CKDについてまとめました

慢性腎臓病CKDについてまとめました。
健診で血尿や蛋白尿が指摘された方は注意しましょう。

CKDとは

原疾患、GFR、蛋白尿・アルブミン尿 の3項目からなるCGA分類をもとに診断・分類される。
CKD 診断のための評価:
・診断と重症度評価のために、尿検査、血清クレアチニン検査、尿中クレアチニン値と尿蛋白または尿中アルブミン
の同時定量を行う。
・血清クレアチニン値と年齢および性別からeGFRを計算する。ただし、極端に筋肉量の多い/少ない人では血清シス
タチンCの値からeGFRを計算したほうがより正確になる。

■CKDの診断基準

以下のいずれかが3カ月を超えて存在する場合に診断する。
腎障害の指標1−5の1つ以上、または6
1.腎障害の指標アルブミン尿(AER≧30mg/24時間;ACR≧30mg/gCr)
AER:尿中アルブミン排泄率,ACR尿アルブミン/Cr 比
2.尿沈渣の異常
3.尿細管障害による電解質異常やそのほかの異常
4.病理組織検査による異常,画像検査による形態異常
5.腎移植
またはGFR低下
6.GFR低下GFR<60mL/分/1.73m²

■CKDの重症度分類

重症度分類に用いられる指標
eGFR:日本腎臓学会の開発した日本人におけるGFR推算式によりを計算される
尿蛋白/クレアチニン比:尿蛋白の評価として蓄尿による24時間尿蛋白排泄量にかわり用いられる
(エビデンスに基づくCKDガイドライン2018 P3表1を参照:ネットで閲覧可能)

■CKDの疫学と基礎疾患

最近の健診データから15〜20%程度の有病率が報告されている。
・CKD発症の危険因子
蛋白尿、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、高尿酸血症、喫煙、肥満、などの生活習慣病要因である。
・代表的なCKDの原疾患
新規透析導入の原因疾患:糖尿病41.6%、腎硬化症16.4%(高血圧や加齢が要因)、慢性糸球体腎炎14.9%
保存期CKD患者:腎硬化症が最多。
腎硬化症や加齢が原疾患の場合、蛋白尿を伴わない軽度の腎機能低下者が多く、腎機能低下速度が比較的緩やかである。
一方で、糖尿病性が原因疾患場合、蛋白尿が多く腎機能低下速度の速い患者群(rapid decliner)がいるので注意が必要である。
CKDは末期腎不全と心血管病の重要な危険因子ことが特に問題である。
我が国では年間4万人が維持透析療法を開始し、2019年時点で34万人超が透析している。

◆腎臓専門医への紹介のタイミング

①血尿を伴う蛋白尿
②血尿単独だが尿沈渣で腎炎型所見を認める
③高度蛋白尿を認める
④すでに腎機能が低下している

●血尿を伴う蛋白尿の患者

・蛋白尿は末期腎不全の高リスク群なので、腎臓専門医の早期介入が必要である。
蛋白尿単独よりも血尿を伴う蛋白尿ではよりリスクが高い。
まず尿細胞診や尿路系画像検査で泌尿器科的疾患を除外する。
その後確定診断のために腎生検がのぞましい。
・血尿を伴う蛋白尿を呈する疾患
IgA腎症
膜性増殖性糸球体腎炎
ループス腎炎
・IgA腎症
10年間で15-20%が末期腎不全に至る。
約70%が健診の尿異常所見で発見される。
治療はレニン・アンギオテンシン系阻害薬、口蓋扁桃摘出術、副腎皮質ステロイド、抗血小板薬など
本邦では、口蓋扁桃摘出術+ステロイドパルス併用療法(扁桃パルス療法)が有用とされ、早期治療介入できれば8割以上に有効である。
血尿単独でもIgA腎症は否定できず、腎炎型尿沈渣所見(赤血球円柱や顆粒円柱)を認めるなら、腎臓専門医への紹介が望ましい。 なぜなら、血尿の持続は腎機能の予後に関与している報告があるからである。

●高度蛋白尿の患者

蛋白尿が0.5g/日または0.5g/gCr以上の患者(A3区分)では、腎臓専門医に原則紹介すること。
腎生検による組織学的診断が必須である。
一次性疾患:微小変化型ネフローゼ症候群、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症
二次性疾患:糖尿病性腎症、ループス腎炎、その他の感染症や悪性腫瘍など。
急速進行性腎炎症候群(RPGN)は特に予後不良であり腎臓専門医に早期紹介。
ANCA関連腎炎、抗糸球体基底膜抗体型腎炎、ループス腎炎などがある。
治療;初期寛解導入療法として副腎皮質ステロイドと免疫抑制剤の併用療法が標準治療である。

●すでに腎機能が低下した患者

CKDステージG3b(eGFR=<44mL/分/1.73㎡)では、
血圧上昇、体液過剰、電解質異常、腎性貧血、CKD-MBD、代謝性アシドーシスが出現する。
致死的不整脈や心不全のリスクが高い。
原則腎臓専門医による治療である。

●CKD進行を抑制するための血圧管理(高血圧治療ガイドライン2019より引用)

蛋白尿の有無、糖尿病合併の有無、年齢、の3つにより降圧目標や治療薬の選択が定められている。
1.蛋白尿陽性の場合 (蛋白尿0.15g/gCr以上)(糖尿病では微量アルブミン尿30mg/gCreでもよい)
糖尿病の有無に関わらず、130/80mmHg未満を推奨する。RA系阻害薬を第一選択。
2.蛋白尿陰性の場合
RA系阻害薬、Ca拮抗薬、利尿薬のいずれかから選択する。
糖尿病合併なしでは140/90mmHg未満を推奨する。
糖尿病ありでは、130/80mmHg未満を推奨する。

●蛋白制限

CKDステージG1,G2では過剰にならないように、サルコペニア合併例では1.5g/kgBW/日
G3aでは0.8〜1.0g/kgBW/日、サルコペニア合併例では1.3g/kgBW/日
G3b、G4,G5では0.6〜0.8g/kgBW/日、サルコペニア合併例では0.8g/kgBW/日

●塩分制限

食塩摂取量は3〜6g/日

●酸塩基・カリウム代謝異常

CKD患者では、血清カリウム値4.0mEq/L〜5.5mEq/Lで管理する。
高K血症を認める場合には、RAS阻害薬調整、代謝性アシドーシス補正、食事指導、K吸着薬の処方などを考慮する。
・K吸着剤
極度なK制限をさけ、RAS阻害薬を継続するために重要である。
SPS:sodium polystylane sulfonate ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート®)
CPS: calcium polystylane sulfonate (アーガメイトゼリー®)
SZC: sodium zicronium cyclosilicate (Lokelma ロケルマ®)2020年に発売。
 SPSの9倍のK結合能、投与開始後1時間で効果が発現する。投与後重炭酸濃度の上昇が見られる(機序不明)。
・重曹sodium bicarbonate 炭酸水素ナトリウム
CKDステージ3以上において投与すると腎不全進行を抑制し末期腎不全リスクが低下する報告がある。
CKDステージ4以上で静脈血血ガス分析を実施し、重炭酸イオンが21mmol/L以下なら重曹1.5g/日の投与開始する。
ただし高齢者CKDでは重曹投与は予後を改善しない。

●保存期CKDに対する治療戦略(クリニックでの対応)

血圧管理と蛋白尿管理:レニン-アンギオテンシン系阻害薬を中心とした治療がゴールドスタンダードである。
腎機能保護:SGLT2阻害薬が血糖管理とは独立して腎機能保護作用や心保護効果が示されている。
水・電解質・酸塩基平衡の管理
脂質異常に対する治療
尿酸レベルの管理が必要
腎性貧血
CKDにともなう骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD: CKD-mineral and bone disorder)

腎性貧血の危険因子
GFR区分が進行する(より重症になる)程、65歳以上、女性、アルブミン3.5mg/dL以下、CRP 0.3 mg/dL以上、
NaとClの差が30mEq/L以下(代謝性アシドーシスの指標)

尿酸値異常と電解質異常
尿酸7.0mg/dL以上の高尿酸血症の危険因子は、
GFR区分G3b以上、および高ナトリウム血症、低カリウム血症。
高尿酸血症の原因は腎機能低下に加えて、利尿薬使用と関連することが示唆された。
血清尿酸値の管理目標は6.0mg/dL以下である。

GFR区分が進むほど、高カリウム血症、高リン血症、低ナトリウム血症、高カルシウム血症が増加した。
K正常値4.0〜5.4(mEq/L)、補正Ca正常値8.4〜10.2(mg/dL)、P正常値2.5〜4.4(mg/dL)
特に低ナトリウム血症と高カルシウム血症は利尿薬とビタミンD製剤の使用による影響と考えられる。
NaとClの差=<30mEqだと代謝アシドーシスの可能性が高い。

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