2017年11月17日18日に、第27回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会に出席し学会発表、並びに再診の知見を学んできました。

2017年11月17日18日に、第27回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会に出席し学会発表、並びに再診の知見を学んできました。
発表は慢性呼吸不全患者の療養日誌の重要性についてです。

以下の内容はあくまで聴講メモですので、間違いがあっても責任はもてませんのでご了承ください。

シンポジウム1 誤嚥をめぐる課題への新しいアプローチ

司会 森由弘先生 田山二朗先生

高齢者内視鏡検査から嚥下内視鏡でわかる誤嚥の病態とそれにもとづく指導

藤谷順子先生

殆どのひとは食形態と食べ方の組み合わせで再発防止が可能である。
患者に食事の誤嚥要因を理解してもらうために嚥下内視鏡を用いる。
併せて栄養・喀出の指導も重要である。

・高齢者の嚥下障害患者の特徴は
誤嚥の自覚なし。
嚥下障害を認めたくない
栄養状態は低いことがしばしばある。
サービスはあまり使っていないこともある。
・嚥下内視鏡の結果を指導に活かすためには以下のようなことを注意しておく。
1.検査前から予習 2.検査目的の確認・食種の用意 3.入室時から観察
4.咀嚼もできるだけ診る
5.交互嚥下など

・症例 食後の咳
嚥下内視鏡による観察では、喉頭蓋の前に咀嚼した食物がたまっていた。
観察結果から判明したこと:柔らかい食事が必要だったのではなくて、付着性の食物素材が問題だった。
高カロリーゼリーは結構粘稠度の高い商品であるので注意が必要である。

外科的治療 誤嚥防止術 (声門閉鎖術)

鹿野真人先生

・発声機能を犠牲にして、誤嚥を防止する最終手段である。
誤嚥防止術の適応疾患は、
 脳血管障害 神経変性疾患
超高齢化社会においては、心不全、呼吸不全、認知症、大腿骨頸部骨折、悪性腫瘍なども適応となりうる。
術後は気管カニューレ不要、吸痰の必要性が激減することが最大のメリットである。

・在宅介護は可能なのか
 独居、老老介護、介護失職
 介護施設では気管切開は入所拒否の理由になるが、誤嚥防止術なら問題なし。
 経口摂取を長期禁止されている患者→摂食可能となり、しかも食形態を選ばない!(誤嚥しないから)
・手術における高齢者の問題
低栄養、喉頭低位、肥満で首が短い →手術がむずかしい。
・そこで、演者はどんな身体状況でもできる手術術式を考案した。
207例中90%が気管カニューレフリーとなった。
夜間吸痰回数3−8回 → 1回 と激減。

※ 音声リハビリテーション

 完璧ではなくても電気声門 で喋れる
痰咳が減少すると、意欲が向上する。家族の負担が激減する。誤嚥の心配がなくなる。

とりあえず禁食 から一歩前進のエビデンス

愛知医科大学 前田圭介先生

大腿骨頸部骨折術後の 34%
誤嚥性肺炎後の41%に嚥下機能悪化する。
禁食されたサルコペニアの○%に嚥下障害

・一般的な医師は何を診て何をしているのか?
ガイドラインに則った治療
加えて、「禁食」する。 点滴(輸液)、床上安静を指示するが、点滴は200−400カロリーしかない事も多い。
・66000例以上の誤嚥性肺炎を検討した報告では、入院1ヶ月後に43%が3食の経口摂取ができていなかった。
つまり肺炎治療後の嚥下機能の低下が持続しているということである。
禁食すると唾液減少→口腔乾燥・口腔内の細菌叢が変化し細菌数増加する。→口腔内クリアランス低下する。 
・とりあえず禁食は誤嚥性肺炎の生命予後を悪化させる。
・誤嚥性肺炎患者はもともと低栄養が多い、ここに禁食をすると入院日数が長くなることが報告されている。
・治療開始2日以内に経口摂取を開始した群と3日以上で開始群では、3日以上の群で経管栄養のまま退院が多くなり、入院日数も延長することが報告されている。
・演者らの研究では、誤嚥性肺炎患者にとりあえず禁食した群とできるだけ経口摂取をすすめた群では、毎日の摂取エネルギーが禁食群で非常に低く、治療日数の延長とも相関していたという。
・誤嚥性肺炎患者とその他の疾患で入院した患者を年齢で調整して比較した場合、ADLが非常に低い・低活動であることが判明した。ベッド上安静や禁食は悪影響を与えると考えられる。
・早期離床は誤嚥性肺炎患者の死亡率を下げる。
・日中起床のすすめ
 臥位に比較し30°起こすと首の重みが半分かかる、60°ならほぼ立位なみの重みがかかるので、首の筋力低下を防ぎ嚥下機能低下の抑制にもつながる。また、首のみならず、起床により全身の筋肉が活動するのでADL低下を抑制する。
・誤嚥は健常人でも普段から多くのひとにみられる。
VFで誤嚥なしと判定した方でも次の食事で30%は誤嚥した。
 健常成人でも2日間の夜間睡眠で50%誤嚥している。
さらに、誤嚥性肺炎の患者で嚥下障害の程度を調べた研究では、必ずしも嚥下障害の程度が誤嚥性肺炎の発症率とは相関しないことが判明した。→食べ続けることは、誤嚥性肺炎予防の一つの方法である。
・禁食患者は肺炎発症リスクも予後も悪化する。
・誤嚥性肺炎の治療には、短絡的な禁食ではなく
 嚥下機能の低下している方に安全に食べもらう工夫
 ADL・栄養の支援、食べるための口づくり、
など、多面的な視点が必要である。

在宅における取り組み

在宅で経口摂取をつつけるためには 西山耕一郎先生

・嚥下障害はcommon disease でさけて通れない。
・誤嚥の原因は神経筋疾患、筋力低下
・一般的には嚥下時に喉仏が上がって下がるのに0.5秒以内であるが、嚥下機能低下している症例では
ゆっくりと上下する(時間がかかる)
・誤嚥の原因3つ
食物誤嚥
唾液誤嚥 体力低下のICU症例など多いはず
・誤嚥の評価に、 兵頭スコア というものがある。
 外来でも簡便に行える嚥下内視鏡検査スコア評価基準を作成し, その臨床的有用性について検討を行った.
スコア評価では, 非嚥下時の観察項目として「喉頭蓋谷や梨状陥凹の唾液貯留の程度」および「声門閉鎖反射や咳反射の惹起性」を, 嚥下時の観察項目として「嚥下反射の惹起性」および「着色水嚥下後の咽頭クリアランス」を取りあげ, それぞれ0 (正常), 1 (軽度障害), 2 (中等度障害), 3 (高度障害) の4段階に評価したもの。
兵頭スコアが 0 ~ 4 点は,正常範囲~軽症例. 兵頭スコア 5 ~ 8 点は,中等症例だが,6 点の幅が広く, 全粥とミキサー食の症例が存在する.7 ~ 8 点は,ゼリー 食が限界であろう.9 点で,ゼリー食の継続が可能な症例 は少ない。
・少量ずつ食物を接触すれば誤嚥しなくても、多量にすると誤嚥する。
リクライニング60°−70°が誤嚥しにくくなる。(演者の意見)
・考察
嚥下機能に合わせた食物を摂取することで体力は回復し誤嚥しにくくなる。
咽頭挙上筋群を鍛えるのが重要
呼吸機能を鍛える
まとめ
 よく喋り よく食べ 適度な有酸素運動

コーヒーブレイクセミナー

Secretion clearance 宮川哲夫先生

排痰補助装置の有用性と各臓器の特性
・排痰の生理学
粘性・弾性・痰がどこにあるか
喘息は粘性・弾性の高い痰 →なかなか動かず窒息する可能性あり。
慢性気管支炎の痰は喘息よりは動きやすい痰である。
慢性気管支炎では痰は末梢にあるが、気管支喘息の痰は末梢から中枢まである。
①痰の移動には、末梢側は繊毛運動、中枢側の痰は咳が重要である。
粘性が高いと痰は動きにくい、粘性が低く弾性が高い痰は動きやすい。
末梢には痰が詰まっているが、痰よりもより末梢に空気を送り込むことが大事。
 粘液線毛エスカレータは呼気のときに高まる(呼気のときに気流も上昇する)
吸気流量より呼気流量が10%以上速ければ、痰は動く。
呼気流量は30L/分以上必要である。
吸気を3秒以上保持すると、側副換気まで行き渡る。周波数は13Hz程度のSqueezingが有効である。
最近では、重力の影響(排痰体位)よりも局所換気の改善の方が排痰効果が高いという意見がある。
大人の場合、右から排痰したい場合に右下側臥位の方が換気が増えるので、そのほうがよい。子供(12歳以下)は右上にしたほうがよい。だから、下肺から排痰するには座位など起こしたほうがよい。
Squeezing→局所の換気が増える→呼気が増える→局所の動的コンプライアンスも改善。
以上の理論から、percussionよりもsqueezing(局所の換気が改善)が排痰に有利であり、救命センターにおいて無気肺や肺炎のリスクが減少し、ICUの在院日数も減少する。
Squeezingには胸郭外から16.5cmH2O以上の圧をかけると痰が移動する。
・フランス・スペインでの他施設共同研究において、幼児の細気管支炎に肺理学療法(仰臥位で胸を圧迫し呼気の流量を上げた)は吸痰のみと比較し治療効果に有意差なかった。むしろ、嘔吐が増加し、酸素飽和度は低下し、呼吸に対する不快感が増加した。つまり合併症が増え有用ではなかった。排痰体位を取っていないこと、局所の換気が改善していないこと、細気管支の呼気流量をあげると末梢が潰れてしまう、などが原因と考えられている。
・最近では、呼気を減速しゆっくりと排痰するほうが有用と考えられている。例えば右無気肺の場合、バックで加圧しただけでは健側の左肺にしか空気が入らず右が広がらないので、健側の胸郭を圧迫しバックで加圧し、悪い右肺野に空気を送り込む。痰を突き破ってcritical opening pressureを越えると空気がはいるので、そこをSqueezingすれば痰が移動して出て来る。バックを使うときには、一回換気量の1.5倍くらいの換気量にして、2秒以上ゆっくり呼出する。そして1秒以上の吸気のHOLDをしてぱっと緩める。
・咳やhuffingは中枢側の痰を除去に有用だが、末梢換気量は全く増えないので、末梢の痰には無効である。
・中枢側の痰は咳が重要。一般的に痰のとれる呼気流量は160L/分である。
気道確保すると痰の粘性と弾性が増えるので、呼気流量は270L/分が必要となる。
・例 神経筋疾患の患者に自力の呼気流速は120L/分しかないが、息を吸って声門を閉めて息を澑めて一気に咳をする。さらにバッグで換気を2−3回して、バックで加圧して呼吸介助するとスピードがアップし300L/分以上が可能。
これを機械でやるのがカフアシストのような機械的咳介助である。
粘弾性の低い端だと抵抗の少ない部位は痰が動く。粘弾性が高いほと痰は動かない。
・機械的咳介助を行う場合
 挿管チューブの内径が小さいほど抵抗が高く、流量は減少する。
脊椎側弯が重度な症例では、機械的咳介助が上手く作動しないときがあるが、徒手的介助と併用することで自発咳嗽が誘発できる。・
・抜管後の誤嚥性肺炎は増加するが(ICU関連嚥下障害)、COPD急性増悪、うっ血性心不全、肺炎、術後呼吸不全、急性肺損傷、外傷、敗血症、などに機械的咳介助を行うと、肺炎や再挿管が有意に減少した。
・カナダの報告では、陰圧と陽圧を35−40cmH2Oかけるが、なかなか痰が動かない。そのときに、陰圧を陽圧より10cmH2O 高くすると上手くいきやすい。合併症はほとんど起きていない。

以下は排痰マシンについての報告である。
・Comfort Cough II
現在開発中で、胸郭外から陽圧陰圧・胸郭外から振動をかける。
・12−13Hzの振動(繊毛運動のヘルツと同じ)を与えると痰が柔らかくなる。
・圧迫をかけて振動をかけると、ATPの濃度が上昇し粘液度が高くなり粘液の分泌が増える。
・16.5cmH2O以上の圧をかけると痰は動き始める、振動の周波数は13Hz のときだけ痰の粘性や弾性が変化する。
振動圧は0.5cmH20以上、周波数は最低でも5Hz以上ないと痰は動かない。
・重症の無気肺のとき、気管支内と胸郭外の両者を併用して振動を与えると有用性が高いと報告がある。
具体的にはキュイラスで外から陰圧をかけ、NPPVをかけ、更にバイブレーションをかける。
・Vibralung はスピーカーがついており、音波を利用して振動させる。
 Vibralungは周波数が高く、より末梢までとどくのではないかと言われている。
 アカペラと比較すると、Vibralungの方が痰の移動が大きい。
 vibralungは自発呼吸がなくてもできるが、アカペラは自発呼吸が必要。
・Temporaly PEP: 呼気のみ1cmH20をかけ、42Hzの振動もかかる、その後パッと圧をとめる。
この圧差は気道内圧を上昇させ痰を動かす。
 TPEPの効果は痰の粘弾性が改善、換気量が改善、症状改善、急性増悪頻度が低下する。
 COPD、慢性気管支炎に使用すると呼吸機能や血ガスの差はないが、酸素吸入量が減少した。
・Free ASPIRE
 圧縮空気を送り、ベンチュリ機構を利用して楽に痰をだす。
気管切開している患者にこの装置を15分ほど装着すると、呼気の流量が増える。圧は変わらない。

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