「気管支喘息治療における最新の話題」

あくまで私の聴講メモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。

福山呼吸器疾患カンファレンスに出席し、座長をいたしました。
演者 足立満先生 国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科

「気管支喘息治療における最新の話題」

  • 喘息の診断の目安がアレルギー学会のガイドラインには示されているが、気道過敏性は喘息のみの特徴である。
  • 非アトピー型喘息の喀痰中に、ダニ抗原の特異的IgEが陽性という報告があり、血清の特異的IgE抗体だけではアトピー体質かどうかを推し量れない。
  • 高齢者では喘息の診断に、その他の心肺疾患の除外診断が重要である。
  • 抗IL5抗体は猿には有効であったが、初期の報告では人には無効だった。2010年NEJMの報告では末梢血好酸球の増加している喘息患者では抗IL5抗体は非常に有効で、喘息急性増悪を抑制した。
  • 喘息気道では活性化好酸球が浸潤しているが、陽電荷のMBPが陰電荷のM2受容体に結合して、アセチルコリン遊離抑制機能が失われている。
  • 吸入ステロイドは治療効果に用量反応性があるが頭打ちとなる。(JACI1998)
  • 吸入ステロイド倍量よりも吸入ステロイド+チオトロピウム上乗せあるいはサルメテロール上乗せのほうが肺機能改善などの治療効果が高い。
  • 喘息患者では、メサコリンで誘発された気道収縮でも気道炎症が惹起されリモデリングが起こりうる。(NEJM2011 )
  • チオトロピウムは気道過分泌に有効(M1,M3受容体を阻害する)
  • 喘息患者の急性増悪では、β2刺激薬 + ipratropiumを反復投すべきである。発作による入院率も低下させる。
  • GINA2014では、SABA+ipratropium併用で、SABA単独よりも入院を減少させ、PEFや一秒量の改善となると示している
  • PrimoTinA−Asthma試験ではICS/LABAが投与されている喘息患者(N=912)にチオトロピウムレスピマットを吸入させると、一秒量の変化率が48週で+154ml、を認めた。
  • CadenTinA−Asthma試験は日本人の喘息患者(N=285)を対象に実施した。トラフ一秒量は112ml増加した。
  • 症例:ICS/LABA投与中の患者が、喘息発作時のプロカテロールエアゾール吸入で動悸がする → 日常の薬(コントローラー)としてICS+チオトロピウムレスピマットを処方し、発作時の薬(レリーバー)として小児用プロカテロール1吸入+オキシトロピウム2吸入で管理が安定した。
  • 症例:公共乗り物の運転手。ICS/LABA 、オマリズマブ、内服ステロイド薬などを投与中の重症喘息であったがLABAの副作用およびステロイド内服による交感神経感受性亢進作用の影響と考えられる発作性心房細動(PAF)を頻発するため運転ができず、職を追われかねない状況であった。→ コントローラーとしてICS/LABA1吸入1日4回、発作時プロカテロール1吸入+オキシトロピウム2吸入でPAFは発症しなくなった。
  • 気管支喘息にLAMAを投与する目安
    1. ICA/LABAでコントロール不良例
    2. ICSの副作用がある場合
    3. LABAの副作用がある場合

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