第53回日本呼吸器学会中国・四国地方会にてセミナーに出席し 最新の知見を学びました。

第53回日本呼吸器学会中国・四国地方会にてセミナーに出席し
最新の知見を学びました。
以下の記事はあくまで私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

在宅呼吸ケアのポイント 北野病院 福井基成先生

EBMだけでは、ここの患者の訴えが埋もれてしまう。
特に重要なのは
1.HOT・NPPV導入時
2.退院後在宅へ移行の時期
重要なSpO2モニタリング
 詳細な行動記録をつけてもらうことが重要
加速度センサー付きパルスオキシメータが有用
呼吸不全の病態は日中と睡眠中では別物である
 とくにREM睡眠時の低換気が重要!
 II型呼吸不全が進行すると、肋間筋などの活動が低下しREM期に換気が極端に低下し持続的な低酸素血症となる。
加速度付きパルスオキシメータがあると、夜間睡眠時の低酸素か、トイレ歩行時のものかが簡単に鑑別できる。
事例を示し、REM低換気を放置するとPGがどんどん上昇して突然死するかもしれない。
経皮二酸化炭素分圧測定装置(保険適応なし)
症例 漏斗胸 OSAS II型呼吸不全 の患者が、なぜII型呼吸不全になるのかわからずPSGを実施した。→REM睡眠時では異常なし、左側臥位のときにPCO2が上昇していた。つまり漏斗胸の影響で左側臥位のときは極度に胸郭の動きが制限されていた!
【症例】 胸郭変形 iVAPSモードは、REM睡眠低換気によるPCO2を飛ばすのに非常によい。
目標肺胞換気量を2.7LにしたらREM時のみ換気を強く補助できた。しかし肺胞換気量を欲張って目標換気量を3.5Lにしたら胸痛を訴えた! 胸郭が吸呼気ともに動いていない(動くのは横隔膜のみ)ので、目標換気量が多すぎたのである。
REM低換気に酸素投与だけでもよいのでは?という意見に
【症例】 横隔神経麻痺を合併したSLE患者
 REM低換気に対して酸素のみの投与すると、SpO2は低下しないが、PCO2はREM期に急上昇していることが判明した。
→iVAPSが有用。もしS/Tモードだと、REM期にあわせて圧設定する必要があり、必然的に高くなる。iVAPSにより圧を下げることができる。
前半まとめ II型呼吸不全ではREM期の低換気を重視し、SpO2モニター、可能ならPSGにて監視することが重要。
鼻水が原因で呼吸状態が悪化し緊急入院した患者の事例

HOT/NPPV導入後に自宅にもどる際のポイント

◆HOT患者退院前に実施すべきこと
かかりつけ医の決定や訪問看護の導入
介護保険を導入
呼吸リハビリの継続先を探す
栄養維持のための対策
身体障害者の申請
家庭環境の調査、介護者の有無、経済力の調査
自宅の住環境 できれば下見が必要
緊急時や停電時の対応を取り決める
試験外泊(ケアマネと打ち合わせ)
ケアカンファレンス
その他 :吸引装置やアンビューバックの準備など

患者の家族と地域の多職種で支える事が重要
地域医療コーディネータの設置 およびその活動内容
1.在宅の状況を確認しカンファレンスで準備や必要なリハビリの適応や内容について取り決める
2.病院との連携を
3.試験外泊に付き添う
4.在宅後の問題点の相談にのる
北野病院では年間400例以上の患者のコーディネートを行っている。
在宅医療コーディネートを今後置くことが重要で、大阪では始まっている。
介護保険導入が必要だが、申請しても呼吸不全などの内部障害は要介護度が低く判定されがち
 ※ 主治医意見書の特記すべき事項が重要で、要介護度があがる。
退院よりも通院することが大変である。らくらく通院ネットを検索してシミュレーションする。
スワニーのバックは酸素ボンベを入れても倒れにくい工夫がある。4輪キャリア バギータイプ
2輪のキャリアを4輪キャリアに変更したら、6MWTが明らかに延長する!

患者は在宅に療養に帰るのではない。暮らしに帰るのである。
呼吸リハビリは継続されていない。約半数。
では介護施設がNPPV患者を受け入れてくれるのか 6割は受け入れ不可とのこと。その理由はHOTやNPPV・慢性呼吸不全の知識がないからであった。→教育が重要。

呼吸不全の介護者は半数が配偶者、2位が子供
1位調理炊事、3位掃除、5位洗濯
患者・家族へアンケートではどのような援助がほしいかという質問に対して
 希望の第一位はかかりつけ医へ1−2週間入院をさせてほしい、ということであった。

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