粗鬆症治療におけるビタミンDの意義を考える

島根大学医学部内分泌代謝内科
准教授山内美加先生
以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

ビタミンDの代謝と作用経路について

・活性型ビタミンDの働きは、
Ca吸収・・・腸と腎臓
副甲状腺ホルモン(PTH)合成抑制 →ビタミンDが不足するとPTH合成が増加する
骨代謝調節
皮膚で日光を受けると7-デヒドロコレステロールがビタミンD(D2,D3)に変化する。ビタミンDは食事からも摂取される。ビタミンD2やD3は肝臓にて25(OD)Dに変化し、腎臓の1α-水酸化酵素にて代謝をうけ1,25(OH)2D(活性型ビタミンD)に変化して標的臓器細胞核内のビタミンDレセプターに結合し作用する。
エルデカルシトールは標的臓器に直接作用する。
・血清25水酸化ビタミンD[25(OH)D]とPTHは負の相関を示す。
すなわち25(OH)Dを測定すればビタミンD充足度が評価できる。
 血清25(OH)D >=30ng/mL・・・ビタミンDは充足している。
 血清25(OH)D 20〜30ng/mL未満 ・・・不足
 血清25(OH)D 20ng/mL未満 ・・・欠乏

骨粗鬆症におけるビタミンDの意義について

・日本人女性(50歳以上)において5年間追跡したJPOS試験では、血清25(OH)D濃度が低下するほど骨折リスクが上昇することが示された。
・閉経後女性N=1515人の骨折リスクについて調査した研究では、血清25(OH)D濃度が低いほど大腿骨頸部骨折リスクが増大した。
血清25(OH)D 20ng/mL未満の欠乏状態では、骨吸収抑制薬であるビスホスホネートの治療効果も低下する。
また20ng/mL未満では、骨量に占める類骨量の割合が増加し、骨石灰化障害が生じる。
・65歳以上男性888人を対象とした研究では、ビタミンD投与で有意に転倒抑制効果を示した。Caだけではわからないリスクがあることを示しているが、ビタミンDを摂取する栄養指導も重要である。
・51145人の50歳以上、ADLの保たれた人についてのメタアナリシスによると、天然型ビタミンDの摂取は骨折抑制効果を認めなかったという。
また、アレンドロネート+エルデカルシトール群(n=110)とアレンドロネート+天然型ビタミンD+Ca摂取群(n=109)の比較では、エルデカルシトール投与群に有意に骨密度上昇効果を認めた。
・70代を越えると腸管からのCa吸収率が低下するが、エルデカルシトール投与によりCa吸収が有意に上昇した。
・活性型ビタミンDの注意点活性型ビタミンD → Ca吸収亢進 → 高カルシウム尿症 → 高カルシウム血症 → 腎障害
高カルシウム血症は脱水を助長しさらに腎障害を増悪させる。
注意すべきは高カルシウム尿症の時期から腎障害が発生する可能性があることである。
血清カルシウム値は定期的に測定することが大事である。
1回でもCa濃度 10mg/dL を超えたらCaとintact PTHを同時測定し、軽症の原発性副甲状腺機能亢進症を見落とさないようにする必要がある。
Ca=<9mg/dLなら原発性副甲状腺機能亢進症は否定される。
随時尿にて、尿中Ca濃度/尿中Cr >0.3がつづくとき、あるいは>=0.4のときはエディロール減量・変更するべき。血中アルブミン濃度が低値のときはCa濃度を補正すること。
食欲低下、全身倦怠感、食事が摂れないときには、活性型ビタミンD摂取は中止すべきである。脱水で高カルシウム血症になりやすいからである。
活性型ビタミンD投与中の患者に、25(OH)Dは測定の必要なし。
・25(OH)Dの測定値解釈は、骨粗鬆症学会の示した診断基準に従うこと。

質疑

Q. 腎機能低下患者の骨粗鬆症の治療の注意点について
A. ビスホスホネートはCKD stage 3bまで安全に使用できる。
 エルデカルシトールも腎機能低下を増悪させる可能性はある。

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