2019年6月30日にCOPD治療薬(トリプルセラピー)の発売記念講演会 於ウェスティン都ホテル京都 に出席し、 最新治療薬のエビデンスについて学びました。

2019年6月30日にCOPD治療薬(トリプルセラピー)の発売記念講演会 於ウェスティン都ホテル京都 に出席し、最新治療薬のエビデンスについて学びました。

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

目次

こちらの記事は以下の内容が書かれています。

基調講演
東田有智先生

IMPACT試験(国際共同第Ⅲ相試験)
玉置淳先生

自験例から考えるトリプル治療
石川暢久先生

病態から考えるトリプルセラピー -FULFIL試験-
桑平一郎先生

パネルディスカッション

基調講演

東田有智先生

気流制限を有する患者で9.4%がCOPDと診断
CATスコアの分布は0-5点が39.1%、6-10点が35.4%、11点以上(日常生活のQOL低下する程度)
また、COPD患者で気管支拡張薬投与中でも50%以上は何らかの症状が残存している。
症状からの重症度国際比較では、他国が軽症は20-30%程度しかない。
日本人は59%が軽症であったが、レスキュー薬使用や夜間症状を訴える患者も多い。
ACOの有病率は調査方法によって非常に異なっているが、4.2-49.7%。
喘息症例を対象とした研究では27.1%がACOである。

IMPACT試験(国際共同第Ⅲ相試験)

玉置淳先生

トリプルセラピーとは、LAMA、LABA、ICS の併用である。

LAMA/LABA+ICSは、ACOに適応、→死亡率低下、急性増悪抑制のエビデンスがある。
一方ICSは肺炎増加のリスクがあることも事実である。
テリルジー®は3剤が同時に吸入できるものである。
IMPACT試験はFF/UMEC/VI を同じデバイスで投与した(SITT;single inhaler tripple therapy)。
主要評価項目 :年間あたりの中等度から重度増悪の年間発現頻度
対象:40歳以上、CAT10以上、FEV1.0<50%かつ増悪1回以上 or 50~80%だが増悪2回以上
心血管疾患、糖尿病、喘息の既往は問わない(ただし現在喘息の患者は除外)、37カ国で実施。N=13550。
患者群の重症度 :70%はGOLD-D 、30% GOLD-B・・・比較的重症度の高い症例が多い。
結果:トリプルセラピーは、ICS/LABAと比し15%、LAMA/LABAと比較し25%、中等度以上の増悪を減少させた。
入院を要する増悪(重度増悪)では、ICS/LABAと比し13%、LAMA/LABAと比較し34%減少させた。
LAMA/LABA投与群で、末梢血好酸球数が高いほど増悪頻度が上昇するが、トリプルセラピーにすることで増悪頻度は末梢血好酸球数が低い群と同等になった。
LAMA/LABAに比して54ml ICS/LABAに比して97mlの一秒量増加。
すべての原因による死亡率では、LAMA/LABA、ICS/LABAよりもトリプルセラピーがもっとも低かった。
特に死亡率ではLABA/LAMAに比して41%減少、ICS/LABAに比し38%減少と著名な低下を認めた。
SGRQで測定した健康関連QOLでは、トリプルセラピーが-5.5点と有意に改善、LAMA/LABA、ICS/LABAでは有意とされる-4点を超えなかった。
治療中のすべての有害事象では、3群間に有意差は認められなかなった。
肺炎発生率は、LAMA/LABA 5%、ICS/LABAで7%、トリプルセラピー 8%と有意に増加した。
重症肺炎は有意差なし、軽症肺炎の増加はある。

まとめ

カテゴリーD 1000人にトリプルセラピーを行ったとすると、
肺炎は61件→ 96件・・・ 肺炎35件増加、
急性増悪は1148件→923件・・・225件の減少、死亡は45%減少。
リスク以上にベネフィットが上回っている結果である。

自験例から考えるトリプル治療

石川暢久先生

日本人のCOPDの代表的特徴 

喫煙者の5人に一人が罹患する。
有病率は欧米と同等。
男性、痩せ型、高齢者、気腫型。
未診断がおおい。
日本人の59%は軽症、と評価されている報告がある。

COPDのガイドラインではLAMA → LAMA/LABA →喘息合併例にトリプルセラピー

ACOの診断と特徴についてガイドラインをもとに説明された。
ACOの重症度に応じた薬物治療
軽症ICS/LABA 、中等症ICS/LABA +テオフィリン、重症 ICS/LABA+アジスロマイシン
最重症 トリプルセラピー・IMPACT試験日本人集団の解析トリプルセラピー149例、FF/VI 149例、UMEC/VI 80例
増悪頻度 0.9回/年、初回増悪頻度までの時間は延長、SGRQの変化は-5点以上(有意差はなかった)
有害事象 肺炎発症は27例18%、ICS/LABAも18%、LABA/LAMAでは5%。

演者らの経験症例から考えるトリプル治療

ACO、ACO疑い、pure COPDの3群に分けて検討した。
ACO52例、COPD25例(主治医診断)
背景因子としてACOおよびACO疑い例はpure COPD と比較し気道可逆性陽性が有意に多く末梢血好酸球数で有意に高値。
ACOの32%がトリプルセラピーを実施されていた。
主治医診断を手引きで再判定したところ、COPD25例のうち8例はACOまたはACO疑いであった。
最終診断名と治療法について
FENOと総IgE値が高値の症例にICSが入っており、pure COPDはいずれも定値であった。

病態から考えるトリプルセラピー -FULFIL試験-

桑平一郎先生

AJRCCM 2015 191 504-13 肺胞の電顕写真
AN REV RESPIR DIS 1991 144 901 COPD電顕写真 

FULFIL試験

N=1810 
トリプルセラピー(FF/UMEC/VI)N=911VS  BUD/FOR、N=899 (うち喫煙者はそれぞれ44%いる)
主要評価項目 24週時点でのトラフFEV1変化量 、SGRQスコア
結果 24週後 トリプルセラピーにおいてトラフで179ml増加した。
SGRQは-6.6点と有意に改善した。
この効果は52週まで持続した。
増悪頻度はトリプルセラピー群が有意に抑制(24週で35%減)した。
CATスコア、TDIスコアのいずれもトリプルセラピーが有意に改善した。
安全性において2群に有意差なし。24週では一時的にトリプルセラピー群がやや多かったが52週で有意差なくなった。

パネルディスカッション

Q. LAMAは欧米では心血管リスクがよく問題といわれている。
A. 心臓はM2受容体だけであるが、LAMAはM3が主だがM2にも多少作用する。
心筋細胞のM2受容体をブロックすると頻脈性の不整脈が起こりやすくなる。M3受容体からのdissociation よりもM2受容体からのdissociationが10倍はやいので、多少M2に作用しても問題ないレベルと考えられる。

Q. 肺炎に関してどのように注意すればよいか
A. 日本は簡単にCTが撮影できるので、CT撮影して陰影があれば肺炎とされる。なので肺炎が高率になっているのかもしれない。ただ入院も日本人が多いのは事実だが、欧米と比較して医療機関にアクセスしやすいのも理由にあるであろう。

Q. rapid declinerにトリプルセラピーの効果はどうか
A. データはないが、パネラーの意見では有効性はあるのではないか。IMPACT試験ではサブ解析をしており、好酸球数や総IgEも測定して効果判定していることから、必ずしも喘息合併患者にだけ有効だったとは考えていない。

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