2018年6月7日に福山ニューキャッスルホテルにて開催された講演会「明日から使える!喘息診療実践セミナー in 福山 」の座長をいたしました。

2018年6月7日に福山ニューキャッスルホテルにて開催された講演会「明日から使える!喘息診療実践セミナー in 福山 」の座長をいたしました。最新の知見も学びましたので報告します。

明日から使える!喘息診療実践セミナー in 福山 於福山ニューキャッスルホテル

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

特別講演1 
タイトル:患者さんに合った喘息治療

演者: 中国中央病院呼吸器内科医長
池田元洋 先生

・喘息は臨床症状として変動性のある気道狭窄が特徴である。
アトピー型 70%、非アトピー型 30%
今後高齢者の喘息患者が問題になってくる。高齢者は喘息死が明らかに多い。
・気道感染、過労、ストレスが3大誘引であるが、死亡例が重症喘息とは限らない。
アレルギー疾患による医療機関受診数は年々増加傾向である。
喘息発作の急性増悪の理由は①風邪 ②天候 ③ホコリ である。
喘息と診断されると付随して困った問題もでてくる。
 過大に診断すると禁忌薬剤が使えなくなる。
 過小診断では治療すべき喘息が見逃され、軌道リモデリングが進む。
・診断:喘息予防・管理ガイドライン2015の診断手順をもとに診断を行う。
アレルゲン検査の感度は、 皮内テスト>プリックテスト>CAP-RAST>RAST の順である。
喘息と診断する前にかならず胸部レントゲンを行い、その他の疾患を除外しておくことが重要。

治療について

①吸入ステロイド ②LABA ③LAMA
①②③のすべてを併用してもコントロール不良な喘息を難治性喘息と定義し、専門医へ紹介する。
演者に他院から紹介された患者のうち、吸入指導を行っただけで改善する患者は24%もいた。
吸入指導を1回だけ行った場合、吸入方法をマスターできたのはおよそ3分の1しかいない。
複数回指導が重要である。
吸入剤には、
 ゆっくり吸うもの エアゾール製剤、ソフトミストインヘラー
 速く吸うもの ドライバウダー製剤
息止めは少なくとも5秒以上が必要である。
鼻から吐くことにより、アレルギー性鼻炎にも有効である。
MDIについては、
 同調しやすい ・・・フルティフォーム
 中間・・・ オルベスコ
 同調しづらい・・・ フルタイド・アドエア
同調できない場合はスペーサーあるいはクローズドマウス法にて吸入する。

レスピマット

 噴霧速度が緩やかなので、ある程度同調できれば吸気流速が小さくても使用可能。
 アルコール臭がしない。
 弱点 噴霧時間が1.5秒と長く、噴霧量が最大になるのが1秒、早すぎるとむせるのでゆっくり吸うこと、ロック機能なし

ブリーズヘラー

 マウスピースが咥えやすい。抵抗が最も少なく吸いやすい。吸ったのを確認できる
 弱点 準備が面倒

ハンディヘラー

 1日一回で利便性に優れる
 弱点 準備が細かい、蓋の開け閉めに力が必要

ツイストヘラー

 カウンターがゼロになったら蓋が開かなくなる

ジェヌエア

 吸えているかを目と音が確認できる
 弱点 吸ったあとのジャリジャリ感

ディスクヘラー

今は殆ど使用しない

エリプタ

 ワンステップで準備完了、カウンターも多く見やすい

・その他、最新の治療として分子標的治療、気管支サーモプラスティについても簡単に紹介された。

特別講演2
タイトル:今日の喘息診療におけるピットフォール

演者:KKR高松病院副院長 呼吸器内科
森由弘先生

香川県が喘息死ワーストワンに昨年なった。
・現在喘息死は減少しているので、これからは喘息の治療の質が問われる時代である。
インターネット調査では、7割近い喘息患者が何らかの発作ありと答えている。
過去1年以内に入院、ER受診、不定期受診したのは31%もいた。
服薬状況の調査では、指示通りの服薬を100%守れている患者は、わずか47%であった。
・KKR高松病院におけるER受診患者は、ICSを服用していたのは52%、アドヒアランス不良66%。
現喫煙18%もいた。
・ACQUIRE STUDY
 過去に医師によってBAと診断され、4週間以上前から1剤以上の長期管理薬を処方されている患者 1243人を対象に
喘息コントロール状態を調査すると、
 ACQにてよいコントロールと答えたのは40%
 しかし喘息日誌だと9.1%しかいない。
咳・痰の症状を6-7割の患者が昼夜を問わず感じている。
 →医者は患者の状態を過小評価しているのではないか。

喘息治療における課題

 客観的指標による真のコントロール良好は10%しかいない!
 4人に一人は予兆と不安を感じている。
 予兆とは、通常とは異なる胸の息苦しさ、咳・痰が出そうになる、痰がのどに絡む、などの症状である。
・ACQUIRE -2
 専門医を受診している20歳以上の喘息患者
 合計870人のうち、12.3%が重症喘息であった。
107例の臨床的特徴は
 日中、夜間の症状が約75%、睡眠障害27%
 ACQスコア 14.1点?
・香川県下19施設 N=294名
 42%は主観的評価でコントロール良好
 しかし客観的症状では、46%は何らかの症状がある。
 せき・痰が最もおおい症状。
・Airway medicine と経鼻呼出法
(症例 81歳)
風邪罹患後に喘息発作が起きるまでの日数
 1-3日後 55%、 風邪と同時20%
喘息の発作重症度と風邪の重症度は無関係である。
風邪ウイルスは300種類くらいあると言われるが、喘息患者のライノウイルス感染後のBAL中の好酸球比率が有意に増加した。(AJRCCM2014)
喘息の急性増悪時は5日間のステロイド内服を行う根拠である。
炎症反応発現時のブデソニド早期投与による炎症抑制作用(in vitro)
→ 4時間以内にブデソニド投与すると、好酸球性炎症を抑制できる、遅れるとできない。
喘息12507人 風邪を引いたと報告してからほぼ3日以内に発作を発症し3週間つづいた。早期にICSを追加することが大事である。
・ONE Airway、One Disease
アレ鼻と喘息は密接な関係にある。
SACRA studyでは、アレ鼻合併喘息患者は67%である。アレ鼻合併例では喘息コントロールが不良となりやすい。
そこで、Airway medicineを行う意義がある。ICSを経鼻呼出法する。
・経鼻呼出法: チャンバーを使って微粒子吸入ステロイドを口から吸って、鼻から静かに吐く。
シムビコートは吸気流速が高ければ、粒子径がより小さくなり経鼻呼出が有効である。
(症例)64歳 男性 好酸球性副鼻腔炎
 シムビコート4×2 を経鼻呼出法併用で、非常に改善。
キュバール、オルベスコは呼吸中の量が10-20%
 アズマネックスで 5%
 フルディフォームやレルベアは呼気中には少ない。
コントロールが良好でもFeNO高値や嗅覚障害を伴う場合、必ず副鼻腔CTを撮影しECRS合併の有無を検索する必要がある。
香川アレルギーカンファレンスでのアンケートにおいて、経鼻呼出法を積極的に行っているのは呼吸器内科で10%、耳鼻咽喉科は40%実践していた。一般内科は知らない人が多かった。
今後の実践すべき課題である。
・SMART療法
風邪引いてもなんとか3日以内に喘息治療を強化して増悪を抑えたい。
気管支喘息は粘液が多いので、親水性の高いブデソニドが有用なのであろう。
ブデソニドは気管支拡張作用がある! という報告。 (Br JClin Pharmac1983 15 419-422)
この論文では、ブデソニド 1600マイクロ吸入 と内服で比較し、吸入で気管支拡張作用があった。ブデソニド吸入により1-2時間後からピークフローが改善傾向にあった。
・シムビコートの気管支拡張作用はSABAと同程度に早期から気管支拡張する。
・コクランレビューによると、SMART療法によるER受診などの臨時受診は減少させたが、症状コントロール状況は改善しなかった。
・Hozawaらの報告では、中等量ICS+SABA頓用 VS SMART療法 では、
SMART療法群がACQの改善がよく、FeNO値も低い傾向にあった。

重症喘息と個別化医療

(症例) 喘息発作を起こすと腹痛を起こす好酸球性胃腸炎の症例
末梢血には60%が好酸球であったが、経口ステロイド服用で経過良好だった。しかし6年服用で骨粗鬆症となったので、中止したところ喘息発作再発。ソル・メドロール点滴。その後ベンラリズマブ2回投与で好酸球がゼロとなり、全く症状もなくなった。
このような難治性の重症喘息は約10%いるといわれるが、分子標的治療が選択肢になりうる。
・喘息のフェノタイプとエンドタイプを用いた個別化医療
フェノタイプとは、臨床症状,呼吸機能, 発症年齢,血液・生化学的検査値など臨床的評 価に基づく分類である。
エンドタイプは、遺伝子 ならびに分子生物学的機序に基づいた分類である。
 高IgE→抗IgE抗体
 好酸球増多→抗IL-5抗体

質疑応答

Q. 経鼻呼出法に興味があるが、ICS吸入後の息止めはどのくらいしたらよいのか。
A. 実はあまり息を止めると肺に沈着し呼気にでなくなる。そのようなデータもある。
Q. 粒子径が関与すると言われたが、ドライパウダーとエアロゾルで差はあるのか。
A. エアロゾルの方がよいが、シムビコートについては速く吸えば粒子径を小さくしておけば効果がある。
Q. PM2.5は喘息増悪と関係あるか。
A. もちろん関係がある。ICSなどの薬剤がとどく部位と一致する。


演者の先生方と懇親会にて (中央:森由弘先生 右:池田元洋先生)

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