日本医師会医学講座(Podcast)にて「頻尿に潜む病気」を聴講しました

日本医師会医学講座(Podcast)を聴講し最新の知見を学びましたのでご報告します。

(注意)あくまで私の聴講メモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。

テーマ:「頻尿に潜む病気」

昭和大学横浜市北部病院泌尿器科教授 嘉村康邦先生

頻尿とは 1日 8回以上
夜間頻尿は日中の頻尿とは別に扱う。
過活動膀胱の症状は、尿意切迫感が重要である。  ←従来は不安定膀胱と言われていた。
抑えきれないほどの尿意、膀胱が勝手に収縮して我慢できなくなる。
その他の頻尿の鑑別疾患として、脳卒中 パーキンソン病 加齢がある。
過活動膀胱の診断は、
問診票(OABSS)の尿意切迫感(質問3)が2点以上で かつOABSSのトータル3点以上である。
除外すべき鑑別疾患・・・ 膀胱がん 膀胱結石 尿路感染症など。
泌尿器科以外の医師が治療するなら、以下の2点を要確認である。
 A)検尿に異常なし
 B)排尿後の残尿が100ml以下である。エコーで確認。
もし検尿異常や残尿100mL 以上の所見があれば、下部尿路疾患や神経疾患が隠されている可能性があるので専門医に紹介すべきである。

頻尿の治療

第1段階 行動療法 水分 カフェイン摂取の制限 骨盤底筋体操
第2段階 薬物療法 抗コリン薬 ベータ3受容体刺激薬
第3段階 仙骨神経電気刺激療法 ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法

残尿が多い場合の鑑別疾患は、

 前立腺肥大症による排尿障害 
 糖尿病
 腰部脊椎管狭窄症
残尿があると結果的に膀胱内にためて排尿する量が減るので頻尿となる。
残尿測定は排尿直後に超音波を当てて測定する方法とカテーテル挿入の方法がある。
有意な残尿は専門家へ紹介すること。
頻尿の鑑別疾患

多尿

糖尿病、水分多量摂取、利尿剤など。
一回の排尿量が正常なのに何度もトイレに行く場合は、高齢者の多飲多尿がある。脳卒中をおそれて脱水を抑制するためにどんどん飲水することがあるので注意が必要。
→ 排尿日誌を記録すればわかる
もし2500ml/日以上の尿量は多飲を疑うこと。

尿路感染や炎症

膀胱知覚神経が刺激されて頻尿になる。
間質性膀胱炎は原因不明である。
膀胱がんなどの悪性腫瘍・・・多くは血尿がおおいが、頻尿で受診もありうる

心因性頻尿

とにかくトイレが気になる。
寝てしまえば気にならないので夜間尿はない。

頻尿の診療において 重要な3つのポイント

人は一生涯、蓄尿と排尿を繰り返している。

第一のポイント 正常な排尿とは何か

成人の1日尿量は1500から2000ml 一回量は200-400ML
  1回にかかる排尿時間は20から30秒
 1日に8回を超えると頻尿 ・・・ただし頻尿と自覚がある場合。個人差あり。
 排尿間隔は3-5時間

第二のポイント

排尿日誌が重要 3日間記録してもらう。
排尿日誌は様々な情報を得られる。
多尿は排尿日誌で一目瞭然である。
1回排尿量や間隔がわかれば原因検索の手がかりになる。

第三のポイント 

蓄尿できないのか出にくいのかを鑑別する。
 泌尿器科に頻尿で紹介される患者のうち最初の鑑別が間違っていることが非常に多い。
 例えば尿排出障害患者に抗コリン薬を処方されて悪化した例である。
 排尿後の残尿チェックで簡単に鑑別できる!
→エコーによる残尿測定を推奨する。
膀胱の3方向を測定して計測するとよい。
ざっくり100ml以上あれば有意な残尿であり、尿排出障害である。→専門医へ
残尿なければ蓄尿障害である。
 → OABSSが3点以上なら自信をもって過活動膀胱として治療してよい。

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