2018年2月8日に、第50回備後血液疾患研究会 於福山ニューキャッスルホテル に出席し、血液悪性疾患治療における最近の進歩について学びました。

2018年2月8日に、第50回備後血液疾患研究会 於福山ニューキャッスルホテル に出席し、血液悪性疾患治療における最近の進歩について学びました。

以下の内容はあくまで聴講メモですので、間違いがあっても責任はもてませんのでご了承ください。

血液悪性疾患治療における最近の進歩

岡山大学医学部 血液腫瘍・呼吸器アレルギー内科教授 前田嘉信先生

・白血病は最近は2人に1人が助かる時代となった。
・白血病は細胞の分化のストップと際限のない増殖が原因である。
従来の抗癌剤は際限のないがん細胞増殖をターゲットにするので、分裂中の正常細胞にも効いてしまい、苦痛な副作用も生じる(嘔気、脱毛、貧血などなど)。
白血病はほぼすべての患者に遺伝子異常がみつかることがわかっている。
FLT3遺伝子異常は37%の白血病に認めるので現在分子標的治療の開発が進んでいる。
・分子標的薬として最初に開発されたのは、APL(M3)に対するATRA(all-trans retinoic acid)である。APLはPML-RARA融合遺伝子;反復性染色体異常t(15;17)(q22;q12)の遺伝子異常があり細胞分化がストップするが、ATRA投与により腫瘍細胞が分化誘導されほぼ寛解する。現在は9割治癒する。
・分子標的治療において、癌の増殖を止める治療として最も成功した例は慢性骨髄性白血病CMLである。染色体9番と22番の一部が融合遺伝子を形成し、異常なタンパク質であるBCR-ABLを合成するが、イマチニブが奏功しほぼ寛解する。 現在は分子遺伝学的寛解を目指す。
・免疫療法も大きな柱である。
ガン細胞の目印のタンパク質を狙う。
正常B細胞(CD20を発現)→がん化→癌でもCD20発現しているのでCD20抗体リツキサンを投与し有効。正常のB細胞も消滅するが、人間はB細胞はなくてもいきていける。
・抗CD20抗体に放射性同位元素をくっつけて腫瘍細胞を叩く。(例:90Yttrium)
抗CD20抗体に抗がん剤をつけて運び屋として使う方法もある。
・最近は免疫を更に強化する方法が開発されている。
免疫の抑制機構を低下させる →免疫が強化される。
正常T細胞にPD-1が発現しておりPD-L1を発現する正常組織・細胞を攻撃しない(免疫寛容)。がん細胞はPD-L1を発現しT細胞の攻撃を逃れる。
抗PD-1抗体を使うと攻撃から逃れられず、抗腫瘍効果がでる。(免疫チェックポイント阻害剤)
・抗PD-1抗体:再発難治ホジキンリンパ腫 に9割有効 LANCET ONCOLOGY2016
・免疫療法としてもっとも直接的な癌細胞への攻撃を強化する方法。
免疫システムとして最も強力な細胞はT細胞である。このT細胞に癌を攻撃させるのが効率的である。
BiTE抗体 CD3とCD19を背中合わせに繋いだ抗体である。
 特にB細胞系の細胞表面に発現するCD19及びT細胞表面に発現するCD3と結合するので、B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)にBiTE抗体が結合することで、T細胞が白血病細胞を攻撃できる。
CAR-T細胞 自己のT細胞に遺伝子操作しB細胞を直接攻撃するようにした。・・・再発難治ALLに対して8割が寛解する。(LANCET2015)
高額な医療費が問題となっている。47万ドル、日本円だと3000から4000万円程度になると考えられている。アメリカでは25歳までのしかも2回再発した症例しか使用できないとされている。
・究極の免疫療法は、同種造血幹細胞移植である。
免疫システムそのものをそっくり入れ替える。
入ってきたドナー細胞が白血病細胞を叩いてくれるが、急性GVHDが起こる。
・染色体異常が予後に与える影響
 異常が分かれば、予後が正確に予測される。
・抗腫瘍効果GVLとGVHD
 ドナーT細胞は白血細胞も正常組織も攻撃する
・GVHDとGVLの病態を考える
 perforin やFasLがないマウスを作ればGVHDが起きないのではないか、と演者は考えたが、
 → 実際にはサイトカインが大量にでて死亡する。これらの分子が一旦起きた活性化を再び抑制するためにも使われる。
Teshimaらは同種抗原のないマウスで実験したが、急性GVHDは発生した。→サイトカイン単独でGVHDが起きることが判明した。
演者はがん抗原発現、同種抗原なしのマウスで移植実験したが抗腫瘍効果がなくなった。
がんにはCTLが重要で、急性GVHDにはサイトカインが重要であることがわかった。
→ サイトカインは抑制し、CTL活性は増強すべきである。
29分・慢性GVHD
TH17細胞は自己免疫疾患を発現するリンパ球であることが判明している
 ・・・演者は慢性GVHDの原因ではないかと考えた。
慢性GVHDマウスモデル
慢性GVHD発症時にTh1/Th2/Th17が多数いる
Syngenic マウスではTh17→Th1のように推移するが
Allogenic ではTh1 + 遅れてTh17が上昇し維持される。
ドナーにINFガンマKOしたマウス、IL-17をKOしたマウスでは、急性GVHDは起こらなかった。
つまりINFガンマとIL-17がcGVHDを起こす。
レチノイン酸がこの減少を抑える
35分・人でのGVHD病変においてIL-17は多数関与している
TK02(医師主導型臨床試験): IL-17を抑制すると皮膚の硬化が消失 口腔潰瘍 有害事象なくPSLの大幅な減量に成功した。
ただし18例中5例に血栓症が発症、Dダイマー上昇する 29%が起こるので現在原因検索中である。

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