘀しないといけない。たとえ妊娠していても、である。

有致無損 (到る原因があるゆえに、損傷を与えない。)

瘀血の発生原因をきちんと鑑別すべきである。

実証では、寒凝、気滞、血熱

血熱のものは、月経不順・過多や月経痛はもとより、月経前に肌があれやすく、温性の強い活血剤だとのぼせたりする。アトピーの体質もあり肌が赤くなりやすい。

虚証では、血虚(陰虚)、気虚、腎虚

 血虚が瘀血の原因になったかどうか、気虚は瘀血の原因になったかどうか、腎虚は瘀血の原因になったかどうか、と考えていただくことが必要。

瘀血の原因は圧倒的に実証が多い。

治療

ファーストチョイスは芎帰調血飲第一加減。保険適応ではない。

第二選択は桂枝茯苓丸、ただし第一加減の半分位の力しかないので、他の活血化瘀剤と合方することも考慮する。

そのためには、各生薬の処方量を認識しておく必要がある。桂枝茯苓丸は甘草が入っていないので使いやすい。

第三選択は、少々きついが(仕方なく保険医療の範囲で)通導散 

ダグラス窩や腸周囲に癒着があり排卵あたりから月経中に排便痛になりやすく、瘀血も便秘しやすいので適する。

さらに活血化瘀の力を足すために、養生の中で使えるものを覚えることが役立つ。

 紅花 ・・・とても軽い、虫がつきやすい

 サンザシ山査子(生のもの、炒っているものはだめ)・・・優れた活血作用あり。新鮮なものはそのままお茶にしてもよい、酸っぱい。

 田七人参・・・癒着中心の症状に使いやすい。

 延胡索エンゴサク(活血理気):延胡索はモルヒネの半分の鎮痛作用、安中作用(胃を保護)もつよい。安中散をつかってもよい。痛みがつよい症状に使いやすい。

(前半で休憩)

(後半)

瘀血・血瘀

活血の薬の使用方法:怖がらずに使う

もし活血→大出血 が心配なら月経期間外に活血してみる。月経中には誰でも気血を虚するので、補気補血をする。

いままでは活血は禁忌とされるが、妊娠していても瘀血があるときは活血すべきであると患者に伝える。嫌がるひとはそのまま経過をみるが、大概は妊娠失敗する。

瘀血の原因として寒凝はとくに重要。日本人女性は寒凝が多い、例えば月経中とそれ以外とを区別せず、月経中も冷たいものを飲む、日本料理は冷たくても美味しいものがおおいので冷えやすい。(中華料理は冷えるとまずい。)

お弁当は必ず温めて食べる。→冷えないように、日常生活から注意すべきである。中国人は教養のあるひとは養生する、養生しないのは教養がないと思われる、食養生も日常から普通に行われる。

中国では身をまず修める、次に家、次に国、身を修められないものは国を治められない、と言われており、養生をしらないものは教養が低いと評価され、よい家と結婚もできないことになる。

温経暖宮 : 経絡を温める、子宮を暖める

 温めるものとして、附子:医師なら5gくらいまでは単味処方できる。薬局なら附子の入った方剤を合方して加える。真武湯など。演者は当帰芍薬散に附子の入ったものを使っている。

日本では附子は劇薬であり使いにくいが、たとえ10gの附子を飲んだって自殺はできませんよ、と。

12分:桂皮末、桂枝末、桂枝の刻みなどはとても使いやすいので単味を放り込むのもよい。

処方として温めるのは、安中散があり、面白い薬である。芎帰調血飲第一加減に加えることもよく行う。安中散末は、保険は使えないが少量で効くし、香りものこっており理気作用もある。

桂皮のスティックと茴香(ういきょう)で温温茶をつくって飲むのがおすすめ。温温茶で処方薬を一緒に服用するなどもよい。茴香はちょっと傷をつけてから使うと成分がよく抽出される。

気滞 →瘀血

医師は肝気鬱結は見つけにくい。なぜなら、医師の前では大人しくしているから。一方薬局では見つかり安い。

月経前などにイライラしている。

治療: 逍遙散、加味逍遥散

日本女性は脾胃気滞(中焦の気滞)を起こしやすい。月経前にイライラよりも胃が痛くなって食べられないことがある。

治療: 香蘇散: 疏肝、理気、中焦の気の上下の気を整える。

排卵から月経までの間に腸管ガス、下腹部の張りなど強い人がいる・・・かなり強い腸の気滞である。香蘇散では効かないことが多い。

治療: 九味檳榔湯(疏肝、理気、降気、の作用が非常につよい)

※日本は中国よりもかなり女性は働きにくい、上司や同僚のせいで肝鬱になりやすい。日本では気が弱いままで上司・管理職になってしまうこともあり、それも肝鬱になりやすい。日本女性はどっちか捨てることができない、美人でありたい、仕事もしたい、よい奥さんでいたい、子育てもしたい、家事もしないと、みたいな感じで無理をする。

血熱 →瘀血

もともと肌の弱い人が多い。アトピーもっているなど。

舌はダークレッド、肌荒れ、皮膚が弱い。温性の多い活血剤だとのぼせたりする。

治療: 

腸癰湯(シンプルで使いやすい、薏苡仁9、冬瓜子6、桃仁5、牡丹皮4):大黄牡丹皮湯から大黄・芒硝を取ったもの

 婦人科にも皮膚科にも使いやすく、加味逍遥散と組み合わせても使える。

大黄牡丹皮湯(ちょっと強い)

清営湯

腸癰湯はケイレイカン?と併せて活血を強めるなどできる。

腸癰湯は薏苡仁が9g/日も含まれているので、肌にもよい。

血虚 →瘀血

妊娠したい女性は血はいくらあっても足りないくらいである。

治療: 芎帰膠艾湯キュウキキョウガイトウ  :四物湯+阿膠+艾葉+甘草

 保険外なら婦人宝(コタロー);四物湯+人参+黄耆+阿膠+甘草

心血虚になる人は集中力がない。例えば財布をどこで忘れたかも覚えていなくジタバタシている人。

 → 人参養栄湯や加味帰脾湯

特に月経で出血量が多い方には、月経中に補血・養血、月経期間外で活血をするとよい。

日本女性は肉が苦手な方が多く、肉(赤色)が足りない。そのような人には棗をしっかり食べるように。

棗の赤ワイン漬け ・・・瓶に棗を一杯いれて、隙間をワインで埋めて2日間。その後ワインを抜く。妊娠中にも属する。

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