2019年7月18日に、GSK Asthma Meeing in 備後が開催され、私が特別講演の座長を行いました。

2019年7月18日に、GSK Asthma Meeing in 備後 於福山労働者会館みやび、が開催され、私が特別講演の座長を行いました。最新の知見を学んでまいりましたので以下に報告します。

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

たかが咳、されど咳~
喘息の診断と併存症~

三菱京都病院 顧問 呼吸器・アレルギー内科
安場広高先生

全国電話調査によると、
呼吸器内科に初診の症状は、呼吸困難20%程度 息苦しさ25%程度 長引く咳30%以上
治りにくい風邪 などが主要な症状であり、初診の症状は咳で半分を占める。
遷延性咳嗽における咳優位型、咳喘息の早期診断と早期治療介入が重要である。

・咳がいつでるのか

早朝か起床時だと50%以上喘息である。
運動後や気温変化による咳は気道過敏性の咳であることがあおい、
喉の違和感はあまり重要ではない。イガイガ
鼻の症状
タバコ吸っているときは診断よりもまず禁煙から指導すること
周囲に咳が同様にあるなら百日咳などを考慮する。

・フローボリュームカーブ

%MMF 正常値は60%以上とされる。
最近はFENOを測定している・・・40以上は喘息と考えて良い
夜間覚醒するひと 7割喘息
喘鳴経験 8割喘息
両方あるとほぼ喘息である。
いずれかの場合、喘息+その他の咳の疾患がはいる。
・NO>40なら感度64% 特異度100%で喘息である。
22以上とした場合は、感度86%、特異度80%
・咳で目覚める 感度83%、特異度72%
FENO>37 感度52%、特異度99%
気道過敏性試験 感度93%、特異度87%
可逆性 感度41%、特異度100%
(演者 アレルギーの臨床 39 275-278,2019)

・治療2週目における末梢気道閉塞の可逆性

喘息・咳喘息の場合に、
%MMFの改善度 平均15%改善する
%Vdot25 の改善度 20%程度改善する

・遷延性咳嗽における咳喘息・喘息の診断で

先にしめした症状の特徴以外に、治療的診断ICS/LABAにより2-3日で夜中の咳が消失・・・かなり有効
鑑別診断
感染後咳嗽、最初に発熱、自然軽快傾向
GERD 質問表が有効 ・・さらにFENO10未満だとGERDかもしれないと演者は考えている。
・症例 40歳 女性 主婦
7月上旬からきっかけなく咳が出現、起床後に多い。
8月から咳が増強、WBC増多。抗生剤無効。3年前から同様のことが起きている。
KL-6上昇。
診断 過敏性肺炎
咳の続く症例ではKL-6を測るべきである。
症例2 72歳 女性主婦
KL_6上昇(700以上) しているが胸部CT異常なし。
約1ヶ月後のCTでやっとすりガラス陰影を生じた、BALでリンパ球増多。→過敏性肺炎と診断。
※夏場の遷延性咳嗽では、症状や検査値がそろわない軽症の過敏性肺炎が含まれるので、KL-6は測るべき。

・成人百日咳カタル期を過ぎて発症し、菌が消失したあとの百日咳毒素によるのもが主体である。

吸気性喘鳴はなく、吐くほど咳き込む
→ その後FENO上昇をともなう咳喘息を続発するものがある。
AZM-SRが有効 抗炎症作用によるものである。

・いわゆる花粉症の咳

ガイドラインにはアトピー咳嗽と記載があるが、演者は使わないとのこと。
春はもちろんだが11月前後にもスギやイネ科が少量飛散する。
花粉症の咳は基本的に昼間の咳で、眠前までに治まるという特徴がある。
FENO22-30ppb程度とやや高めか正常、40以上あると咳喘息合併している。
イネ科は咳喘息を合併しやすい。
治療は抗ヒスタミン薬を投与する。

・咳日記

早朝 日中 夜 夜中 にわけて咳の程度を0-3の4段階で記録。
例)咳喘息にアドエア®を投与した場合
FP/SAL合剤投与時夜の咳は3、毎日低下し2→1→ 0(4日目)
FF/VIは夕方一回すっただけで夜間の咳は3→0(1日目)
BUD/FM(シムビコート®) 1puffX2ではいつまでったても夜の咳は止まらない!!

・夜中の咳が消失するまでの日数

BUD/FM2puffX2以上なら1週間以内に咳がとまる。
VFC、FFC、FFC-DUOも1週間以内に咳が止まる。

・FP/SM(アドエア®)とFF/VI(レルベア®)の違い

夜間の咳の効果は同等、昼間の咳はFF/VIのほうが早い。吸入ステロイドの特徴の違いである。

・演者は初診時にFF/VI配合剤を使う、その理由

初めてみるボンベを押すくすり、つまりFFCはなれるまでに時間がかかる。
つまりFFC(フルティフォーム®)はなれるまでに2-3日かかる、7日間での評価ができない。
ただしスペーサーを使用すると7日以内に夜間咳がよくなる。
このような理由から咳喘息の診断のためにも演者はFF/VIから始める。

・気道収縮はリモデリングを助長する

NEJM2011のデータを紹介された。メサコリンで気道が収縮をするだけでもリモデリングが進行する。
そのため発作を繰り返すと重症化する。よってICS単独ではなくICS/LABAを推奨する。

・合剤をすすめる理由

最初にすすめられた薬がよく効けば刷り込み効果でまた次回もその薬を所望するようになる。最初によく効いた薬をまた欲しがるので、
最初にSABAを渡すのはむしろ危険!
発作予防の吸入ステロイドは毎日続けることが大切。
吸入ステロイドは虫歯予防の歯磨きと同じである。
レルベア、アドエアは1回分ずつ密封されているので、軽度湿気なら大丈夫、シムビコートはだめ。
吸入指導はやって見せ、やらせてみせて、を繰り返すことがもっとも重要である。

・喘息って一生治らないでしょう?といわれたら

吸入ステロイドは完全に中止することはできないが、一生つづけることもないでしょう。
演者の研究では、初診の咳喘息患者に対して、
3ヶ月以上症状が消失した状態が続いたあと、ICS/LABA頓用使用を指示。
 風邪気味のとき、咳がでるとき、早めに3日間吸入使用。
結果)初診の咳喘息のうち約半数が、60ヶ月後で頓用のままいける。
連用にもどす条件として、
 喘息小発作の出現
 3週間以上毎日吸入使用
 %FEV1が10%以上低下した場合
 FENOが高値を維持する患者
発作がでた人はなかなか気道過敏性がよくならない。
好酸球性副鼻腔炎(ECRS)合併の患者は全例が頓用での維持は無理である。
喘息発作で初診、末梢気道閉塞が強い、ECRS合併例 → ほぼ頓用は無理である。

・BUD/FM合剤 SMART療法は最終的に頓用。

Novel START study (NEJM May 20 2019)
SABAの単独の頓用は推奨しない、発作のときはBUD/FM配合剤の頓用である。
GINAガイドラインでも頓用はICS/LABAの使用を推奨しはじめている。
FF/VI合剤200よりもBUD/FM合剤8吸入あるいはFP/FM合剤1000 のほうが治療効果はよいとされるが、
患者はずっと吸い続けてくれないので、改善したらレルベアに変更したらアドヒアランスがよくなる

・FF/VI合剤の内部構造を知っておくと、デバイスの操作性がよくなる。

デバイスの操作性はエリプタ99%、ディスカス80.5%、タービュヘイラーは33%しか1回目の操作ができない。
FF/VI合剤は机の端にひっかけて開けられるが、タービュヘイラーは必ず両手が必要。

・SALFORD LUNG STUDYでは、

FF/VI合剤のほうが他剤より日常の症状が改善した。増悪の頻度は低下しなかった。

・フルチカゾンFPは非常に嗄声がおおい。

市販後調査では2ヶ月しか追跡しないので5%しか嗄声がないが、半年使用すると嗄声が5割近くになる。
FPによる食道カンジダ症
FPは非常に局所の免疫抑制効果がつよいので、フルチカゾンを飲み込むと食道カンジダも起こりやすい。
嗄声がおきたら
 FF/VI→ BUD/FM → HFA-BDP  + エアロチャンバー → シクレソニド+エアロチャンバー
アルコール過敏ではFP+エアロチャンバー
こむらがえり 振戦
 BUD/FMでおおい →FF/VI合剤に変更 これでもだめなら→ICS+抗コリン

・好酸球性副鼻腔炎(ECRS)

好酸球増多、篩骨洞炎、嗅覚脱失、喘息を合併していると必ず再発する!(重症ECRS)
診断基準: 両側病変、篩骨洞優位、末梢血好酸球5%以上
ステップ3以上の喘息患者では45%ECRSを合併している。

・ECRS合併例は末梢気道閉塞がつよい

・喘息が寛解する条件 (JACI2018)

鼻茸副鼻腔炎合併例は1例もなおらない。
ICSの吸入量が少ない。
PC20が低い。

・経鼻呼出  HFA-BDP(キュバール®)

なぜ副鼻腔炎に効くのか
点鼻では鼻孔から手前半分くらいしかとどかない。呼気だと鼻咽頭や後鼻孔にとどく。
症例1)演者の経験症例では、HFA-BDP経鼻呼出に変更すると喘鳴が消失し、1年でECRSがほぼ消失し嗅覚回復したものがある。
症例2)BUD/FM4puffX2を経鼻呼出すると約2ヶ月でECRSが著名に改善した例を提示された。
血中好酸球は低下し、嗅覚・味覚が改善した。

・抗体製剤について real worldでは、

オマリズマブ(ゾレア®)は、アレ鼻合併例に有効。
抗IL-5抗体製剤は、ECRS合併例に有効。
重症喘息でECRSを合併している場合、メポリズマブ(ヌーカラ®)投与で8割が1年間喘息発作を起こさなかったが、
一方でECRS合併していない末梢血好酸球のみ増加症例は著効にはならなかった。
→演者らは重症喘息の治療で経鼻呼出でも症状改善しない症例には、副鼻腔CTでECRS確認しメポリズマブとベンラリズマブの投与を行う。
少なくともオマリズマブは投与しない。 

・演者の分子標的治療薬の投与アルゴリズム

重症喘息にはステロイド全身投与する前にまず副鼻腔CTを実施、ECRSがあれば手術などして確定し必要なら手術。
さらに経鼻呼出しても改善しない場合には、抗IL5抗体投与を考慮する。
ECRSなくてアレ鼻合併例はオマリズマブから投与開始する。
オマリズマブ、メポリズマブなど無効症例に、デュプリマブに切り替えて投与する。

Q and A

Q. 咳喘息の増えている原因は?
A. 増えているというよりも診断がしやすくなったといえる。
咳喘息は保険病名として認められていないが、非専門の先生方に咳のみの喘息もあることを知ってもらえている。

Q. COPDにICS/LABA/LAMAの3剤はどのように使い分けるか。
A. アストラゼネカの開発している薬剤はpMDIである。薬剤としては非常に合理的なよい方法だが、大きな問題点として半押しが可能である。
半押しするとカウンターが進んでしまう。また、LAMAの1日量はBUD/FMベースの新薬は、少ない。1回量が8分の1である。
追加治療を可能としているのかもしれない。

Q. KLー6測定はななんのためか
A. 過敏性肺炎のスクリーニングのため。

Q. 経鼻呼出でECRS合併重症喘息のECRS病変はどの程度の割合でよくなるのでしょう。
A. 嗅覚回復45%、CTまで良くなるのは10%程度である。
FENOか末梢血好酸球数の低下をみればわかる。

※向かって右から2番目が安場先生

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