第53回日本呼吸器学会学術講演会

第53回日本呼吸器学会学術講演会 (会期2013年4月19日(金)から21日(日))
に出席いたしました。学会は呼吸器を専門とする医師が集まり、活発な論議がなされておりました。
以下の記事は、あくまで私の聴講メモ ですので、記載内容が正確ではない可能性がありますが責任は負いかねます。ご了承願います。

シンポジウム8 特発性肺線維症-治療をめぐる新展開

◆ステロイド薬と免疫抑制薬 東京医科歯科 宮崎泰成先生

2011年アザチオプリンとシクロフォスファミドの併用は推奨しない ATS/ARS/JRS statement
シクロスポリンCYA は日本においてよく使用される
作用機序)アレルギー性炎症を抑制 ・・・カルシニューリン不活化
TGFβ分泌抑制 →抗線維化効果
ステロイド抵抗性の回復 P糖タンパクと関連

●シクロスポリン試験 初めてのランダム化比較試験RCTである。

対象と方法
血ガスPO2 60torr未満 あるいは労作時低酸素血症90%未満
重症度IIIかIV
シクロスポリンCYA +ステロイド併用群 とシクロフォスファミドCPA+ステロイド併用群の比較 50例ずつ登録 →有効症例は29例ずつ
FVC 60−69% の重症例が20%前後と最もおおかった。
結果)
プライマリエンドポイント
FVCの変化量 baselineからの変化量を調べる
CYA群年間78ml CPA群年間87ml 有意差なし(P=0.89)
%FVC65%以上では 32mlと7ml でCYA群が有意に良好
セカンダリエンドポイント
急性増悪発現率 11%
無増悪生存:有意差なし 生存期間:有意差なし 2年生存率は両者とも約50%
有害事象 有意差なし
考察:シクロスポリン試験では無治療群がないので既存のスタディとの比較となるが、プラセボ群平均200ml/年のFVC低下を認め、本試験では肺機能低下を抑制する可能性が示唆された。

●NAC療法 抗酸化療法

新しい治療戦略 NACとピルフェニドンの併用
治療開始のタイミング
IPFガイドラインの予後不良因子を見ること
背景:IPF末梢気腔ではグルタチオン欠乏を認める。
末梢血でもトータルグルタチオンは健常者に比較して有意に減少していた(東邦大学2013年データ)。
肺活量年間低下量 安定群70ml 悪化群は470ml減少!
結果:NAC吸入療法は酸化型グルタチオン量が多いものほど有効である。
※ 現在進行中の臨床試験はNAC単独 VS プラセボ群のみ その他の試験は全て無効と判定された。
%VC80%程度の群では4年間で40ml低下 プラセボは250ml低下と高度であった。
Panther-IPF clinical trial は現在進行中で、今年中に結果が出る予定。
2013年現在までにNACとピルフェニドンの併用は25例に実施した。
320ml低下→120ml低下 と有意にFVC低下を抑制した。
2011年にIPFの重症度分類:改定案がしめされた。
I度でもdesaturationがあるものはII度以下にする。
治療方針として I度 NAC II度 NAC +ピルフェニドン
提案:%VC80% DLCO43%以下のひとは治療開始
質問:NAC +ピルフェニドン併用の副作用はどうか → 解答:相乗効果があるかどうかは不明

●ピルフェニドン 吾妻安良太先生

昨年ERSでの市販後調査集積データの発表 977名を中間解析
特に75歳以上やVC50%未満の症例は治験中には投与されておらず、市販後にて初めて投与されていた。
投与量はフルドーズ1800mg/日は全体の3分の1、1200に減量が3分の1であった。
副作用:3分の1は副作用で中止 最も多いのは食欲不振約30%、光線過敏は15%、嘔気約8%、 経済的理由も多かった。
死亡原因は78%はIPFの増悪だが、2.6%は肺がんであった。(1年間の集積)
急性増悪は重症度が進行するほど増加し IV度は17%/年。
平成24年度びまん性肺疾患調査研究班 坂東政司他の報告では
ピルフェニドンをきちんと服用できた症例については、VCやDLCO低下を抑制できているようである。
来年のATSにむけてascend studyを立ち上げて登録終了済み、 肺機能検査結果で分類した症例を登録した。
評価方法として3−6ヶ月のVC減少率が5%以上だと予後が不良
日本でも%VC 70%以上、50−70%、50%未満に分類すると5年後の予後は有意差がでる。
Lettieri CJら(Respir Med 100 1734 -41 2006 )の報告では、 6分間歩行距離が予後を反映する。
DSP (6MWD×SpO2 nadir)も予後評価項目である。

●急性増悪の病態と治療 谷口博之先生

急性増悪診断基準案
呼吸困難増悪 HRCTで既存のIPF +新たなすりガラス網状影 PO2低下 参考所見KL6、SPD,SPA上昇
※ IPFを背景に持つ患者にゲフィチニブを投与すると4%が急性増悪し約半数が死亡。1ヶ月以内に80%が発症する (AJRCCM Kudoh先生の論文)
Sakamotoら AJRCCM2011 急性増悪のBAL
死因:世界的にみても急性増悪が30−40%、疾患進行による呼吸不全3分の1である。
海外の論文で注意すべきは、臨床試験中は専門病院にかかるが急性増悪時は最寄りで処理されCTすら撮影されないこともある。BALで確定診断していない!
急性増悪の予後関連因子:
Fujimoto K, Taniguchi H Eur Radhial 2012 22 83-92
唯一の予後関連因子はHRCTスコア 特に重要なのはGGA with TBA と蜂巣肺の範囲
パルス療法の併用療法では54%がシクロスポリンを併用している!
Am JCCR 約130名のICU挿管・人工呼吸管理のうち95%死亡している →挿管しないほうがよいのでは。
リコンビナントトロンボモジュリン の有効性
トロンビンがトロンボモジュリンにくっつくとプロテインCが活性化し抗凝固作用
公立陶生ではAE時に全例BALを行いNPPV パルス シクロスポリン 低分子ヘパリン(←効果は否定されたが) +トロンボモジュリン を併用し生存率70%を確保しているらしい。

◆ランチョンセミナー14 慢性呼吸器疾患における薬物療法と酸素療法の新展開 の演題では

米国では肺線維症の発症率が急上昇している(OlisonらAJRCCM2007)。
息切れ評価にはCATを使おう。
MRC 3度の表現は 平坦な道100m に統一されるようになった。世界的にもMRCを使うことで統一されつつある。日本でいままで使用されてきたH-J分類は使わない。
CATはSGRQと相関性が非常によい。 40カ国以上に翻訳されて利用されている。
GOLDのガイドラインでCAT点数10点以上と未満にわけて重症度分類している。
一秒量50%(1、2と3,4段階)、急性増悪年間2回以上と1回以下、CAT10点以上などで重症度を分けている。
安定期のCOPD管理
A  SABA
B  SABA またはLABA
C  LABA + LAMA
D  ICS + LABA+ LAMA
シーブリは 一秒量を300mlくらい改善させるといわれている。
今後合剤が数年以内に種々発売される予定。
モメタゾン+インダカテロール の合剤 一日一回 など種々治験進行中である。
間質性肺炎IPFは多くの固形がんや白血病、悪性リンパ腫より予後不良であり、IPFより予後が悪いのは肺がんと膵癌くらい。
2000年以降種々のRCTが行われているが、効果を示せたのはピルフェニドンのみ。
INF、ボセンタン、エタネルセプト、イマチニブ、などは失敗に終わっている。
IPFは3ヶ月でVCが5%以上低下する群は、呼吸困難の進行が著名で死亡率が高い 死亡率急性増悪率がともに6%あり。
・PANTHER-IPF プレドニン+アザチオプリン+ 経口NACの3剤併用療法はかえって有害。
60週の比較で併用療法は死亡率約20%、プラセボは5%以下であった。
・新薬BIBF1120 チロシンキナーゼインヒビター
NEJM では中間報告の論文がでているが、急性増悪の頻度を低下させてVC低下も抑制させている。
・ 運動時低酸素のないCOPDとIPF
肺高血圧の程度は6分間歩行距離と相関する R=-0.4 P=0.0025
肺高血圧と運動時SpO2低下は非常に相関する( 平成23年度呼吸不全研究班調査報告書)。
Kimura M Respiration 2012Dec19 Epub ahead of print
肺高血圧平均肺動脈圧MPAPが25mmHg以上だと5年後の予後は20%である。
IPF with CPFEでは上肺気腫化率と%DLCOが予後因子であった。 公立陶生病院データ
・ 定常運動負荷試験
最大運動負荷の80%の運動時点でのSpO2 や BORGスケールなどを評価して介入前後で比較する方法
Repir care 2000 酸素吸入を処方してかつ運動したひとの予後がよい。動かない場合は予後は改善しない。

◆シンポジウム12 疾患と運動時低酸素血症 EIH

安静時には認めないが運動に伴って生じる低酸素血症
運動時に4%以上の低下
→低酸素性肺血管攣縮 →右心不全
運動中のSpO2 88%以下になるIPFは予後不良 AJRCCM2003 Lama VN
6分間歩行試験では歩行開始時はVdotO2 と換気量には相対的低換気がおこり、定常状態となり歩行終了後にしばらくは相対的過換気になる
運動により心拍出量は最大6倍に増加する
肺動脈圧上昇 肺血管症の動員と肺毛細血管の拡張
肺毛細血管内血液量の増加は60→200mlに増量
COPDでは下肺野有意の嚢胞分布では運動時低酸素血症を起こしやすい
気道優位型のCOPDは気腫優位型より急性増悪の頻度が高い
蜂巣肺は軌道と交通しておりエアートランピングにより嚢胞腔が拡大する。
※ HRCT上の蜂巣肺の3主徴
嚢胞径 通常3−10mm
嚢胞壁を共有
2層以上の嚢胞壁の集合
COPDの肺動脈径と肺高血圧、運動時低酸素血症
COPDと運動時低酸素血症(SpO2の数値)と肺高血圧は非常に相関するR0.8程度。

●運動時低酸素血症をきたす疾患の病理診断

emphysemaが徐々に増悪すると、次に島状に血管が浮いてくる、さらに血管は肥厚してめだってくる。

◆呼吸機能の経年変化

CPFEはCOPDと比較しVCは-110ml/y VS 35ml程度 DLCOはCPFEで−1/yと高度に低下。
Q:急性増悪時の喀痰細胞分類では何か関連があるか?
喀痰中好酸球の多い症例はステロイドがよく効いてリカバリーしやすいが好中球が多い症例は回復が難治である。

◆運動時低酸素血症時の呼吸リハビリテーション

運動療法第二版では間質性肺炎がリハビリテーションの疾病に組み込まれたこと
フィールド運動試験 を必須とし運動時低酸素血症時の測定をすることになった。
6分間歩行試験では 90%以上を維持できる症例は
COPDの30%、間質性肺炎の5% しかない
79%以下になるのは20%と25%であった。
呼吸リハビリテーションの効果は中断により失われる エビデンスA
運動トレーニングの原則
過負荷の原則 日常よりも強い運動が必要
特異性の原則 鍛えた筋肉に限る
可逆性の原則 中断でうしなわれる
高強度負荷と低強度負荷でどちらがよいか
効果はどちらもエビデンスAであるが、やはり高強度のほうがメリットが多い

重症COPD患者で鼻カニューラ5Lとリザーバーマスク5Lで6分間歩行試験をおこなったところ、歩行距離こそ数メートルしか改善しないが運動時低酸素血症は明らかに改善した。

◆日本結核病学会との共同企画 日常の呼吸器診療に紛れ込む結核を見落とさないために の発表では、日常の診療において示唆に富む内容であった。

気管支結核は非常に診断が難しい。
喘息治療中の違和感を感じたら疑うこと。
肺結核と比較し女性若年者におおく、入院患者の数%である。女性:男性=7:3
右主幹と左主幹に同定度におおい。
内視鏡診断では
TypeI発赤肥厚型
II粘膜内結節型
III潰瘍型 浅在性
IV結節性肉芽腫性
V瘢痕型
【症例】咳喘息と診断 ⇛その後膿性痰 喘鳴。喘息増悪と診断されてステロイド間欠的投与 ⇛転医 喘息発作 + 急性気管支炎 の診断でクラビット投与 ⇛一時的に改善、体重減少しなかった。
その後耐え難い咳となり他院で胸部レントゲン撮影し異常を指摘された。
患者の問診では
喘息の薬が効かない気がした
左向きになると息が苦しくなる
夜はやっぱり苦しい
胸部CT:右と左の主気管支の径に左右差があった。左主気管支の気管支壁肥厚と狭窄も認めた。
薬剤耐性:LVFX耐性と確認された。
クラビット単独投与がLVFXの耐性化を招いたと考えられた。
※ CTでは主気管支の壁の不整 軟骨輪とは違う凹凸などに注意
404例中36例が気管支鏡で確定された気管支結核であった。
※ 咳が2−6ヶ月放置して受診した結核患者は1ヶ月くらいで診断されているが、症状発現1ヶ月以内の結核は受診後に診断まで最大10ヶ月かかっている!
喘息と診断された症例が結核感染を見逃されている。
高用量吸入ステロイドフルチカゾン1000マイクロ以上のときは発病リスク上昇AJRCCM2011
クラビットは強力な抗結核作用があるが、TB診断前に投与されると診断の遅延・薬剤耐性化などの問題がある。
気管気管支結核は稀ではない
喘鳴鑑別として 咳がつよい 胸部レントゲンで否定は困難 HRCTが有効なときがある。

●縦隔リンパ節結核

頸部リンパ節結核は自壊して瘻孔をつくるのが特徴 ただし初期は単発で癒着もない、徐々に数が増えてくる。外科的に外切開してリンパ節摘出した場合の診断率は50%程度である。膿瘍形成病変は術後に50%が自壊し瘻孔形成することがあるので注意が必要である。
EBUS前の縦隔リンパ節結核の診断は縦隔鏡で組織診断80%・培養60%台の診断率
EBUS-TBNAにてサルコイドーシスの診断率は80−90%、結核は80%台、培養陽性は60%台。
培養が出ない人は感受性不明のまま治療されているということになる。
穿刺リンパ節は2−3箇所の穿刺回数3回以上で診断率がかなり高くなる。
※ 頸部リンパ節結核エコー所見
辺縁高エコー帯 + 石灰化様エコー +血流に乏しい
対して悪性リンパ腫や転移性は血流は豊富である。
血液疾患のEBUS-TBNAによる診断率は低い!
EBUS-TBNAの合併症 穿刺部位に気管支結核様病変を作り、排菌の可能性がある。
その他、HIVではMAC症のことも多い(3分の1くらい)

●間質性肺炎に合併した結核 露口一成先生

間質性肺炎には肺結核の合併が一般よりも4−5倍は発症率が高い
【症例】82歳男性
2010年間質性肺炎にPSL20mg投与開始
【症例】NSIPの診断でPSLとアザチオプリン
胸部レントゲンでは胸郭形成術後であり発症時の異常を検出できなかった。QFT陽性、胃液と喀痰から塗抹陽性となり診断。
IPははい構造の破壊があるので陰影を検出しにくい
RFPはステロイドや免疫抑制剤の活性を低下させる
PSL10mg以上を継続するときは、STやINHの予防内服が推奨されている 日本呼吸器学会のガイドライン2010にて
ステロイド治療中に潜在性結核LTBIについて
間質性肺炎などの272例の中から20mgのPSL一ヶ月以上投与した120例 近畿中央病院
3−4割の症例にINHの予防内服していたが、予防内服していない症例から活動性結核を4例発症した。
結核の既往がある4例については全例予防内服は行われていた。1例は多剤耐性結核の既往でありEB+LVFXが投与された。
化学予防LTBI治療の意義
健常者が感染し潜在化している → LTBI治療により活動性に発症するのを防ぐ
結核発病のリスクが高い集団ではツ反を行い、陽性者のみLTBI治療すべき AJRCCM
ツ反陰性者では効果はなかった。
一方 WHOではHIV感染ではツ反はかならずしも陽性でなくてもよい
INHは最低6ヶ月投与がのぞましい、それ以上投与しても発症予防の低下にはならない。
SamandariらLNACET2011では、HIV感染者のツ反陽性者は、1年以上INH服用させたほうが発症予防できる という報告である。
LTBIの適応決定に影響する因子
結核感染の有無 QFTやT-spot
結核既往の有無
結核暴露を受けるリスクの大きさ 大阪のほうが長野よりも危険?!
年齢
肝疾患を含む基礎疾患の有無  肝疾患は副作用が心配
万一結核を発症した場合の影響の大きさ
ー周囲への影響
ー基礎疾患の間質性肺炎が重篤化する可能性
LTBIの副作用のリスク
INHの肝障害は、服用が長期になればリスクが高くなる。治療中のあらゆる時期に起こりうることが報告されている。
単剤治療を長期に行うことによる耐性誘導リスク
コストの問題
服用の手間
まとめ
間質性肺炎に結核合併は診断が困難で重症となりやすいので、ステロイド免疫抑制剤投与を行う際にかならずQFTを行う。
陽性ならINH9ヶ月投与を考慮する。

◆イブニングシンポジウム16 最新の肺がん治療とQOL

●肺がん骨転移治療の最前線

ベッド上安静でも軽減しない疼痛 陽性率90% ⇔ 骨粗しょう症の痛みは安静で除痛される
肺がんの骨転移を疑う痛みは緊急にCTを撮影すべきである。
骨折リスクの判定基準
脊椎転移の骨折リスク
椎体の30% 一ヶ月以内の骨折率0.13 60%なら0.68
がんがコツ表面にでている(肋椎関節)場合の30%は0.57 60%なら0.96
肋椎関節 脊椎管侵襲 →ほぼ折れる
angulation sign (椎体の直線的な屈曲・側湾) pedicle sign
長管骨では骨皮質に腫瘍が3cm以上あれば骨折リスクが高い
※ NSCLC IV期は LETS/CATS study で1年予後は60%だが、骨転移があると30%まで低下する。骨転移に関連する事象 skeletal related event (SRE)
脊髄圧迫 病的骨折 骨に対する外科的処置 骨への放射線治療
SREは自覚症状がなくても治療すべきである、予後に影響する。
進行肺がんの17%にはSREを起こす
肺がんと診断されたものは1年半の間に25%SREを発生する。
89Sr の疼痛改善効果 前立腺がんや乳がんには75%著効だが、肺がんはあまり有効でない。
ただしゾメタとSrの併用が相乗効果が期待できる報告がある。
2010年ASCO がん治療するものはSREのリスク評価をすべし
ビスホスホネートは必ずつかう
RANKL は骨破壊の悪性サイクルに必須のものである (NFκB活性化受容体リガンド)
ゾメタはSREを30%抑制する
乳がん 前立腺がん 骨髄腫においてランマークはゾメタよりもSRE発生を8ヶ月遅らせ、疼痛発現リクスを17%低減した。
肺がんのみのデータはない。

◆シンポジウム14 感染症による呼吸器疾患の急性増悪の病態と治療

●感染症による喘息の病態と治療

ウイルス感染による喘息増悪の問題点
ベータ刺激薬に対する反応性が低下する。
ウイルス感染により喘息発作中の喀痰中ロイコトリエン濃度が増加する
すべてのウイルスが喘息を誘発するわけではない
Asthmagenic virus:インフルエンザは毎年喘息増悪させるとは言えないが、RSVは毎年関与している印象。
ウイルス感染誘発喘息では
ロイコトリエンが増えている
受容体が増えている
急性気管支収縮を起こす
ステロイド単独 発作治癒に15日 キプレス併用で10日に減少
64例の難治性喘息の約半数にマイコプラズマ持続感染が認められる。クラリスロマイシン2週間服用では排除できない Peters CHEST2011
クラミジア急性感染では
マクロライド投与は喘息管理をよくさせる Johnston JACI2006
好中球性喘息に対するマクロライド Simpson AJRCCM2008
インフルエンザワクチンは喘息発作抑制効果 ワクチンだけでは不十分という結果 Cates Cochrane Review2013
ライノウイルス感染した患者では喫煙者と吸入ステロイドを日頃から吸っていない人は重症となる。
ライノウイルス感染はβ刺激薬の効果が減弱するが、フルチカゾンを吸入すると効果は改善する。
Virol J 2006 合剤を吸入するとウイルス量が減る
ERJ2011 Reddel Smart療法はウイルス抑制に効果がある
Matsuse H (演者の研究) 日頃からロイコトリエン拮抗薬を服用した患者は、風邪の頻度は同じだが服用者は風邪が短期間で治癒傾向である。
※ 真菌と喘息の関連
高頻度
重症の発作(喘息死)を起こしうる ・・・欧米での報告
難治化しやすい
真菌感作重症喘息
喀痰内に真菌が培養される群は肺機能が優位に低い A.. CEA2012
Denning AJRCCM2009  FASTstudy アゾール投与中は喘息症状改善傾向中止で悪化
※ ロイコトリエン拮抗薬は増量しても血中濃度は上がらない薬剤なので、増量する意味はない。
※ 成人は小児よりもウイルス量が少ないので、簡易キットでは診断むずかしいとのこと

●感染症によるCOPD急性増悪 琉球大学原永修作先生

急性増悪を喀痰の色で検出 Soler ERJ2012 39 1354
ウイルス分離
ピコルナ インフルエンザ パラインフルエンザがおおい
Rhino インフルエンザA
その他重喫煙者のCOPDにヒトメタニューモウイルスが検出されることがある
機序 :Yamaya ERJ2012
急性増悪治療の基本 ABCアプローチ
Antibiotics Bronchodilator Corticosteroid
急性増悪を何度も起こす人には
LABA
マクロライド服用 NEJM2012
Yamaya ERJ2012 40 485の図示 Wenzel NEJM2012 367 340−
カルボシステイン
※質疑
COPD急性増悪では血清ではクラミジアやマイコプラズマは陽性となることがあるが、喀痰中のPCRではまず検出されない!
文献ではアジスロマイシンばかりが長期投与の対象であるが、少なくとも日本ではクラリスロマイシンかエリスロマイシンの長期投与が保険適応である。
中国では抗菌薬が薬局で購入できる。その結果市中肺炎はクレブシエラがもっとも多い。
プロカルシトニンは細菌感染で上昇する。CRPがあまり高くないときに参考にしてもよいのではないか。

●間質性肺炎急性増悪と感染症 半田知宏先生 京大リハ部

IPF 本邦の手引きを見ること
急性増悪危険因子 呼吸機能低下症例 喫煙者
AJRCCM2007 Collard 急性増悪の予後は不良
皮膚筋炎に特徴的な皮膚所見を有しながら筋炎所見の目立たたない症例 ADM
抗CADM−140抗体が重要 臨床的ADM と進行性間質性間質性肺炎に関与 →予後不良
抗ARS抗体 →比較的予良好

下肺有意の浸潤影とすりガラス影はその他のパターンに比し、予後不良
急性増悪は感染症が誘引なのか原因不明なのか、まだ結論は得られていないが、感染症の関与は少ないという報告がおおい。現状は原因不明となっている。
予後 IP急性増悪と感染症の予後はどう程度で差がない ERS2011 Song
京大の結果 悪化入院
BAL24例 23%に実施した
ニューモシスチスPCR陽性 CMV陽性などが数例ずつあり。
尿中抗原(肺炎球菌とレジオネラ)は全例に実施したが、全例陰性だった。
⇢ 全例にステロイドパルス 一部に免疫抑制剤 投与したが、感染、非感染にかかわらず予後は変わらず。
肺内外の感染症で急性増悪が引き起こされることがあるので注意(胆嚢炎などでも)

◆シンポジウム16 Usual Interstitial Pneumonia 二次性VS特発性

●画像 上甲剛先生

1.二次性UIPをとりうる疾患
膠原病肺とくにRA
慢性過敏性肺臓炎
Asbestosis を含めたじん肺
膠原病肺の6割がNSIP、UIPパターンはRAを考える
RA nodule, 上肺野にも病変を認める(小葉中心性粒状影)
RAのUIPの特徴
UIPがあるが上肺野にも病変がある、あるいは上下肺に差がない、すりガラス影が多くて粒状影もある。
UIPに比較して胸膜下線状影がおおい。
air trapping , 小葉中心性粒状影 下肺野優位でないこと
注意:小粒状影があるとCHPと診断する傾向にある(放射線科医は)。
※ 気管支・肺動脈は特定の構成単位の内側を走行するが1つ下位の細葉の端である。
Silicosis のUIPは Arakawa chest 2007に特徴を書いてある
陰影がよりランダムで胸膜直下の濃度不均一が鑑別点になりうる。

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