第119回日本内科学会総会・講演会その2

第119回日本内科学会総会・講演会 が2022年4月15日から17日まで開催されました。
WEB参加でしたので、何度も聴講いたしました。

(注意)あくまで私の聴講メモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。

目次

こちらの記事は以下の内容が書かれています。

●教育講演5 慢性腎臓病治療の新たな展開

東京医科大学腎臓内科学分野
菅野義彦先生

Hyperfiltration Theory 解消への治療エビデンスの確率
血圧コントロールはRAS阻害薬
血糖コントロール DPP阻害薬、SGLT2阻害薬
特にSGLT2阻害薬ダパグリフロジンは糖尿病性腎症だけでなく、非糖尿病性のCKDにおいて予後を改善することが示された。
SGLT2投与によりHyperfiltrationを解消(一度腎臓休ませる)すれば、その後のCKD増悪を抑制するが、投与初期はクレアチニン値が上昇する。患者に説明しないと投薬により悪化したと言われかねないので注意が必要である。

疾患ごとの治療法

・IgA腎症は、扁桃摘出しステロイドパルスを行うことで、当初は尿蛋白が多い予後不良なステージから予後良好なステージにまで回復させることができるようになっている。

・急速進行性糸球体腎炎RPGN
20年前は発症後数ヶ月で腎不全透析となっていた予後不良疾患であった。
治療法としてのステロイドパルスは変わりないが、CKDの概念により早期発見早期治療していることや、ステロイドのハンドリングが向上したなどの諸因子が予後改善につながっていると考えられる。

今後、ANRI、MR拮抗薬、抗補体薬、Nrf活性化薬などが期待される。
・腎機能低下に伴う合併症軽減による腎機能維持
腎性貧血、rhEPO、HIF-PH阻害薬、CKD-MBDなどはある程度進行したCKDだが、治療することにより腎機能の悪化が抑制されることがわかっている。

腎臓病のタンパク質制限

・サルコペニアフレイルの高齢患者に対して良質な蛋白を摂取(1g/kg/day)して運動しましょうとなっているが、CKDを合併した患者では正反対の指導となる!
2019年にサルコペニアフレイルを合併したCKD患者の栄養指針が発表された。
正解という結論はないので、その場その場で判断して決定する。
CKD進行のリスク>サルコペニア進行のリスク → タンパク質制限を優先する。
CKD進行のリスク<サルコペニア進行のリスク → タンパク質制限の緩和/タンパク質摂取を推奨する。
腎臓病は昔は若い人の病気だったが、いまは高血圧、糖尿病の終末像であり、高齢者の疾患である。
タンパク質はエネルギーも含んでいるので低たんぱく食をするなら高エネルギー食でなければならない。
CKD=蛋白制限 という時代ではなくなった。
・蛋白尿のないCKD患者は腎機能が低下しない
ステージG2からG5までのCKD患者(N=352)を3年間フォローした報告では、どのステージであろうと尿蛋白正常範囲(-から±)症例では腎機能(eGFR)の低下は認めない。

CKDを合併したサルコペニアフレイルの蛋白摂取について改めて考察すると、
CKD重症度分類においてA1のサルコペニアフレイル高齢者は蛋白摂取を推奨する。
という考え方がよいであろう。

●教育講演2 頭痛 最近の進歩

東海大学脳神経内科
永田栄一郎先生

・なぜ頭痛を診るべきか
背後の疾患を見つける・・・二次性頭痛(症候性頭痛)、基礎疾患を治すのが重要
ストレスのサイン・・・一次性頭痛(機能性頭痛)、患者のQOLを改善する
・片頭痛の発症機序
血管説、神経説、三叉神経血管説
頭痛を訴える動物は人間以外にないので実験動物で研究できないので「説」のままであるが、最近PETやfMRIなどにより病態が解明されつつある。
頭痛は、硬膜および脳血管動静脈周囲の三叉神経終末あたりに痛みを感じている。何らかの刺激で三叉神経からCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が放出され、動脈血管拡張し頭痛が生じる。一方三叉神経を介して脳幹、視床下部、視床、大脳皮質疼痛領域に達して頭痛を感じる。
片頭痛発作時の血中や唾液CGRP濃度が上昇し、発作消失で速やかに低下することが示されている。
・片頭痛の臨床経過
前兆はよく知られている現象だが、最近の研究で予兆期があることが判明した。
予兆期(pre-ictal) に視床下部活性化が既に認められ、三叉神経脊髄路核との functional couplingが増強する。
片頭痛発作中(ictal) は視床下部と橋背側とのfunctional couplingが増強する 。
片頭痛発作後(post-ictal) は視床下部と下部三叉神経脊髄路核とのfunctional couplingが増強する
→視床下部が片頭痛のgeneratorの可能性が示唆され、関連するホルモンとしてPACAP38が同定されている。→cGRPの次の治療ターゲットとして有力視されている。

頭痛の治療

頭痛診療ガイドライン2021が発刊された。
急性期治療として、Group1からGroup5に分けて推奨度が示されている。
・G1(有効)はトリプタン製剤であり、現在治験中はditan製剤(Lasmiditan)とgepant製剤(抗CGRP受容体拮抗薬)などがある。
トリプタン製剤の適切な服薬タイミングは、前兆期が終わってすぐから30分以内がベストで、遅くとも1時間以内である。早すぎても遅すぎても効果は半減する。

・Ditan セロトニン5-HT1F受容体作動薬 Lasmiditan(レイボー®)
Lasmiditanは5-HT1B 受容体への作用がほぼ無いため、血管収縮に影響を与えない
→トリプタン 製剤で禁忌とされている心血管疾患合併者に使用できる(心筋梗塞、虚血性心疾患、脳血管障害、一過性脳虚血性発作の既往、末梢血管障害、コントロールされていない高血圧症など)
Ditanは分子量が小さく脳血液関門を通過する。よって多少服用時間が遅れても脳内に移行して効果を発揮する可能性がある。トリプタン製剤は脳血液関門は通過できない。

予防療法

・片頭痛発作が月に2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に3回以上ある患者で検討。
急性期治療のみでは片頭痛発作により日常生活の支障がある場合や、急性期治療薬が使えない、あるいは永続的な神経障害をきたすおそれのある特殊な片頭痛には適応。

●招請講演5 COVID-19の現在と未来

川崎市健康安全研究所
岡部信彦先生

・日本のCOVID-19の感染状況を2022.1.1から4.16現在の統計では、感染者数554.7万人、死亡者数10553人、致死率0.19%である。致死率がかなり低くなったと言われるが、季節性インフルエンザの致死率は0.05-0.006%であり、COVID-19は致死率が高いといえる。
・第6波を起こしたオミクロン株はデルタ株以前と比較し明らかに臨床経過が異なっている。潜伏期間は2-4日(短い)、10%が無症状で、発熱、咳、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛が主で、味覚・嗅覚障害はかつて30%前後だが、オミクロンは数%と多くない。ウイルス分離は発症から9日目までである。PCR検査は発症1-2日前から陽性となり、抗原検査は発症から9日目まで陽性となる。肺炎は4-5%程度(かつては10-20%)である。ARDSは1-2%である。
・沖縄の疫学調査では濃厚接触者の二次感染の発症までは5日以内で97%、8日で100%であった。日本で発生したオミクロン株感染者の上気道から採取した臨床検体を調査した報告では、軽症または無症状感染者のワクチン接種者は、発症または診断後 6~9 日後まで、症状消失後も感染性ウイルスを排出していたので、この結果をもとに自宅待機期間が決められている。
・ワクチン3回目接種後10週間までのオミクロン株発症予防効果は、ファイザー社製で60%後半、モデルナ社製で70%前半程度であり徐々に低下する。重症化予防効果は90%以上あり、10週間以上でも70%以上の効果を維持する。
・4月中旬からオミクロン株BA.1からBA.2にかなり置き換わってきており、5月中に完全に置き換わることが予想されている。BA.2は感染力は強いが今のところ入院リスクや重症化リスクに関しては大きな差はない。BA.1感染後にBA.2に再感染した事例が少数ながら報告があり、主にワクチン未接種者である。
・ウイルスの変異は非常に早く判明する時代となった。変異の影響が今後そのウイルスは残るのか消えるのか、感染しやすいのか、重症化しやすいのか、といった検討が必要である。
・どうなるとwith coronaか
早期診断(早い簡便な検査)ができる、致死率が現在の半分以下〜10分の1以下となり通常に付き合える状態であろう。
できるだけ広げない工夫をし、重症者が適切な医療を受け、通常医療が維持できている、ワクチンの普及、などが重要である。

●招請講演2 パーキンソン病の病態理解と治療の最前線

京都大学医学研究科臨床神経学
高橋良輔先生

パーキンソン病は高齢化に伴い激増している。
多くは50-60歳ごろに発症し、明確な遺伝性は認めない。
パーキンソン病では中脳黒質のドパミン細胞が減少する。
パーキンソン発症時には線条体ドパミン神経終末の50%がすでに失われているという。
パーキンソン病の四徴:振戦、筋強剛、寡動・無動、姿勢反射障害と歩行障害
パーキンソン病の前徴:便秘、嗅覚障害、睡眠障害、うつ

・特発性REM睡眠行動異常症 iRBD
人は夢で見たことを行動には移せないが、生理的に筋緊張低下(脱力)するからである。
iRBDではその筋緊張低下が起こらず、夢がそのまま行動にでる。
iRBDの80%は10年後にパーキンソン病およびその類縁疾患を発症する。
すなわち、iRBDはパーキンソン病の前駆期における重要な症候である。
・パーキンソン病病理

・Lewy小体という神経細胞の中の塊で、α-シヌクレインが主要構成成分である。
α-シヌクレインはシナプス前終末にたくさん存在するタンパク質で正常ではシナプス機能に関わっている。
それが異常化すると、amyloidgenic intermediate → oligomer →protofibril → amyloid fibril → amyloid plaque/inclusion bodies に変化する。amyloid plaque/inclusion bodiesはレビー小体の本体であるが、神経毒性はない。レビー小体に至る過程の目に見えない小さい物質(oligomerとprotofibril)が神経毒性を持っており、これらを除くための抗体療法などが現在研究されている。

・Braak仮説
約20年前にBraak先生は多数の病理解剖検体からPD発症の仮説を立て、現在では支持されている。
すなわち、レビー小体はまず脳幹か嗅球から発生し、中脳などに範囲を広げ、大脳皮質にまで病理が及ぶという仮説であり、症状経過と見事に一致する。便秘・睡眠障害・うつ状態・嗅覚障害 → 運動障害(ここでPDと診断される) → 認知症・幻覚。
日本の研究者の貢献により、自律神経系にもレビー小体は発生することが示され、排尿障害や血圧調節障害を引き起こす。

・胎児の黒質細胞を移植したPD患者の病理解剖検体を検討した報告では(Nature Med 2008)、αシヌクレイン(αS)が患者の黒質細胞のみならず、胎児の黒質細胞に認められた。→ 異常なαSがまるで感染性があるかのように細胞から細胞に移っていくことが判明した。

・伝搬仮説に基づく新しいPDのサブタイプ
Body-First PD ・・・心臓や腸管の神経叢のαSが脳幹や嗅神経に及んでその後広がる
Brain-First PD・・・嗅神経や脳からのαSが全身に広がる
演者らの研究するRBDではBody-Firstがほとんどである。
嗅覚低下の激しいPDと嗅覚障害のないPDでは、嗅覚障害ありのPDでは3年後に認知症になるという。
すなわち嗅覚神経の異常なαSが海馬などに伝播したと考えられる。
一方、脳幹下部は腸を支配している。胃腸の神経細胞にはレビー小体の存在が知られており、腸から脳幹にαSが伝搬するという考え方がBrain-First PDの仮説である。つまりパーキンソン病は腸が先行する病変部位ではないかということである。
デンマークからの報告では、かつて消化性潰瘍治療として実施された迷走神経切断した患者(N=4000以上)において、本幹を切断した患者と部分切断した患者では、本幹切断患者においてPDで発症がコントロールと比し有意に少なかった。部分切断では発症に有意差はなかった。

マウスの胃幽門部に異常なαSを注入した実験では、10ヶ月後に脳に異常なαSが広がりPD様症状が発現したという(Neuron 2019)。 →本当に人で起きているかについては今後の研究を待つ必要がある。

早期パーキンソン病の治療

PDは発症してからでは治療はなかなか難しい。発症抑制がのぞましい。
・運動習慣がPDで進行抑制する可能性
演者らの報告では、1回1-2時間/週1-2回の運動習慣がPDの進行を抑制する可能性がある(Neurology 2022)。
6年間の観察で、中等度の運動は有意に、家事程度でも若干の進行抑制はある。

抗パーキンソン薬
多数あり専門家でも適応に迷う場合もあるが、初期治療で特に重要なのは、
 L-dopa、MAO-B inhibitor、Dopamine agonist
の3つである。

・L-dopa(Levodopa)
50年以上も前に開発されたが、現在もPD治療のゴールデンスタンダードである。
長所:内因性ドパミン前駆体で血液脳関門を通過する。
  もっとも強力な効果を有し、最も副作用が少ない。
  比較的安価
短所:血中半減期が短い(60-90分)
  長期投与で運動合併症が出現する・・・以下に制御するかが薬物療法の課題である。
運動合併症とは、
 ウェアリングオフ・・・薬切れで体が動かなくなる
 ジスキネジア・・・薬投与で異常運動を起こす
投与初期は治ったのではないかというくらいに有効だが(ハネムーン期)、まずウェアリングオフが起こりやすくなり、長期経過でウェアリングオフとジスキネジアを交互に起こすような苦しい状況に陥る。

・持続的ドパミン刺激
生理的な黒質線条体ではドパミンの濃度は一定であるが、PD患者では1日3回服用するL-dopa速放錠によりドパミン濃度がパルス状に増減する。これが数年続くことにより異常な可塑性が生じて運動合併症となるのではないかと考えられている。
→現在はL-dopa徐放錠を投与する。
運動合併症の発症時期はレボドパ(L-dopa)の治療期間とは無関係という報告があり、むしろ投与を遅らせるほどハネムーン期が短いことが示された。→早期から投与してよい。
・STRIDE-PD studyからみた運動合併症のリスク因子
ジスキネジア、ウェアリングオフ、のいずれも、若年発症でL-dopa投与量が多い(400mg以上)ほど発生しにくいことが示された。

・ドパミン受容体刺激薬(ドパミンアゴニスト、DA)
レボドパの短所を補うために開発された。
長所:有効時間が長い・・・多くは血中半減期が5時間以上
  運動合併症を起こしにくい・・・レボドパでは800日で半数が発症するが、DAは起きない。
短所:効果がL-dopaに比較して弱い(進行期の患者では単独治療は不可能)
  副作用が多い。 一般的な副作用(消化器症状、眠気、末梢性浮腫、幻覚)に加えて、重大な副作用が知られる。
   重大な副作用・・・心臓弁膜症、突発性睡眠、衝動制御障害
  高価である

・ドパミンアゴニストと副作用
共通の副作用
眠気·嘔気(麦角系<非麦角系)
幻覚
衝動的行動(病的賭博、性欲亢進、病的な買い物など)・・・人生を壊滅させる可能性のある副作用である
すぐに出てくるわけではないので、注意深く経過観察すべきである。

麦角系薬
 線維化(心臓弁膜症、後腹膜線維症、肺線維症など)のリスクあり
→第一選択薬としない。
使用する場合は、投与前と投与開始後 3~6ヵ月以内に、それ以降は少なくとも6~12ヵ月毎に心エコー検査を行う。
禁忌:心エコーで心臓弁尖肥厚、心臓弁可動制限など弁膜病変があれば、あるいは既往がある場合
非麦角系
 突発性睡眠(自動車運酝、機械の操作、高所作業不可)

・MAO-B阻害薬
アストログリア細胞のミトコンドリアの外膜にMAO-B酵素は発現している。中枢神経でドパミンを分解する。MAO-B阻害薬はこれをブロックしてドパミンを長持ちさせる、ということである。
初期治療でも有効、レボドパと併用しても有効。
DAに比較すると効果が弱い。
・PD-MED試験 (LANCET 2014)
未治療あるいは発症6ヶ月未満のPD(N=1620)を、L-dopa群、DA群orMAO-B阻害薬群、に無作為に割り付けて7年間追跡した試験。もしDA群やMAO-B阻害群においてコントロール不良の場合にはL-dopaを併用してもよい。
→結果、DA群とMAO-B阻害薬群間に運動能スコアや全QOLにおいて有意差なし。

・日本の早期PD治療のアルゴリズム(パーキンソン病治療ガイドライン2018)
診断後、患者の治療希望があれば治療開始。
精神症状の発現リスクが高い、あるいは、当面の症状改善を優先させる特別な事情がある場合 → L-dopa(レボドパ)開始。
ない場合には → 運動合併症のリスクが高い → MAO-B阻害薬かDAが優先される・・・効果が弱く多くの場合経過中にL−dopa併用となる。
特別な事情はなくても、運動合併症のリスクが低い場合 → L-dopaで治療開始
※たいていの場合は特別な事情があるので、結局のところL-dopaで治療開始されることが多い。

進行期PD治療の治療

・すでにL-dopaは投与中であるので、補助薬を用いてなんとか合併症を管理しつつ投与量の調整を行う。
以前はこれで手がなかったが、最近はDAT(Device Aided Therapy)が効果を認める。
脳深部刺激療法(DBS)およびL-dopa腸管内持続投与療法(LCIG)などである。

・デバイス補助治療(DAT)の5-2-1基準 (Curr Med Res Opin 2018)
ー日のL-dopaの服用回数が5 回以上、または
オフ時間が2 時間以上 、または
日常生活に支障となるジスキネジア (troublesome dyskinesia) が1 時間以上
このいずれかを満たす場合にDATの適応が考慮される。
・脳深部刺激療法DBS

なぜ有効か。
局所フィールド電位(LFP)記録で、視床下核や淡蒼球内節の低 β帯域(11-20Hz)成分の発振現象(β-oscillation)の増加は運動症状の悪化と相関していた。β-oscillationはlevodopa投与により減弱,運動症候の悪化により増強した。
DBSで用いられる130Hz 程度の高頻度刺激で, β-oscillationが低下し効果を示すものと推測される。
最近はβ−oscillationが増加したタイミングのときだけDBSを行う「adaptive DBS」が開発され保険適用となった。

・L-dopa持続経腸療法(LCIG:L-dopa/Carbidopa-intestinal gel)
空腸はL-dopaの吸収部位であるが、PDが進行すると腸管が動かなくなるので経口投与では吸収が不安定となり運動合併症が出やすくなる。
そこで、carbidopaを25%含むL-dopaのゲル剤を空腸に輸液ポンプで持続投与すると運動合併症がでず臨床経過良好となる。
演者らも参加したアジアの共同臨床試験(N=30)では、L-dopa経口投与患者をLCIGに変更後オフ時間は平均4.6時間減少し、快適なオン時間は6時間増加、非運動症状(気分・認知・睡眠・疲労)は24ヶ月に渡って改善させた。
他の報告でもオフ時間を6時間減少、ジスキネジアスコアが3分の1に減少した。

今後期待される治療法

MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)・・・片側の振戦がつよい場合VIM核を超音波で焼き切ると劇的に改善する

iPS細胞移植治療 ・・・iPS細胞をドパミン神経前駆細胞に分化誘導後に移植。京大病院で2018年に開始され7例に施行。2年後に結果がでる。

PDの遺伝子治療・・・芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC:レボドパをドパミンに変換する酵素)を遺伝子治療で線条体ニューロンに投与しドパミン合成を回復させる。自治医大で開始予定。

コメントは停止中です。