第30回中国・四国臨床アレルギー研究会 於 岡山コンベンションセンター

2018年8月26日に
第30回中国・四国臨床アレルギー研究会 於岡山コンベンションセンター
が開催され、最新の知見を学んで参りました。

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

一般演題II

吸入指導のための地域連携システムの成果と課題

虹の薬局本店
古池奈々先生 

口頭説明だけでは患者も家族も薬剤師も本当に実薬吸入が正しくできているかわからない。
内服薬は一包化するなどの支援ができるが、吸入薬は窓口の指導しかできていない、その後のフォローもできていない。
薬局でも実薬吸入指導して問題把握し、病院と情報を共有することにした。

なぜ今まで実薬指導できなかったか。

 すでに処方済みの吸入はすでに当日分を吸入済みで当日追加できない
 薬局の待ち時間が長く、患者がそれ以上の時間を費やせない。
 患者から「待ち時間が長い」という評判がでるのが困る。
 窓口に本人が来ない。
 医師から指導を受けるように言われていない。
 イナビルは直ぐに吸入して帰宅するようにと指示がある。

院外薬局での実薬吸入指導の実際

 処方箋に吸入指導のコメントあり
 新規吸入薬は必ず行う
 もし吸入済みならデモ機で行う
 報告書にできている、できていないのチェックを入れて病院へフィードバックする
指導前 口頭で指導が5分の1であったが、今回の取り組みで実薬指導が増えた。
増えたが、数%の増加であり、なぜあまり増えないか
 医師からの声かけが必要
 薬局の待ち時間に関する問題については、吸入指導指示ある処方箋は優先窓口を設けた。
 ひと目については目立たない橋の窓口をつかって実薬指導を行う
 25%→42%に実薬指導が増加した。

症例

症例 90歳女性
 加えてまず息を吹き込んでから吸う、吸引力も弱い →家族へ介助をお願いし、無理なら次回処方薬の変更
症例 83歳男性
 フルティフォームがきちんと押せず、翌日中身が空になった。

実技指導での問題点

 このままでは吸入困難だろうと思われた事例
 デバイス取扱困難 4
 吸入回数の理解不足 3
 吸入力不足 5
 吸入時間不足 2 
 タイミングが合わない 1
→指導によりある程度改善したもの、いずれも次回フォローが必要である。
軽微な問題
 吸入力弱い→練習で改善
 吸入タイミング → 練習でOK
 予備呼出、息止め不良 →練習でOK
 蓋が硬い→毎回緩めて上げる
ウルティブロ ボタンを押したままで吸入されていた→再指導で改善した。

今後の問題点

すべての薬剤師が指導できているとは言えないので、吸入指導アカデミーなどで訓練すべきと思われる。
小児科への応用 「薬局で薬を飲もう」
 薬剤師によりゼリー、スプーン、マドラー、小さなカップなど用意して種々の飲ませ方を提案した。
 母親のストレス軽減に役立つ

Q and A

Q スペーサーを利用しているか 
A している
Q すでに吸入済みの症例はどうしたのか
A 次回は吸入せずに受診いただくことにしたが、実際には来院なし

抗IL-5抗体(メポリズマブ)を使用したABPA・ECRS合併の重症喘息の一例

岡山大学血液・腫瘍・呼吸器内科学
谷口暁彦先生

症例 33歳男性

ABPAと診断しイトラコナゾールプレドニゾロン処方により末梢血好酸球が低下しない、症状が改善しない症例で、
ECRS(eosinophilic chronic rhinosinusitis)合併していた。
WBC12250 Eo52% 、アスペルギルスの即時型皮内反応、遅延型皮内反応ともに陽性
閉塞性パターン FENO 230ppb
抗IL5 抗体を投与開始し喘息コントロールは良好。
しかしその後ECRSは増悪し内視鏡的副鼻腔手術を実施した。

考察

メポリズマブは末梢血好酸球が多いほど有効と言われている
ABPAに対する報告はまだ少ない。
ABPAの末梢血単核球ではアスペルギルス菌体刺激に対するIL-5分泌が亢進している。
本症例ではABPAの画像所見も改善したが、ECRSには無効だった。
6症例の喘息とECRS合併例の報告6例中、有効例は1例のみで耳鼻科で手術の症例。

Q and A

Q ECRA術後であればメポリズマブのECRS再発抑制効果があるのではないか
A 演者の症例では術後メポリズマブ投与継続しているが、ECRSは再発している。

特発性慢性蕁麻疹に対するオマリズマブの使用経験

森脇昌哉先生

N=32例の報告

ASST陽性例も含む :自己血清皮内テスト(autologous serum skin test, ASST)
血清IgE 6.7-6424
32例中半数はシクロスポリンの治療歴がある。
オマリズマブを3回投与して評価。
オマリズマブ3回投与後では、半数がステロイド中止できている。
蕁麻疹スコア 20→ 3.4
蕁麻疹が全くでなくなったのは44%、無効は9% 3例
1週間以内に23例が有効 、副作用として筋肉痛とCK上昇が1例ずつ見られた。
著効14例  ASST陽性3例、陰性5例、未施行6例
文献的にも約6割はUSA6点以下の著効を得られる。

自己血清皮内テストを実施し陽性例はオマリズマブ無効あるいは効果発現に時間がかかるとと言われる。
今回の検討で無効の2例はASST陽性だった。

Q and A

Q ASST陽性例はなぜオマリズマブが効きにくいのか
A 機序不明
Q オマリズマブ無効例に対する治療はどうされているのか
A 他の免疫抑制薬を使うこともあるが、現状では試行錯誤している。
Q 喘息でオマリズマブ治療し当初は著効しその後無効となることがあるが蕁麻疹ではどうか
A 今のところなし

アレルギー専門外来で経験した稀な食物アレルギー症例

国立病院機構南岡山医療センター
アレルギー科 谷本安先生

演者の施設ではアレルギー専門外来を開設している。
そこで実施される検査は、食物アレルギー皮膚テストが最も多い。
受診の主体は ハチアレルギー免疫療法が多い。

症例1 コチニール(色素)アレルギー症例

 フランスからの土産のマカロン(ローズ)を食べた後に、嘔気、蕁麻疹、呼吸困難を生じた。
 本例は以前に外国産化粧品で同様のことが起きた。
プリックテストでは、
 フランス性赤マカロン 陽性
 フランス性緑マカロン 陰性
 日本製赤マカロン 陰性
コチニール含有するファイブミニ、マルハウインナー 丸大フィッシュソーセージ、伊藤ハム などは陰性だった。
コチニール;天然系食用着色料としては安全なものとされる。
日本では2010年から14年にフランス性の赤色マカロンでアレルギーが6例報告されている。
コチニールのアレルギーの発現機序
 カルミンの精製の問題? カルミン酸をハプテン抗原としたアレルギー?、カルミンを含んだ化粧品による経皮免疫感作の成立?
など考えられているが不明。

症例2 納豆遅発性アレルギー症例 30歳女性

納豆を食べて6時間後に蕁麻疹が出現する。
ダイビングが趣味。ダイビング仲間より受診を勧奨された。
ダイバーの間では、クラゲに刺されたりクラゲ料理をたべて遅発性に蕁麻疹がでることが知られている。
プリックテスト実施し、
 納豆、中華クラゲに陽性、枝豆と豆腐は陰性 であった。
H1受容体拮抗薬服用下でのプリックテストは陰性であった。
納豆アレルギーの特徴は、
 遅発性アレルギー 食後5-14時間、プリックテストで陽性・・・プリックテストではすぐに陽性となる。
 アナフィラキシーの可能性がある。
 運動で発現しやすい。
原因アレルゲンはPGA(ポリガンマグルタミン酸)
納豆以外にも食品や化粧品の添加物(保湿剤)として使用されており、今後化粧品で感作される可能性がある。
クラゲもPGAを産生しており、ダイバーはクラゲ刺傷により経皮感作が成立する。

まとめ

 
アレルギー専門外来開設後4年経過した。
受診患者の大半は食物アレルギーである。

【特別演題】

古くて新しいアレルゲン特異的免疫療法

新潟大学呼吸器感染症内科学分野 准教授
小屋俊之先生

喘息は明らかに増加しており外来治療費が増加している。
吸入ステロイドにより喘息死は減少しているが、ステロイドで病気は治らない。
喘息の根本治療とは何か。
現在の治療は、アレルゲンの除去と回避、アレルゲン免疫療法、薬物療法。
ステロイドの限界に対する解決策が免疫療法である。

免疫療法はアレルギーの自然史を唯一変えられる、治癒に導ける可能性のある治療である。

昔は減感作療法、現在はAITと呼ばれる。
AITが特に有効な背景は、
 疾患: AR>BA>AD
 年齢: 若年>壮年>高齢
 重症度:軽症から中等症 >重症
 通院コンプライアンスが良い
投与経路はSCIT、SLIT、その他実験的に経口、経鼻、経気管支もされている。
AITの効果は、
 BA、ARにおいて症状を有意に軽減する。
 複数抗原陽性の場合には、複数AITを実施したほうが効果が高い。
 3年以上実施すれば中止後も予後がよい。
 3年より4年、5年と長く行うほど再燃が遅らせることができる。
 新規のアレルゲン抗原感作を抑制する。
 Schimit ら、J Allergy Clin Immunol 2015 では、HDM以外のアレルゲンの新規感作を50%抑制したと報告。
 喘息発症の予防効果も認める。

AITの作用機序

樹状細胞に働きかけ、Th1誘導して、Tregを誘導 →IL-10 、Breg→IgG4(ブロッキング抗体)。
組織中の肥満細胞が好酸球数は低下する。
AITの臨床効果が発現するには少なくとも半年以上必要である。
少なくともSCITのほうがSLITよりも液性免疫反応は強い。 IgEの減少、IgG4の増加が大きい。
免疫療法の詳しいメカニズムはまだ不明。
 生体内でのTreg やBregの先生機序
 免疫療法で誘導されたTreg や Breg 寿命
 長期間維持される機序
 などなど…

アレルギー喘息に対するダニ舌下錠(ミティキュア®)の効果

 欧州13カ国 HDM陽性喘息 ICS/LAVA投与中の患者に対して投与した。
 →喘息発作の有意な減少、IgG4抗体の増加
日本では有効性は示せなかった。

症例 44歳女性

 2年に1回は喘息発作が増悪していたが、HDM陽性鼻炎にミティキュアを投与開始後、増悪しなくなった。
鼻炎により明らかに喘息症状増悪する症例では、ミティキュアを考慮すべきである。

経口免疫寛容のメカニズム

Treg誘導
Th17とTregは相反する機能を示すが、
もしTh17がたくさんあるときは、免疫寛容は生じるのか?
この疑問に答えるために演者は以下の実験を実施した。
マウスの腹腔にOVA投与し感作、吸入OVAで発作を誘発。
3週間以上あけると、この炎症は収まるので、その後再度OVA暴露し喘息症状を起こさせる→急性増悪モデルと考えられる。
この3週間の間にAITを行うとどうなるか。
AITが起きるか起きないかの少量抗原を投与し、同時にIL-17中和抗体を投与したところ、予想どおり
免疫寛容が成立した。
Th17はパイエル板に移動しており、さらにIL-6を介してその作用が発揮される。
IL-6中和抗体を投与すると、免疫寛容は発現しなかった。

次にレチノイン酸(ATRA)について検討した。

ATRAを大量に投与するとTregが増えるのではないか。
先程と同様にマウスに少量の抗原を投与し、ATRAも同時に食餌で投与したところ、BALF中のIL-5、IL-13濃度が有意に減少した。
ATRAも腸管を介してTreg産生に関与していると考えられる。
レチノイン酸レセプターをブロッキング抗体で中和すると、ATRAの効果はでなかった。
演者らはアレルゲン点鼻モデルを作成した。
 毎日アレルゲンをマウスに点鼻し、3-7週間継続すると、気道過敏性が増加し、BALF中のII型サイトカインは増加した。
 5週間点鼻するとおよそ喘息と同等のモデルが完成した。

マウスの舌下免疫療法モデル

 HDM抗原量を舌下することで、投与量依存性に気道過敏性は低下した。
 顎下リンパ節のMNCのIL=5,IL13 は減少し、IL=10 は増加していた。
 BALF中のIgAが有意に増加しており、その原因を現在研究している。
抗原にさらにコレラトキシンB(CTB)を加えて免疫療法すると、減感作がさらに効果的にすすみ、BALF中のIgAは著増した。

Q and A

Q 免疫療法は小児のうちから始めたほうがよいと考えているが治療マーカーはあるか
A 早期にわかる治療効果のわかるマーカーがあればよいが、IL-17はその可能性があると思っている。
Q SliT導入に際し、臨床的なマーカーが現時点であるか
A 鼻炎合併し、鼻炎で増悪がある喘息症例は非常によい
 複数アレルゲンよりも、少ないほうが効きやすい
 ペット陽性でも暴露をはなれれば、効果は期待できる。
 好酸球が高いのが効果には影響しないと思うが、好酸球が高すぎるとIL-5が関与する

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