日本睡眠学会 第43回定期学術集会 於札幌コンベンションセンター に 参加しました。

日本睡眠学会 第43回定期学術集会 於札幌コンベンションセンター が2018年7月11日から13日に開催され、
睡眠医療に関する最新の知見を学んで参りました。

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

高齢者における代謝性(糖尿病)と睡眠

久留米大学内分泌代謝内科部門
田尻 祐司先生

糖尿病患者は増加の一途であり、
65歳以上が人口の21%を超えると超高齢化社会というが、日本は遥かに超えている。
日本では糖尿病患者の8割が65歳以上である。
不眠があると生活習慣病の有病率が有意に増加する。糖尿病は2倍、高血圧は2.5倍に増加する。
治療薬のSGLT2阻害薬は尿糖を増やして夜間頻尿を増やすことが懸念されている。
最近はDPP4阻害薬、メトホルミン、SGLT2阻害薬でほぼ治療できるようになっている。
・演者らはN=346 例(非高齢者N=156、高齢者N=190)の糖尿病患者に横断的観察研究を実施した。
睡眠スケールを目的変数として検討した結果、高齢者では特に中途覚醒が問題となる。
・3dimensional sleep scale 3DSS
位相、質、量について警戒・注意・良として評価すると、N=346例中
位相良は282、質は147が注意以下であった。
インスリン投与高齢患者では インスリンを注射しているものに睡眠量が少ない傾向であった。50%以上が注意レベル。
DPP4阻害薬投与例では睡眠の量が良かった。
糖尿病女性患者は寝ていない。理由は不明。
血糖コントロールが悪い患者は睡眠量が低下している。
不眠だから血糖コントールが悪いのか、血糖コントロールが悪いから不眠なのかは不明である。
多変量解析では、女性、睡眠薬治療でも改善なし、HbA1c が高いもの、の睡眠量が少ないことが判明した。


メカニズムから考える「夜間頻尿と睡眠障害」

奈良県立医科大学
笠原 正登先生

奈良医大で平城京スタディ

夜間頻尿の3大原因

 尿量増加 蓄尿障害 睡眠障害
蓄尿障害とは膀胱容積がへるとか過活動になって貯められないことをいうが、
抗コリン剤やβ遮断薬などで改善が比較的簡単である。
問題は尿量増加である。
尿量増加のメカニズム
腎臓の血流は腎の皮質に約90%(皮質に糸球体がある)、髄質に10%(尿細管がある)流れる。
髄質は血流が少ないため虚血にさらされやすい。尿細管は糸球体でろ過された原尿を90%再吸収する部位であるが、
ここが高血圧などで動脈硬化を起こして機能低下すると、尿を濃縮できなくなる。
高齢者が濃縮のかからない尿を出すのはこの機序である。
動脈効果や高血圧がおこると昼間はカテコラミンは高値となり、腎臓の血管抵抗は強めになるので思ったより腎血流は
増加しない。その結果尿量はやや低下して体にたまり、ANPもBNPもたまって夜に持ち越しとなる。
夜になるとカテコラミンは相対的に低下するので、昼間と全く逆のことがおきる。
つまり昼間よりもマシな血流となり、昼間よりも尿量をつくり、昼間溜めた尿が一気にでてくる。
高齢者が夜に尿で起きる理由である。

食塩感受性

食塩は摂取した同量を必ず排出しないといけない。食塩が体にたまると死に至る。
ある研究では、全く正常な学生に同量の塩を摂取させたら、血圧上昇群と上昇しない群が見られた。
上昇群は塩分を速く体外へ排出しにくい素因があり、血圧をあげないと食塩の排出がすすまない。
塩を出し切るまで血圧が高いまま維持されるのである。(食塩感受性)
食塩感受性高血圧患者に利尿薬を使うと、Na再吸収を抑制して尿への排出を増やす。
つまり非常に楽に塩を排出できるので血圧を上げることなく安全。
メタボは塩に感受性が高くなる。
ネズミに高脂肪食を摂取させると血圧が上昇してくる。食事を普通にもどすと血圧も戻る。
人間も同様であり低脂肪食を摂取すればよい。
過度のコレステロール摂取で尿細管でNa再吸収量が増加し血圧を上昇する。
→スタチン投与で血圧は低下することを演者は確認している。

夜間頻尿ではうっ血性心不全とSASも重要

原因は虚血である。
虚血でやられるのは尿細管であるが、
髄質低酸素→Na再吸収障害→Na利尿量増加 → 夜間多尿
SASがCPAP装着すると睡眠時の低酸素が改善し、夜間Na利尿が減少する つまりNa再吸収が増加し尿量が低下する。
利尿薬を投与して夜間尿が減ったり血圧低下する症例ではANPが高値だったが、夜間尿に効果ない群はANPは正常であったという。
体に水が溜まっていたということであり、昼間に尿を出せばよい。
睡眠薬が有効な群は、水がたまるたまらないにかかわらず夜間尿がでる。精神科かも。

まとめ

夜間頻尿の3大原因は演者の印象では、
 1.尿量増加 
   特に夜だけ多い群は内科の疾患が多いので注意・・・BNP100以上など
 2.睡眠障害
 3.蓄尿障害 ・・・いわゆる泌尿器科疾患


睡眠時間と健康:Mortality

大阪医科大学
池原 賢代先生

・睡眠時間と死亡については、7時間を底としてJ-shapeを呈する
・海外の報告では、32歳以上7844人10年間追跡し、8時間以上の睡眠で脳卒中発症リスクが1.5倍である。
約1万人を12-17年追跡した研究では、睡眠時間が6-8時間から以下に減った群、
あるいは8時間以上に睡眠時間が増加した群のどちらもCVD発症や総死亡が増加した。
・日本人を対象とした大規模疫学調査(JACC study:ikeharaら Sleep 2009 32 295-301)では
約10万人(40歳から79歳)を追跡した検討であるが、総死亡と睡眠時間について危険因子を調整しても7時間を底にUーshapeを示した。
つまり7時間より睡眠時間が短くても長くても寿命が短い。
短時間睡眠は総死亡とうつ傾向が増加する。4時間未満で1.3倍、10時間以上で1.5倍増加。
循環器疾患死亡は特に8時間以上の長時間睡眠でリスクが有意に増加。
脳卒中死亡もU-shapeであるが、4時間以下と長時間睡眠で増加が著しい。(約1.5倍)
寝酒と睡眠時間と出血性脳卒中死亡との関連を検討すると、
寝酒をしない短時間睡眠群(5時間未満)と寝酒をするものとの比較では、脳卒中リスクは1.3倍VS2倍に増加する。
女性は短時間睡眠で脳卒中が1.5倍に増加する。
・2017年のメタアナリシスでは、睡眠時間7時間を基準として、
短時間睡眠では、総死亡は1時間減少あたりのハザード比を算出し、総死亡は6%程度増加、循環器疾患では6%、虚血性心疾患7%、脳卒中5%のリスク増加する。
長時間睡眠では、睡眠時間1時間増加する毎に順に13%、12%,5%,18%とリスク増加が認められている。
高齢者における短時間睡眠により7%のリスク増加、長時間睡眠では総死亡リスク1.3.3倍増加。
別の報告でも長時間睡眠(9時間以上)では、循環器疾患、がん、呼吸器疾患、のいずれもリスクは増加した。
→なぜ長時間睡眠が悪いのか理由は不明である。

昼寝と死亡リスクとの関連

海外の報告では、高齢者の昼寝は総死亡リスクの増加と関連する、という報告がある一方でリスク低下するとの報告もある。
報告が一致しないので、JACC studyで検討した。
昼寝をする人の特徴は、高年齢、Sleep durationが長い、血圧が高い、うつ、仕事がない、教育歴が低い、体重減少がある、非常勤雇用、糖尿病、
などである。昼寝の人の総死亡は高い、5年以内の死亡でCVD、脳梗塞、心不全のリスクが高い。
昼寝と年齢で差異は認めない。

短時間睡眠(昼寝)と総死亡と循環器疾患死亡との関連について

断眠、短時間睡眠→交感神経活動亢進→血圧上昇・糖代謝異常が増悪→炎症性マーカー(CRP,IL6)が増加する 
更に短時間睡眠は、肥満、高血圧、糖尿病のリスクが増加するともいわれ循環器疾患が増加する要因であろう。
長時間睡眠では、肥満や糖尿病リスク増加すると報告があるがメカニズムは不明。
リスク増加の理由としては昼寝後に急激に血圧上昇するからではないか考えられている。
昼寝時間の影響は不明。

Q and A

コメント:昼寝30分以内はアルツハイマー病の発症予防となるが、1時間以上の昼寝は逆にリスクになる。
JACC studyではSASが潜在的なリスクになっていると考えられるので、合わせて検討されるのがよい。


高齢者に対する睡眠指導 (認知症を含む)

東京慈恵会医科大学
小曽根 基裕先生

不眠症の有病率は年齢上昇ともに増加する。
・加齢と睡眠
睡眠時間は加齢とともに減少していく。
10歳代8時間以上、25歳8時間、45歳7.5時間、60歳以後は6時間程度。
寝付きが悪くなっていき、深睡眠やREM睡眠が減少していく。
成人では単相性睡眠(一回寝付いたら朝まで寝る)であるが、
高齢者になると幼児と同様に多相性睡眠(寝たり起きたりを繰り返す)となる。早寝早起きになっていく。特に男性。
メラトニン濃度は高齢ほど低下するので、メラトニンピークが低くなり睡眠位相が後退していく。
高齢になると内科的疾患合併が多くなるが、内科疾患を複数持つ患者ほど不眠の有病率が増加する。
治療薬によっても不眠となりうる。
高齢者のOSASも不眠の要因として見逃せないが、その特徴は、
いびきが小さい、眠気の自覚が乏しい、AHIが高値でも睡眠中のSpO2低下の程度がすくない。
加齢にともなってムズムズ脚症候群も増加していく。寝付きを悪くする。
心理社会的な問題として、独居で孤立化、経済的不安など。
これらが複合的に高齢者の不眠の原因となっている。
・症例 64歳女性 寝付きが悪い、中途覚醒
総就床時間11時間30分
総睡眠時間6時間30分 睡眠効率56.5% →要するに長く寝ようとしすぎなのである。
不眠症とは、適切な睡眠環境 + 睡眠症状の訴え + 日中の機能障害を伴う がそろって初めて定義される。
本症例では就寝時間を2時間おくらせた。
睡眠薬の投与の前に、まず睡眠衛生指導。
・寝れないときの過ごし方として、例えば、夜間に目覚めてしまった場合、
起きて過ごすことを肯定的に考える。もらった時間と考えてラジオでも聞いてみる。
・一般市民に90分の睡眠認知講演をしただけで有意に不眠は改善した。
女性と不眠の不安に対する改善効果があった。
不眠がつよい人ほど床に入っている時間がながいので、修正が必要。
睡眠薬は認知症を1.5倍に増加する。
寝酒は睡眠の質を低下させる。
・加齢による睡眠の変化とアミロライドβ蛋白凝集
寝ている間に脳の老廃物が排泄される。不眠は認知症発症のリスクを高める。
・MCI(軽度認知障害)の睡眠構造 
特に不眠を合併したMCIほど、レム潜時の延長と%レム睡眠の有意な低下、オレキシン濃度が低下し、将来の認知症と関連する。
ノンレム睡眠は関連はない。
・9時間以上の長時間睡眠者は認知症発症リスクが高い。
日中の眠気のない群で長時間睡眠は脳内Aβ蛋白の蓄積が増加していた。
・昼寝の長さが60分以上であると認知症リスクが2倍に増加する。
昼寝は30分程度とし、17時以後に昼寝はしないほうがよい。
睡眠禁止時間帯 15時から20時。
・よりリズムを整える方法として
朝食時の高照度照射が睡眠を改善した報告がある。照度の低い場合の効果は不明である。


S20-1 子供の起床前漸増光照射

富山大学
神川 康子先生

・不登校に関する実態調査 によると、 1位友人との関係 2位生活リズム 3位・・・
眠りの質、昼間の活動状況、健康(頭痛、疲労度)、心の安定度、成績などが睡眠に影響していた。
特に就寝時刻が全てに有意に関与していた。
・夜更かしは悪循環の根源であり、
 朝から疲れている、起きられない、朝食が食べられない、便秘になるなどの状況が見られた。
年少から大学生まで、成長とともに寝起きが悪くなっている。
好循環とは、早寝 → 自立起床 → 気分のよい目覚め →十分な食事 →昼間の主観的集中力アップ
網膜に光→視交叉上核 →視床下部→松果体→メラトニン分泌
・漸増光照射(起床前30分から徐々に明るくなる)を行うと、
親から見た改善は(起床時の気分のよさ、目覚めの良さ)は58%にみられた(Vsコントロールは43%程度)。
漸増光は継続使用でより改善してくる。1週間継続で効果が実感できる。
午後の集中力もコントロール40% VS 照射群53%と良好だった。
33名の児童のうち18名が親に起こされていたが、漸増光照射後に9名に減った。
漸増光照射は、
 朝の子供の機嫌がよい。
 忙しい朝の時間帯にゆとりが生まれる。
 親から見て、子供と良好なコミュニケーションがとれる。
 保護者の朝のストレスも軽減できる。

Q and A

寝起きが良くなると成績がよくなるか
A 演者らの評価では有意差はなかったが、他の報告では集中力が高まったと自覚のある例では成績もあがることが報告されている。
Q 何分くらい光を当てるのか
忙しいサラリーマンの男性の場合は15分くらいの短い方が効果がある。
主婦の方は、家族に起床時刻を合わせなくてはならないので、起床時刻30分前から徐々に照射するほうが効果がよい印象である。
Q 子供は漸増光照射のとき途中で起きてくるのか
A 自立起床ができるようになるので途中でき起きるのだと思われる。


S20-2 大学生の寝室環境とクロノタイプ(朝方、昼型、夜型:概日タイプ)の関係について

高知大学
原田 哲男先生

演者は男子学生に遮光カーテンを使用させると睡眠覚醒リズムが乱れたり、睡眠覚醒リズムが自由継続する現象を観察した。
そこで学生対象に実態調査を行った。
Torsvall & Akerstedt11980の質問紙を使用。
一般的に夜型の人は成績が不良のことが多い。
女子で夜型の場合は月経が乱れて精神衛生度が悪い。
朝型の方が男女ともに精神衛生度がよい。
・窓が西向きの部屋に住むと、夜型になる!
窓が西向きの部屋では平日の就寝時間が遅い(24時)、起床時間も平均20分くらい遅い。
遮光カーテンを使うと、就床時間が遅くなる。
窓の向きと精神衛生の間には有意な関係はなかった。
遮光カーテンを使うと夜型になる。
まとめ 西向きの窓の部屋では、朝日を浴びる程度が最も低いため、毎日朝日による光同調が進まず、全体的に睡眠覚醒リズムの位相が遅れ気味になる。

Q and A

Q 遮光カーテンを使っていても西向き窓の対象者は夜型なのか
A 今後検討してみる。
Q 家族関係はどうか、家族と住むと子供の部屋を西向きにはしないので。
A 検討してみる。
 高緯度地域では、西に窓があるといつまでも光が差し込んでくるので、わざと西向き窓をつくらないと言われる。


S20-3 起床前漸増光による起床時眠気の低減と起床前睡眠状態との関係

京都工芸繊維大学(現在パナソニック(株)所属)
八田 和洋先生

1980年代 漸増光はうつ病患者の目覚めを改善すると報告
・2010年 漸増光は睡眠慣性持続時間に影響することが報告された。
0ルクスで起床すると(一般的なカーテンをした状態での起床)は60分くらい睡眠慣性が持続するが、
最大250ルクスの漸増光を照射で睡眠慣性時間は40分短縮される。
漸増光に確立された出力パターンはものはない。
出力時間・出力量・受光量などいずれも研究者でまちまちである。
受光量は少し体位変化するだけで大きく変わる。
睡眠状態が深いか浅いか(起床前の睡眠状態)によって光の覚醒作用は変化すると考えられる。
・そこで演者らはN=20 の健常者を対象に受光量と睡眠状態に着目して漸増光の効果について研究した。
青色励起のLEDの漸増光を使用。
受光量が多いほど起床時の眠気が少ない傾向にあった。
起床前の睡眠状態について検討すると、REM睡眠から起床した被検者は全員Phasic期であったが、
(注:レム睡眠にも種類があり、急速眼球運動が頻発するphasic期と急速眼球運動がほとんど出現しないtonic期があります。)
受光量として十分量あたっていると起床時眠気は少ない傾向にあった。
NREM睡眠からの起床では、漸増光受光量が多いほど起床時の眠気が低減される。
・寝姿勢に換算した起床前漸増光を測定した場合、
受光量の多い群は起床時眠気スコアが改善している傾向であった。
起床前の睡眠状態で比較すると、
 REM睡眠phasic期からの起床は起床時の眠気は改善しない。
 NON-REM睡眠からの起床のみ漸増光受光量に比例して起床時に眠気が低減した。
起床時眠気の低減には、受光する光量および起床直前の睡眠状態、特にREM睡眠のPhasic期であるかにも着目する必要がある。
今後の課題
良好な目覚めに必要な光量は250ルクスでよのか、それともmelanopsin作用が大事なのか。後者なら青色光が適する。
質疑応答
Q 本当に光だけでよいのか。
例えば、アラーム音は非常に寝覚めに悪影響を与える。起こし方も考慮するべきであろう。
REM睡眠Phasic期を判定するのは実は非常に難しい。なのでREM期は起こさない、ということが大事かもしれない。
体動が起き始めたたらアラームが鳴るというソフトも最近出てきた。
A 実は体動のあとに起こす実験をしたが、体動にもいろいろあって、演者らの研究では体動を感知した起床の刺激は良い結果がでなかった。
おそらく体重移動がはっきりあった場合に起床刺激をすれば、良い結果を得られたのかもしれない。


夜勤仮眠中の漸増光照射とメラトニン分泌の関係

北海道大学
李 相逸先生

Dawn simulation: 漸増光
冬季の起床時の目覚めをよくするとか季節性感情障害の治療などに用いられてきた。
・交代制勤務、夜勤が伴う健康問題
世界的に夜勤労働者は増えているが、2012年、日本では1200万人を超えている。
夜勤はがんリスクを高めると言われており、乳がん、前立腺がんのほか種々のがんにも関連しており
WHO国際がん研究機関(IARC)は、発がんリスクとなることを提唱している。
人では夜勤時に浴びる光がメラトニンを抑制し発がんに関連している可能性がある。
動物実験ではメラトニンが免疫能や抗酸化作用に関与するとされがん細胞の進行を遅らせる。
松果体の切除ががん細胞の成長を促進した報告がある。
・メラトニン分泌抑制は光照射で起こる。オレンジ色のゴーグル、ブルーライトを減らした低色温度光源、などで「メラトニンの抑制」が
ある程度抑制されなくなる。
・日本看護協会は、22時以降に8時間以上夜勤を続ける場合は、2時間以上の休憩(仮眠を含む)を取るべきであるとしている。
仮眠を取る際に光を浴びないことでメラトニンの抑制を抑えられる。
・模擬夜勤実験では、
 一晩光照射500ルクスを実施した群はメラトニンが抑制されたが、深夜3-5時に仮眠をとらせた直後にメラトニン分泌が増加した。
しかしメラトニンの分泌量は両者で差はなかった。その理由として
仮眠中に光を浴びないので目の暗順応がすすみ網膜の光感受性が高まって夜勤に戻ったときにメラトニン分泌が抑制されたのかもしれない。
仮眠中に起床する30分前に漸増光を照射することでメラトニン光抑制をより効果的に防げることがわかった。
仮眠の時間やタイミングは個人で違う可能性がある。


高齢者の健康問題を引き起こす光環境

奈良県立医科大学
大林 賢史先生

・光害(light pollution)
動植物は昼の日照時間を頼りに生活周期を決定しているが、夜が明るくなっていることで致命的な問題がおこる。
では、人はどのような光環境で寝ているのか、まだ不明である。
・演者らは日常生活の光暴露を実測した疫学研究(全戸訪問調査)を実施した。 
平城京 study
全戸訪問調査 N=1127 (欠損値を除くN=1110)
平均72歳
寝室の枕元に照度計・受光量計測機器を設置した。
日中の平均照度340ルクス
夜間 平均0.7ルクス
演者らは離床前の朝日(PAL)は悪いのではないか と仮設を立てた。
結果:PALが多い群では有意に睡眠障害が多かった。
夜型であった。
夜型は日中の光曝露量が少なく、夜の光曝露量が多い。
質疑応答
Q 睡眠障害は夜型化の影響の方がPALよりも大きいのではないか
A そのとおりだと思う。
PALが悪いのか、クロノタイプが悪いのか、両方なのかもしれない。今回の研究は横断研究なのでそこまでわからない。

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