2021年1月31日に漢方薬のWEB講演会を聴講しました。

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

『瘀血と痰飲(慢性炎症)の漢方治療と食養生』

つちうら東口クリニック(茨城県土浦市)
院長 川嶋 浩一郎 先生

麻黄湯のインフルエンザウイルス減少効果

麻黄湯を投与すると24時間後にウイルス量が10万分の1まで低下した。
これはヘルペスDNAウイルスでも同様であり、おそらく新型コロナウイルスに対しても有効と考えられる。
新型コロナウイルス量と死亡率は相関しており、
麻黄湯類は感染初期にウイルス量を著明に減少させる。
麻黄湯関連処方にも抗ウイルス効果が認められる。

COVID-19の初期症状はサイトカインストームである

高熱、悪寒、筋痛、頭痛、倦怠感が症状である。
サイトカインストームはIL-1αの誘導によるが、麻黄剤はそれを阻止する。
麻黄>桂皮>生姜 の順に抑制効果がある。 ・・・辛温発表剤が有効

感冒症状の患者の自宅待機指示は早期受診に改めるべきである。

→漢方治療をすべき。
発症直後の自宅待機でウイルスが増殖し重症化リスクが高まる。
麻黄湯5gを 2−4時間ごとに数日服用することで、早期に回復する。
JAMAに投稿された報告では、無症状感染者からの感染が5割を占める。
補中益気湯を服用しておくと、免疫を上げて感染や重症化を抑制するかもしれない。

COVID-19の重症化要因としての瘀血

高齢、高血圧、COPD、心血管疾患、慢性腎臓病 など重症化要因はすべて瘀血である。
またCOVID-19罹患後の合併症もすべて瘀血である。急性腎不全、肺塞栓症、DVT、など。
神経・精神合併症では、脳血管イベント62%、精神症状、などやはり瘀血である。

COVID-19の嗅覚・味覚障害の原因は眼窩前頭皮質の障害である。

つまり2次嗅覚野(嗅皮質)の障害・・・高次中枢機能嗅覚障害には十全大補湯、加味帰脾湯、などが有効と考えられ、演者らは積極的に投与している。

COVID-19の病態は痰飲と血毒(瘀血)である。

湿:重濁粘滞 白厚膩苔 ・・・治療は宣肺化湿
毒:発熱煩躁 舌質紫暗 厚膩苔・・・清熱解毒 涼血化血
回復期は益気養陰 清熱化痰
中国の軽症用コンテナ病院入院中の患者は、中薬投与を100%→重症化率0%だった。
補気養陰薬で予防した中医師の感染者は0だった。
清肺排毒湯は中国のCOVID-19治療ガイドラインに収載されているが、麻杏甘石湯をベースにした処方であり、麻黄が9g含まれる。

COVID-19重症化回避

慢性炎症体質を改善することは、すなわち瘀血と痰飲の生活習慣改善である。
瘀血から血熱を生じ慢性炎症を起こす。
がんをはじめ、生活習慣病、慢性腎臓病など柴胡加竜骨牡蠣湯がこの慢性炎症に有効である。
代表的な汎用駆瘀血剤は一般書籍には3つ書いてあるが、本当は4つである。
桂枝茯苓丸、桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、腸癰湯

神農本草経で瘀血と明記された生薬は桃仁と牡丹皮

牡丹皮と桃仁の両者が含まれているのは桂枝茯苓丸 大黄牡丹皮湯
温経湯、加味逍遙散、潤腸湯、疎経活血湯、八味丸 等

桂枝茯苓丸 = 桂枝湯 + 駆瘀血である

長引く不明熱、発汗異常、心筋炎、高血圧性疾患、下肢静脈血栓、下肢潰瘍、下肢疼痛

腸癰湯

大黄牡丹皮湯 + 駆瘀血 が入ったものと考えられる。
冬瓜子:利尿、緩下、排膿、消炎、免疫賦活、抗腫瘍効果
薏苡仁:消炎、排膿、抗腫瘍作用

瘀血予防

長期摂取で瘀血必発のタンパク源は獣肉である。
→獣肉過多により炎症促進されがんを増やす。
安全なタンパク源は豆・魚・鶏であり、すなわち魚中心の和食である。
次が地中海食(魚と鶏と発酵乳)。

水毒から痰飲へ

寒さと湿気、水の飲みすぎ、高脂肪食により胃腸が疲れて運化機能低下し気血水停滞する。
停滞した水毒の水気が汚濁して粘稠になり経絡を詰まらせる。
痰飲の治療には半夏と陳皮を含む処方がよい。
 六君子湯、半夏白朮天麻湯、抑肝散加陳皮半夏

コメントは停止中です。