第7回アレルギー講習会 その1

2021年6月5日、6日の2日間、第7回アレルギー講習会を受講しました。
WEB開催であり、何度もくりかえし聴講し勉強いたしましたので報告します。

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

目次

こちらの記事は以下の内容が書かれています。

●成人喘息の生物学的製剤の導入および選択
近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科 松本久子先生

◆食物アレルギー

●職業性喘息
白井敏博先生

●蕁麻疹の診断、検査、治療
広島大学皮膚科学 田中暁生先生

●皮膚科の日常診療で重要な薬物アレルギー
うえだ皮フ科クリニック 堀川達弥先生

●接触皮膚炎の症状と検査
兵庫県立加古川医療センター皮膚科 足立厚子先生

成人喘息の生物学的製剤の導入および選択

近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
松本久子先生

成人重症喘息の疫学と実態

・重症喘息における全身ステロイド投与の実態
コントロール不良重症喘息例では経口副腎皮質ステロイド(OCS)を平均3.3mg/日使用(OCS)PSL換算)しており、1年に2-3回増悪し、重症喘息の54%が1年で短期ステロイド全身投与される。
PSL換算5mg/日以下でも長期投与により、感染症リスク増加、骨・筋への悪影響があり、身体活動性(1日の歩数や運動時間)の低下を助長する。
・本邦における喘息併存疾患の頻度
重症となるほど併存疾患の頻度は上昇する。
重症喘息における併存疾患の頻度はアレルギー性鼻炎65.2%、胃食道逆流症35%、COPD 35%、糖尿病27%、慢性副鼻腔炎16.5%、アトピー性皮膚炎9.4%、骨粗鬆症21.7%、SAS5.2%、鼻ポリープ1.5%、声帯機能不全1.1%であり、喘息中等症以下と比較して有意に頻度は高い。

生物製剤治療の実態

・演者らの研究では血清ペリオスチンが123.7ng/mL以上の重症喘息患者は5年以内にオマリズマブを導入した。このようなバイオマーカーが望まれるが、現在のところ有用なものはない。
では、年間何回以上OCS頓用投与があればバイオ製剤の導入が適切であろうか。
多くの報告では年2回以上のOCS投与を必要とする増悪例はバイオ製剤が投与されている。
・各バイオ製剤の特徴は以下のとおりである。
 オマリズマブ・・・IgE上昇、アレルギー性喘息、重症アレルギー性鼻炎、特発性じんま疹、アスピリン喘息、抗ウイルス作用
 メポリズマブ、ベンラリズマブ・・・好酸球増加、非アレルギー性、メポリズマブはEGPAに適応あり
 デュピルマブ・・・呼気NO上昇、ECRS、重症アトピー性皮膚炎
・オマリズマブ
本邦の報告では(N=683)、オマリズマブ投与によりOCS減量効果が認められた(投与前PSL11.5mg/日→投与52W後2.4mg/日)。
2年間の投与により末梢血好酸球数に差はなかったが、総IgEは有意に減少した。特に末梢血好酸球数の少ない群(Eo<300/μL)で有意であった。
・バイオ製剤のスイッチ例
米国の報告では、オマリズマブ投与例の5%、メポリズマブの14%が他剤へ変更 → 多くがベンラリズマブの変更であった。発売時期なども影響している。
ドイツの報告であるが、mepolizumab/reslizumabの投与にて症状不安定な症例(全体の10.5%、N=70)をBenralizumabに変更し、83.3%が症状安定した(PEF改善、OCS減量)。安定しなかった16.7%は抗IL-5抗体を中止した。
・抗IL-5クラス製剤の開始・反応性モニターのアルゴリズム
非若齢発症・非アトピー型・副鼻腔炎やアスピリン喘息あり、末梢血好酸球数>300/μL、を満たし、
かつPSL=<10mg/日 → メポリズマブ、ベンラリズマブ
  PSL>10mg/日 → ベンラリズマブ(ただし反復気道感染例に注意)
PSL=<10mg/日投与群が急性増悪時は喀痰検査を実施し、
好酸球性ならば以下のことを確認
 1)ICS、OCSのアドヒアランスの確認、2)投与量不足(Benralizumabへ変更)、3)免疫複合体が関与していればPSL追加、4)中和抗体の確認
好中球性ならば(通常Benralizumab投与時)
 1)喀痰継続培養、2)画像確認(必要時)、3)感染症を考慮して抗生剤投与、IgG低値時はIVG、反応あれば気管支拡張薬を追加、4)易感染例、でなければ他剤への変更は多くは無効である。

経口ステロイド(OCS)の減量についてのExpert consensus について

・OCSの減量が適当かどうか判断すべし

減量不可の場合;減量中にEGPA/ABPAが再燃する場合 かつ他の選択肢がない
減量可能の場合;OCSで改善ない・副作用あり、投与量や期間が懸念される、喘息が安定している(特にバイオ製剤投与により)、副腎機能が十分回復している
減量可能だが注意を要する場合 ;危機的発作歴がある、OCS依存-長期投与>6ヶ月
・OCS量に基づく減量速度(案)
20mg/日以上・・・早めに ;10mg/週または30−50%/2-4週で減量
5−20mg/日・・・中等速で ;2.5−5mg/0.5-2週
5−10mg/日・・・低速で ;1−2.5mg/1-2週

・副腎機能評価時の注意点

プレドニン®服用時はコルチゾル値に影響するので、朝服用せずに採血し、採血後に服用する。
デキサメサゾンやベタメタゾンは交叉反応なし。
コートリル®5mg/日で血中コルチゾル値10μg/dLとなることが多い。
コートリル®は短時間作用型(約3時間)のため、前夜内服し早朝採血であれば、コートリルの影響を受けない内因性のコルチゾルを測定できる。
ACTH同時測定が望ましい。
 ACTH低値(10pg/mL未満 = ACTH抑制)かつ血中コルチゾル低値(4μg/dL未満) → 薬剤の影響(デキサメサゾン投与)と解釈できる。
 ACTH低値かつ血中コルチゾル高値(20μg/dL以上)→ ヒドロコルチゾン投与

COVID-19とバイオ製剤治療

・ベルギーの報告では(ERS 2020)、重症喘息患者でバイオ製剤投与なし(N=242)、抗IgE投与(N=129)、抗IL-5投与(N=305)、を比較し、COVID-19のPCR陽性例、IgG陽性例、COVID-19確定例における酸素投与や酸素投与期間、のいずれも3群間で有意差は認めなかった。
COVID-19蔓延期でもバイオ製剤を継続することは妥当である。

◆食物アレルギー

食物アレルゲンの基礎と臨床

近藤康人先生

アレルゲンの基本構造

・食物アレルゲンの本体の大部分はタンパク質である。
アミノ酸はアミノ基とカルボキシル基および側鎖を持っている部分から成り、
側鎖の種類によりアミノ酸は20種類ある。
アミノ酸はペプチド結合して数個以上結合したものをタンパク質と呼ぶ。
アミノ酸の結合順を一次構造、αヘリックスとβシート構造を2次構造、これらが更に立体的になったものを3次構造と呼ぶ。

エピトープとは抗体が認識する抗原の一部分のことである。

・線状エピトープと構造的エピトープ
線状エピトープLinear epitope:3次構造で並んでいるエピトープが、1次構造でも並んでいるものをさす。
 線状エピトープは変性などによる影響を受けにくくIgE結合能は変わらない。
 経腸管感作による食品のアレルゲンの場合に多い。
 換言すると、腸管感作由来のコンポーネントの多くは熱耐性、消化耐性を示す。
 例)牛乳・・カゼイン、βラクトグロブリン、鶏卵・・オボムコイド、エビ・・トロポミオシン、落花生・・ビクリン、タラ・・パルブアルブミン、コーン・・リピッド トランスファー プロテイン(LTP)
構造的エピトープConformational epitope:3次構造で並んでいるエピトープが、1次構造では並んでいないもの。
 タンパク質が高温や極端なPHにより変性すると3次構造が変化し抗原性を失う。
 PFASなど感作源が経気道の場合に多い。
卵、牛乳、果物、魚アレルゲンは線状エピトープと構造的エピトープの両方を持つ。
魚のパルブアルブミンはCa2+存在下でリホールディングする。

交差抗原性と臨床的交差反応性

・同じIgE抗体への結合が競合するエピトープ同士を交差抗原性(Cross antigenicity)があるという。
生物学的に近いとタンパク質のアミノ酸配列相同性が高く交差抗原性が起きやすい。
交差抗原性を有していても臨床的交差反応を起こすとは限らない。
・交差抗原性/交差反応 を起こす機序
Bet v 1(シラカバ花粉)、Mal d 1(りんご)、Gly m 4(大豆)は共通の起源から進化してきたので共通の基本構造を有している。
そのため交差抗原反応をきたしやすい。
 → これらよく似た構造をもつものを集めて”アレルゲンファミリー”と呼ぶことになった。

・ファミリーによりアミノ酸相同性に違いがある。
Bet v 1の場合、相同性は35-75%である。
パルブアルブミン/Gad c 1との相同性は50-70%
トロポミオシンファミリーPen m 1の場合、エビとカニは98%以上の相同性である。貝類で60%、ダニで80%程度の相同性がある。

・臨床的交差反応リスクとアミノ酸配列相同率とは必ずしも一致しない。
エビとカニは相同性は100%に近いが、エビアレルギーのうち75%がカニにもアレルギーを起こす。
2Sアルブミンファミリーの場合は、相同性は30%前後と高くないが、実際に
ピーナッツの場合はその他のナッツとほとんど交差反応を起こさない。
クルミの場合は同じ種類のペカンとは交差反応性を示すが、その他とは起こさない。

同様に、プロフィリンファミリーとBet v 2(シラカンバのコンポーネント)との相同性は70-85%と非常に高い
しかし食物プロフィリンの臨床症状(臨床的交差反応性)への関与は限られる。
アレルゲンとIgE間におけるエピトープの密度や親和性などによると考えられている。

・プロフィリンやCCDは交差抗原性を有しても臨床症状は生じない。
植物間の交差抗原性としてCCD(cross – reactive carbohydrate determinant)という構造がある。
CCD特異的IgE抗体が陽性であっても、臨床的にアレルギー反応はほとんど起こらない(Mari Aら、Allergy 2008)。
花粉や植物由来の食品にはCCDが多く存在し、CCDの感作をうけるとアレルギー症状とは無関係にすべての植物抗原に交差抗原性によってIgEが陽性を示す。

例)花粉症のある患者に多抗原測定キットで抗原測定を行うとすべての植物系食品でIgE高値を示したが、病歴からピーナッツ以外の食品は安全に摂取できることが確認できた。
一方本症例では動物系のアレルゲンは高くない。
→ 植物系食品が軒並みIgE高値かつ動物系IgEは低値、の場合はCCDの関与が疑われる。CCDを測定(有料)してみるとよい。CCDが高値を示せば、臨床的に摂取できているものは食べてよいし、判定にこまる食品は経口負荷試験で確認すればよい。

モモアレルゲンコンポーネント /LTPとGRP

・モモアレルゲンにはいくつかのコンポーネントが報告されている。
とくにPru p 7とPru p 3は重症アレルギーを起こすことで知られている。
Pru p 3はLTP:Lipid transfer protein、Pru p 7はGRP:Gibberellin -regulated protein
LTPは古くから知られており、GRPは最近発見された。
その特徴はどちらも分子量が非常に小さい蛋白なのにシステイン残基が多いことである。
LTPでシステイン残基8個、GRPは12個であり、システイン残基が多いとジスルフィド結合を起こしやすい。
ジスルフィド結合は共有結合であり非常に強い結合なので、タンパク質は変性を受けにくい。
LTPは皮におおく、GRPは果肉におおい。成熟によって増加していく。

成人領域で取り扱う食物アレルギー

国立病院機構相模原病院臨床研究センター診断・治療薬開発研究室
福冨友馬先生

1.用語の整理
2. 成人の食物アレルギーの特徴
3. 果物アレルギー
4. 小麦アレルギー
5. 職業の関与
6. アニサキスアレルギー

食物アレルギーの用語

・患者の言う食物アレルギーは、食物を食べて痒くなったり湿疹がでたりなど、アレルギー様症状全般をさす。
アレルギー科医のいう”食物アレルギー”は食物に対する免疫機序を介する副反応、さらに狭義には、IgE抗体を介するもののみを指すこともある。
そこで、機序がまだ不明のものは、食物過敏反応、と呼ぶことにし、免疫機序を介する反応と判明したら食物アレルギー、そうでなければ非アレルギー性食物過敏反応と呼ぶ。
成人の食物アレルギーのうち約半数は”IgE依存性食物アレルギー”だが、のこりは非IgE依存性である。

実地臨床における食物過敏反応患者の診療

  1. 自己申告の食物アレルギー患者が受診したら → 本当に食物過敏反応かそうでないかを十分病歴聴取して確認する。
  2. 食物過敏反応と判断したら、成人では、Prick testと血液特異的IgE抗体価検査が必須である。血液特異的IgE抗体は成人では偽陰性がおおく、そのためPrick testをしないと陽性と判定できないことがしばしばある。
  3. Prick test陽性ならIgE機序による食物アレルギーと確定診断できる。陰性なら非IgE機序の食物過敏反応の分類となるが、これ以上の診断確定はできない。
  4. 非IgE機序の食物過敏反応には、種々の病態があり、多種化学物質過敏症の部分症状である可能性。例)牛乳で下痢、辛いもので痒くなる、貝類で下痢、等。

成人に特徴的な臨床病型

口腔アレルギー症候群(OAS)と食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA) である。
原因食物は、果物・野菜、小麦、甲殻類、スパイス、ナッツ、アニサキスなどがおおい。
小児は卵、乳、小麦に重複して感作しており、まとめて一つの食物アレルギーと分類できる。
成人は多様性に富む。果物・野菜のOAS、甲殻類のOAS/FDEIA、小麦のFDEIA、アニサキス即時/消化管アレルギーなどあるが、それぞれはほとんど合併しない。
発症機序は腸管外感作型が多いのも特徴である。

果物アレルギー

成人でもっとも頻度の高い食物アレルギーである。
大半が花粉食物アレルギー症候群PFASである。
本邦のモモアレルギーの重症化危険因子としてGRP(Gibberellin-regulated protein)が同定されている。

小麦依存性運動誘発アナフィラキシーWDEIA

小麦を摂取 → 問題なし、小麦摂取+その後運動 →アナフィラキシー
ω5グリアジン感作型が80%である。じんま疹→ショック となる。ω-5グリアジンIgE>グルテンIgE > 小麦-IgE
小麦アレルギー亜型は
 乳幼児期発症小麦アレルギー・・・卵乳製品の食物アレルギーと合併しやすい。経口免疫療法が考慮される。
 小麦依存性運動誘発アナフィラキシー・・・小麦を食べると発症?治癒しにくい。
 茶のしずく石鹸等に含まれた加水分解小麦(グルパール19S)による即時型小麦アレルギー ・・・茶のしずく石鹸の使用によって発症。使用中止で改善する事例も少なくない。
成人では病型・発症原因を的確に認識することが治療や予後に大きく影響するのが特徴である。

化粧品使用とアナフィラキシー

 カルミン ・・口紅、アイシャドー。食品添加物のコチニール色素含有食品の経口摂取が原因
 加水分解小麦・・茶のしずく石鹸の使用(前述)
 魚コラーゲン ・・種々の化粧品に含まれる。魚の経口摂取、コラーゲンドリンク等の経口摂取にて発症する。
※化粧品使用中止で特異的IgEが抗体価低下 → アナフィラキシーリスクも低下する。

職業の関与

牡蠣の打ち子 ホヤ ホヤの経口摂取にて発症
医療従事者 ラテックス クリ・バナナ・アボカド等の経口摂取にて発症
調理師 種々の食物(魚、エビが多い)の経皮感作 感作食物の経口摂取が重要
主婦(比較的稀) 様々 感作食物の経口摂取。

調理業従事者は手湿疹から感作しやすくなっている。業務内容変更、手湿疹治療、手袋の着用 などで予後が改善する。
同時に特異的IgE価は低下する。半年で激減する例がある。

アニサキスアレルギー

・厳密には食物ではないが、成人の診療では食物アレルギーと訴えて受診する患者に多い。
高齢男性。もともと魚好き、既往歴でじんま疹なども多い。
とくに魚・イカなどの生食をしている。
摂取後から発症までタイムラグ(平均4-5時間)がある。夕食後夜中の2時ごろなど「腹痛」で目覚めその後トイレで意識消失、みたいな経過が典型的。
・成人において純粋に魚に対するアレルギーを新規発症することは比較的稀である。
むしろ、魚の寄生虫・アニサキスに対するアレルギーのほうが圧倒的に多い。
特にイカ・サバ・アジなどの青魚はアニサキス寄生率が高い。
食事後4-5時間のタイムラグがあることが多い。
多くのアニサキスアレルギー症例が生食後の誘発エピソードしか有していないが、
アニサキスアレルギーは虫が死んでいても起こりうる。
特異的IgE抗体価を測定が診断に有用である。

Q and A

WDEIA では、運動していなくても症状が誘発される患者が少なからず認められる。
結局小麦は除去となる。

職業性喘息

>白井敏博先生

職業性喘息は特定の労働環境で特定の職業性物質に暴露されることによる発症する喘息である。
成人喘息の15%である。
感作物質誘発職業性喘息sensitizer – induced OA ・・・抗原感作による免疫アレルギー機序からなる
刺激物質誘発職業性喘息 irritant – induced OA ・・・刺激物質の吸入による
 e.g . Reactive airway dysfunction syndorme (RADS)・・・高濃度刺激物質の吸入暴露後、数時間以内に喘息症状を生じて、数ヶ月も持続する状態。
・イソシアネート喘息の動物モデルにおいて、イソシアネート暴露によりILC2が誘導されることが証明された。
・刺激物質誘発職業性喘息irritant – induced OA
典型的なものはRADSであり、irritantは硫酸ジメチルなど。
低濃度の刺激物質の暴露を反復して発症する緩徐なタイプもある。例えばディーゼル排気など。
World trade center の悲劇から、暴露後発症に数週間から数ヶ月かかるタイプがあることが明らかとなった。
清掃業者は様々な刺激物質や感作物質に暴露されるリスクが高い。
・職業性喘息の診断アルゴリズム (喘息予防・管理ガイドライン2018)

  1. 職歴と喘息に関する詳細な問診をして、休日と就労日で症状に差がない場合 → 職業性は否定的。
  2. 休日に改善し、就労日に悪化する場合 → 職業性が疑わしい。→ ピークフローメーターで変動を確認する。
  3. 就労日にピークフローが低下し、休日に回復する場合は職業性が疑わしい。
  4. 確定診断のための検査を実施。職場での吸入物質に対するプリックテストや特異的IgE抗体の検出。喀痰中好酸球の有無、FENO測定、気道過敏性試験、環境誘発試験、場合により吸入誘発試験。

作業関連喘息は減少したが、作業増悪性喘息は漸増傾向にある。
清掃関連物質への暴露は増加し、清掃関連物質による喘息症例報告も増加傾向である。

最近報告された職業性喘息

・エポキシ樹脂

接着剤、塗料、電子部品等に使用されている。
101例の疑い症例にエポキシ化合物による感作物質誘発試験を実施し、15例が陽性であった(JACI2019)。


・アクリル酸

吸水性ポリマーとして紙おむつ、その他インキ、塗料などにも使用されている。
アクリレートによる職業性喘息55例の報告では、抗原チャレンジ後のアレルギー性鼻炎症状とFENO上昇が認められた。
一般に低分子量のアレルゲンにてI型アレルギー症状は認められないが、本例では認められたのが特徴的である。


・レタス

兵庫県と香川県のレタス栽培農家の調査では約3000人の7%に呼吸器症状がみられた。
中にはレタスを摂食して症状がでるものがあった。
13例の職業性レタス気道アレルギーの報告では(Sekiya R らCEA 2020; 50: 932-41)、
全例で呼吸器症状、その他鼻症状、皮膚症状、眼症状が認められた。
レタス特異的IgE陽性者も認めた。
約50%の患者でレタスラテックスに対する特異的IgEが認められた。

・感作物質誘発職業性喘息における重症喘息の特徴

高分子アレルゲンとしては、小麦/穀物がもっとも多く、ラテックス、酵素、ダニとつづく。
低分子アレルゲンでは、イソシアネートが最多、過硫酸塩、第4級アンモニウム化合物、金属、と続く。

・作業関連喘息患者におけるCOPD合併患者は
症状コントロールがよくない、あるいは悪化している、救急外来受診がおおい。
高分子量でも低分子量でも喘息は発症するが、低分子量物質を長期間暴露するほうが合併率が高い。

職場介入のエビデンス

治療管理について(喘息予防・管理ガイドライン2018より抜粋)
・Cochrane library2019
原因物質を完全除去すると、症状が消失する。
完全除去は暴露継続に比較してFEV1が改善する。
暴露減少(完全除去ではない)は、高分子量原因物質では症状消失するが、低分子量では有意な改善なし。
原因物質の完全除去は暴露減少に比較して失業リスクが増す。

我が国の代表的な職業性喘息について
職業性喘息の予防(ガイドライン2018より抜粋)
こんにゃく喘息・・・我が国初の職業性喘息の報告である。
ホヤ喘息、緑茶喘息 などがある。

蕁麻疹の診断、検査、治療

広島大学皮膚科学
田中暁生先生

蕁麻疹の要点

患者は痒みのある皮疹を「じんましん」と表現することが多い。
蕁麻疹の原因はアレルギーと思っている人が意外と多い。
定義:痒みと伴う一過性の限局性膨疹と紅斑が生じる疾患。
様々な形や大きさがあるが、共通するのは急激に出現し跡形もなく消褪することである。
持続時間は数時間から24時間以内(例外的に2−3日)である。
定義の中にアレルギーという言葉は入っていない。
実際にアレルギー以外で起こることのほうが多い。

・蕁麻疹の病態

外来抗原や物理的刺激など → 皮膚マスト細胞や好塩基球が脱顆粒しヒスタミンなどの化学伝達物質が放出 →血管に作用して血漿漏出して膨疹が発生、ヒスタミンなどが神経を刺激すると痒みをきたす。
・広島大学を受診した蕁麻疹患者の病型(H15-17年)
特発性72.7%、物理性10%、コリン性6.5%、アレルギー性5.4%、非アレルギー性1.2%、血管性浮腫4.2%


・蕁麻疹と診断したら

まず問診から病型を絞る。病型によって検査が変わるし、日常生活の対処法も変わってくる。
最初にIgE-RASTを調べようとするのは”間違い”である!
多くの場合は特発性の蕁麻疹であり、RASTは必要ない。
アレルギーでない場合は、そのことを患者に心から理解してもらうことが重要である。

蕁麻疹の主たる病型

詳しくはガイドラインに譲る。


・特発性蕁麻疹

急性蕁麻疹(発症後6週間未満)は、比較的速やかに治癒する。
慢性蕁麻疹(発症後6週間以上)は、数ヶ月から2年以上治癒にかかる。
特発性蕁麻疹は、ほぼ毎日出没、夕方から朝にかけてピーク。
急性蕁麻疹は感染症やストレスに伴うことがおおい。特に子供は感染症がおおい。感染症治癒後に発症することもある。
慢性蕁麻疹のおおくは原因特定できない。


・刺激誘発型の蕁麻疹

アレルギー性蕁麻疹:パン摂取後1時間以内など。
機械性蕁麻疹:擦った部分に数分で出現
コリン性蕁麻疹:発汗刺激で発症。緊張、暑かったり、運動したり。
これらの蕁麻疹は特定の刺激後1時間以内で出現し、数分から数時間で消褪する。
患者自身も何が原因かわかることが多い。

蕁麻疹の診断と検査

・特発性蕁麻疹の場合、
病歴・身体所見から関連性が疑われる場合に検査を行う。
基本的に特発性蕁麻疹は検査は不要である。
・刺激誘発型の蕁麻疹の場合、
アレルギー性・食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは、プリックテスト、特異的IgEの証明をおこなう。
ただしこれらの検査で過敏性が示された抗原が必ず原因とは限らない。
丁寧な問診、負荷試験の結果などを総合的に判断する。
・物理性蕁麻疹の場合、
経過から疑われる物理的刺激による誘発試験を実施する。
局所を冷やす、擦る、などやってみる。
・コリン性蕁麻疹の場合、
運動・入浴等による誘発試験、あるいは実際に体温を高くするような刺激を加えてみることもある(温熱発汗試験)

症例

・症例1 31歳女性 産後に一時的に小麦アレルギーを発症した。

産後1ヶ月から突然小麦摂取10-15分後に蕁麻疹、腹痛、下痢。6-8時間後に消失。
検査:グルテンClaas2、小麦とω5-グリアジン陰性
初発後2ヶ月でのプリックテスト陰性。
好塩基球ヒスタミン遊離試験ではグリアジンミックスと水溶性小麦アルブミンで陽性。→ 小麦アレルギーと診断。
初発後半年から少量の小麦を摂取開始し、徐々にパンやパスタが摂取可能となった。
グルテンに対する血清中抗原特異的IgE検査はclass2からclass0に改善した。
※ 産後の食物過敏は珍しくないがその機序は不明である。多くの場合数ヶ月以内に消失する。

・症例2 51歳男性 食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)

朝5時、パスタを摂取。5時半散歩開始。10分程度で体が痒くなった。その後めまいし転倒、→救急搬送。
本例では負荷試験を実施した。
 小麦摂取のみ→パン2枚食べても無症状。30分後トレッドミルで運動負荷開始し、運動15分で症状誘発された。
小麦、エビ、イカ、カニ、ぶどう、ナッツ、そば等が知られるが、小麦とエビで80%以上を占める。
誘発試験の再現性は必ずしも高くない。体調などに左右される。

FDEIAの誘発試験のプロトコール

①1日目 食物負荷のみ 被疑食物を摂取し安静
②2日目 運動負荷のみ トレッドミル(Bruce法)による運動
③3日目 食物+運動負荷 被疑食物摂取後トレッドミル
④4日目 アスピリン負荷 アスピリン服用し安静
⑤5日目 アスピリン+食物負荷 アスピリン服用後、被疑食物を摂取し安静
⑥6日目 アスピリン+食物+運動負荷 アスピリン服用後、被疑食物を摂取しトレッドミル
※ 症状が誘発されれば直ちに中止し、以後の検査は不要

陽性者への生活指導: 

 運動2時間前の原因食物の摂取を禁止。
 アドレナリン自己注射(エピペン®)を携帯させる。
 原因食物の完全除去や過剰な運動制限など不適切な指導により、QOLを損なわないように注意する。

・物理性蕁麻疹

皮膚表面の機械的擦過、寒冷曝露、日光照射、温熱負荷、圧迫、水との接触等により生じる。
それぞれ機械性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、日光蕁麻疹、温熱蕁麻疹、遅延性圧迫蕁麻疹、水蕁麻疹と呼ぶ。

重いものを持ったときに手のひらに出た蕁麻疹↓↓↓ (遅延性圧蕁麻疹)

機械性蕁麻疹は刺激直後に膨疹を形成し、数時間で消失する。
遅延性圧蕁麻疹は圧迫直後は膨疹はなく、少し遅れて出現し、数時間から3日間程度持続する。
診断方法として、「圧負荷試験」がある。4kg/1.5cm2を15分かけて、6時間後に判定。
寒冷蕁麻疹や温熱蕁麻疹を疑う場合は、「Temptest」という検査機器を使うこともある。
4℃から44℃までの温度をU字型にした機器に腕を乗せてしばらく後に観察する。例えば寒冷蕁麻疹では4℃から15℃あたりに膨疹を生じる。

・コリン性蕁麻疹

入浴、運動、緊張など発汗やそれを促す刺激により生じる。
小児から30歳代前半までの成人に好発する。
皮疹は痒みを伴うことが多いが、ピリピリした痛みのこともある。
皮疹は数分から2時間以内に消褪することが多い。
皮疹の多くは粟粒大から小豆大までの癒合傾向のない膨疹や紅斑である。

治療

・治療目標

自発的に皮疹が現れる皮疹、多くは特発性 → 薬物療法、抗ヒスタミン薬が有効である。原因がわからない蕁麻疹は幸い薬物療法が効く!
皮疹を誘発されるものは、原因・悪化因子の除去・回避である。
治療により症状が現れない状態にまずして、無治療で症状が現れない状態を目指す。


・特発性蕁麻疹に対する薬物治療手順

STEP1 非鎮静性第二世代抗ヒスタミン薬通常量を適宜、他剤へ変更、2倍量までの増量または2種類の併用
STEP2 Step1に追加して、H2拮抗薬、抗ロイコトリエン拮抗薬(蕁麻疹には保険適応外)
    ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(注射)、グリチルリチン製剤(注射)、ジアフェニルスルホン、抗不安薬、トラネキサム酸、漢方薬、など。
STEP3 Step1に追加/変更して、
    副腎皮質ステロイド(PSL換算<0.2mg/kg/日)内服、オマリズマブ、シクロスポリン(保険適応外)
    ※オマリズマブは皮膚科専門医まはたアレルギー専門医が喘息アナフィラキシーに対応できる医療施設で使用する。
    ※副腎皮質ステロイドは慢性例には保険適応外
STEP4 試行的治療

血管性浮腫

・蕁麻疹は表層(真皮の浅いところ)、血管性浮腫は深層(真皮の深いところ)に発生する。

蕁麻疹 表層・・・膨疹、紅斑が一過性に皮膚に出没する。多くは痒みを伴う。
血管性浮腫 深層・・・皮膚ないし粘膜の深部を中心とした限局性浮腫、痒みがないことが多い。深いところにできるので境界が不明瞭であり、まさに浮腫である。
血管性浮腫は大きく2つに分けられるのが治療において重要。
  ヒスタミン/マスト細胞が関与するもの ・・・蕁麻疹に類似
  ブラジキニンが関与するもの・・・遺伝性血管性浮腫(HAE)など。
HAEは蕁麻疹に有効な抗ヒスタミン薬やステロイドは全く無効!なので、これらを投与して様子を見ているうちに状態が悪化することがある。

・遺伝性血管性浮腫 HAE

Type1とType2が代表的。(最近はType3もある)
Type1と2はいずれも、「C1インヒビター(C1-INH)」の異常による。
C1-INHをコードするSERPING1遺伝子の変異で、常染色体優性遺伝。
Type1は、C1-INH蛋白が少ない(低値)
Type2は、C1-INH機能不全、蛋白レベルは正常
Type3は、C1-INHは正常5
C1-INHは種々の炎症のカスケードを抑制する重要な因子である。
これが欠損、機能不全となると、様々な経路(凝固系、線溶系、補体系、キニン-カリクレイン系)が暴走してしまう。


・HAEの浮腫の発生機序

HAEが浮腫を生じる病態で重要なのはキニン-カリクレイン系である。
血液凝固因子第XII因子が活性化するとカリクレインを生じ、続いて高分子キニノーゲンに作用してブラジキニンを遊離する。
ブラジキニンが血管内皮のレセプターに結合すると血管透過性亢進する。
C1-INHは活性化第XII因子(FXIIa)やカリクレインを抑制してブラジキニンの産生をコントロールしている。
よってC1-INHが機能不全となれば血管透過性が亢進して血管性浮腫を生じる。

・HAEの疫学と問題点

欧米では5万人に1人、日本では計算上2600人くらいの患者がいるが、実際には2009年は52人、2014年において171人と非常に少ない。
これまでは認知度が低かったと考えられる。
2011年の調査では、症状と受診科医師の認知度は次のとおりである。
 皮膚の浮腫(91%)→皮膚科医 HAE認知度90%
 上気道浮腫(47%)→呼吸器内科40%、救急科
 腹部症状(45%)→救急科40%、内科36%

その後認知度が上昇し、年々HAE患者の報告は増加している。


・HAEの症状と診断

皮膚の浮腫: 顔や四肢に生じることが多い。 痒み・痛み・熱感のない浮腫である。
気道浮腫: 咽喉頭の浮腫は窒息の恐れがある。咳嗽や胸痛のこともある。
腸管の浮腫: 下痢、嘔気、腹痛。虫垂炎と誤診され手術された例もある。
繰り返す血管性浮腫と腹痛 → 家族歴の聴取と採血で「C4低値」を確認すること
C4はスクリーニング検査として最適である。


・HAE発作時の治療

ブラジキニン受容体拮抗薬イカチバント(フィラジル®)自己注射製剤
乾燥濃縮ヒトC1インアクチベーター製剤(ベリナート®P静注用)
※ エピネフリン、ステロイド、抗ヒスタミン剤は効果がない。→急性期の治療として推奨しない。


・HAE発作予防薬

カリクレイン阻害薬 ベロトラルスタット内服薬(ナラデオ®)
手術などでHAE発作が懸念されるときは、予めベリナートP点滴投与しておくことも可能。

皮膚科の日常診療で重要な薬物アレルギー

うえだ皮フ科クリニック
堀川達弥先生

アレルギー性の薬疹は多様だが、各々は症状の特徴や起因薬剤の特異性がある。
・薬疹の診断
まず症状から疑う。皮膚症状から鑑別するが、鑑別困難なことも少なくない。
必要に応じて生検や血液検査も行う。
直近の投与薬剤を確認することが最初に行うことである。
薬剤使用歴あれば、いつからいつまで使用したかを調べる。
薬疹には服用してから発症するまでの感作期間があるので、この期間を考慮して被疑薬を選定し中止する。
※発熱は重症薬疹の可能性が高い!よって発熱は必ず確認すること。

薬疹の発症パターンや起因薬は薬疹のタイプによって異なる。
・播種状紅斑丘疹型、多形紅斑型、紅皮症型
服薬後1-3日後、あるいは5日から3週間後に発症することがほとんどである。
・蕁麻疹/アナフィラキシー型、固定薬疹型
以前に断続的に服用していた薬剤を、摂取した当日から翌日に症状が誘発される。
・扁平苔癬型、苔癬型、光線過敏型
長期間服用した後に出現することが多い。
・DIHS、SJS、TEN
DIHSは播種状紅斑丘疹型、多形紅斑型の症状を呈する。
発症までの期間が比較的長く、3週間以上服用してから発症するのが特徴的である。
SJSやTENは薬剤投与すぐの場合と長期間服用した場合の両方がある。これらの薬疹は起こしやすいものがある。
※クリニックでは播種状紅斑丘疹型と多形紅斑型の頻度が高い。

播種状紅斑丘疹型

・症状:体幹、四肢に紅色丘疹と紅斑が多数播種状に出現する。ウイルス性と要鑑別。
・起因薬
以下が代表的であるが、これ以外ももちろん発症しうる。
 抗痙攣薬・・・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、他
 抗菌薬・・・・ペニシリン、セフェム、他
 塩酸メキシレチン
 造影剤・・・・イオメプロール、イオヘキソール、他
 サラゾスルファピリン、アロプリノール、ブシラミン、チオプロニン、プロピレングリコール

多形紅斑型

・症状:播種状紅斑丘疹型よりも大きな紅斑が体幹・四肢にみられる。
周辺部と中心部で色調が異なり、中心部は暗紅色調を呈する虹彩状の紅斑が特徴。
薬剤によるものと感染症によるものがある。
・起因薬
播種状紅斑丘疹型と同様であるが、加えて
 消炎鎮痛剤(アセトアミノフェン、ロキソプロフェン他)
 ラモトリギン(ラミクタール®;抗てんかん薬)
 分子標的薬・・・ソラフェニブ(ネクサバール®;肝・腎細胞癌)、ベムラフェニブ(ゼルボラフ®;BRAF阻害薬)、レゴラフェニブ(スチバーガ®;マルチキナーゼ阻害薬)、他
がある。
・鑑別
播種状紅斑丘疹型は、以下の鑑別が必要
 ウイルス感染・・・麻疹(口腔内コプリック斑が鑑別点)、風疹(耳後部リンパ節腫脹と口蓋出血点)
 リケッチア感染・・・日本紅斑熱やツツガムシ病
多形紅斑型では、以下の感染兆候の有無は鑑別に重要である。
 単純ヘルペス・・・口腔内の病変が診断に有用。
 マイコプラズマ・・明らかな咳や熱がない場合も少なくない。
 溶連菌
 接触皮膚炎症候群・・・接触皮膚炎が誘因となる症候群。体の一部に接触皮膚炎があり全身に多形紅斑を認める場合は疑う。
※播種状紅斑丘疹型と多形紅斑型は重症薬疹の初期像のことがあるので、注意を要する。

薬剤の感作

・以前に内服した薬剤で感作され、再投与時に発症。薬の内服後1-3日で発疹がでる。
・継続内服中に感作され発症。薬の内服5日-3週で発疹がでる。ただしDIHSは3-8週後である。
※発疹発症の1週間程度前まで服用していた薬剤は、感作していたら残存薬剤で発疹がでることもある。

・多剤感作
薬剤Aに感作し発疹。A中止後Bを投与するもBでも感作し発疹。発疹時期がつながる。
薬剤Bは以前から投与し感作なかったが、途中から追加したAが感作し発疹。そのため引き続きBも感作されて発疹。
薬剤A,B同時投与で同時に感作し発疹。
多剤感作は頻度は多くないので、薬疹を疑う場合はまず単剤から考慮すること。

重症薬疹 (SJS/TEN、DIHS、AGEP)
・症状と特徴
発熱を伴う
薬疹があり発熱を伴う場合は、重症薬疹を疑う。
DIHSは発症までに3-8週間かかることが多い。
DIHSを起こしやすい薬剤がある。アロプリノール、カルバマゼピン、メキシレチン、他
DHISは、肝機能障害必発、白血球増多、CRP上昇、好酸球増多などもみられる。→要採血

扁平苔癬型

・症状:色調が紫紅色から暗紅色の扁平な丘疹あるいは局面を形成する。四肢に出現しやすい。
発症までに時間がかかる。数ヶ月から1年以上。
・起因薬としては
 降圧薬・・・プロプラノロール、カプトプリル、ニフェジピン、他
 利尿薬・・・フルイトラン、スピロノラクトン、他
 抗結核薬・・・INH、EB、PAS、他
 オキサトミド(セルテクト®)、チオプロニン(チオラ®;代謝改善解毒薬)、シアナマイド(アルコール依存症治療薬)
 インターフェロンα

蕁麻疹・アナフィラキシー型

・症状: 薬剤服用後数分から数時間で発症する。
・起因薬
 抗菌薬・・・ペニシリン、セフェム、テトラサイクリン、ニューキノロン、サルファ剤、他
 消炎鎮痛薬・・アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、他
 造影剤・・・イオメプロール、イオヘキソール、他
 塩化リゾチーム、インスリン、コハク酸メチルプレドニゾロン
 抗ヒスタミン
 筋弛緩薬
 アスピリン不耐症・・・内服から発症まで数時間かかることが多い。
 特殊なもの:
  セツキシマブ:獣肉アレルギーに伴う(α-GALアレルギー)
  ホルムアルデヒド:歯科治療後に発症(治療後1時間から10時間後に発症)、(機序)パラホルムアルデヒドからはホルムアルデヒドが徐々に放出される。充填物質が歯根尖口や象牙細管を経て徐々に歯の外に漏出
  消毒用薬剤:イソジン(ポピドンヨード)、グルコン酸クロルヘキシジン ← 創面の消毒時、皮膚バリアがないため多量に薬剤が吸収されるためと考えられる。オルトフタルアルデヒド(内視鏡の殺菌消毒剤)

ACE阻害薬による血管浮腫

・発症まで数ヶ月から数年かかることが多い。
蕁麻疹を伴わない血管性浮腫では、ACE阻害薬の服用を確認すること、特に高齢者。
・起因薬 
アラセプリル(セタプリル®)、エナラプリル(レニベース®)、リシノプリル(ロンゲス®)、ロサルタン(ニューロタン®)
DPP阻害薬の併用で悪化することあり。

固定薬疹(fixed drug eruption)

・症状: 類円形の紅斑が体の決まった部位に出現し、色素沈着を残す。
まれに水疱を伴うことがあり、口唇に繰り返すと単純ヘルペスとして誤診・治療されることがある。
内服してから数時間から24時間で発症することが多い。
・起因薬
 感冒薬・・・アリルイソプロピルアセチル尿素、エテンザミド、他
 消炎鎮痛薬・・・アセトアミノフェン、メフェナム酸、他
 抗菌薬・・・ミノサイクリン、ドキシサイクリン、レボフロキサシン、他
 カルボシステイン、バルビタール、アロプリノール、センノシド
・特徴
 多発型では、TENに移行することがある。
 パッチテストは皮疹部で陽性になりやすい。
 色素沈着を残さないnon-pigmenting fixed drug eruptionもある。
 カルボシステインの固定薬疹では誘発に数日かかることがある。
 食品でも起こることがある。着色料、果物、トニックウォーター、他

Drug combinationによる薬疹

・1剤の内服では皮疹が誘発されないが、多剤の内服によって誘発されるもの 
固定薬疹が多いが、蕁麻疹型、扁平苔癬型、多形紅斑型、SJS、紫斑型がある。
起因薬:セファクロール+塩化リゾチーム、バルビタール+アレルギン、 テプレノン+カルボシステイン、 エペリゾン+ジアゼパム、セファドロキシル+プラノプロフェン、 キシロカイン+セファレキシン、 デパケン+リーマス、アンブロキソール+チペピジン

光線過敏型

・症状: 日光暴露部に紅斑が出現。顔面、頚部などに境界明瞭な皮疹が認められる。
内服後日光に暴露しないと感作しないため、発症までの期間は様々であるが、比較的長期服用後に発症することが多い。
・起因薬
抗菌薬(ニューキノロン系、ドキシサイクリン、他)
消炎鎮痛薬(ピロキシカム、アンピロキシカム、ケトプロフェン、他)
降圧利尿薬(フロセミド、ヒドロクロロチアジド、メチクラン、他)
抗ヒスタミン薬(メキタジン、プロメタジン、他)
高脂血症薬(シンバスタチン、プロバスタチン、他)
アフロクアロン、チリソロール、クロルプロマジン、ピルフェニドン

・特徴
光毒性によるものと光アレルギーがある。光毒性のものは感作は必要ないので、比較的短期間で発症する。
利尿薬を含有した降圧薬合剤による症例が増加している。
薬剤中止後も症状が遷延することがある。
ケトプロフェンパップ剤の貼付後に日光暴露部位に皮疹が出現することがある。
薬疹を疑わないと診断に至らないので、日光暴露部に皮疹があるときは薬疹を鑑別すること!→原因薬剤中止で治癒する。

抗がん剤によるDLE型薬疹

・起因薬
テガフール(フトラフール®)、パクリタキセル、他
・特徴
抗SSA抗体と関連している。
日光暴露で増悪する。
病理像は苔癬様組織反応。
手足の紅斑を合併することがある。

薬剤の代謝物によって起こる反応

・代謝された薬剤によって薬疹が起こる
最も有名なものはアロプリノールの代謝物であるオキシプリノール。
カルボシステインの中間代謝物であるチオジクリコール酸。
・カルボシステインの代謝は内服時間によって代謝物が異なる。
内服時間によって薬疹の発症しやすさが異なる。
・サラゾピリンの薬疹患者の代謝酵素
 サラゾピリンの代謝酵素であるN-アセチル転移酵素はサラゾピリンの薬疹患者において、代謝がおそいSlow acetylatorであることが示されている。
 →サラゾピリンが分解されにくいために薬疹が出やすいとされている。

まとめ

1.薬疹であることを疑うために十分な問診をすることが重要。
2.播種状紅斑丘疹型、多形紅斑型は薬歴が重要。
3.個々の薬疹型によって起因薬が異なる。
4.個々の薬疹の特徴を踏まえて診断する。
5.発熱があれば重症薬疹を疑う。

接触皮膚炎の症状と検査

兵庫県立加古川医療センター皮膚科
足立厚子先生

接触皮膚炎の定義

・外来性の刺激物質や抗原(ハプテン)が皮膚に接触することにより発症する湿疹性の炎症反応をさす。
・湿疹とは、外的内的刺激に対する表皮・真皮上層を場とし、痒み、ヒリヒリ感をともなう可逆性の炎症で、組織学的に表皮細胞間浮腫、海綿状態から水疱形成に至る特徴をもち、臨床的に湿疹三角に示されるように、紅斑、丘疹、小水疱、から苔癬化に至る可変性を有する皮疹から成り立つ皮膚疾患の総称である。
・接触皮膚炎の原因物質が慢性に皮膚に作用すると慢性接触性皮膚炎となり、皮膚の肥厚と苔癬化局面を形成し、その中に急性症状が混在した形態をとる。
・急性期の組織反応は、真皮上層からTリンパ球が表皮に浸潤し、表皮細胞を障害し海綿状態と呼ばれる組織変化を起こす。この反応がすすみ表皮内水疱が形成される。

・接触皮膚炎の分類

刺激性接触皮膚炎
アレルギー性接触皮膚炎
光接触皮膚炎(光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎)
全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群
※光アレルギー接触皮膚炎とは、化学物質がタンパク質と結合して完全な抗原になる反応が紫外線照射によって起こる場合をいう。(例 モーラステープ®)
・皮膚科外来患者の4-30%を占める。
・主な原因物質
 化粧品(基礎化粧品、メーク製品、頭髪用品など)
 外用剤、金属、植物など。

接触皮膚炎治療アルゴリズム

・診断手順

・疑うべきアレルゲンの問診からの推定
日用品、化粧品、植物、食物、金属、医薬品、職業性
などに分類される。

・疑うべきアレルゲン 部位からの推定

・接触皮膚炎の検査 = 遅延型アレルギーの検査
パッチテスト:アレルギー性接触皮膚炎の原因特定に最も有用な検査である。
パッチテストユニットを用いてアレルゲンを皮膚に一定時間密封貼付して、人工的にアレルギー性接触皮膚炎を再現する方法である。48時間貼付し、72、96、168時間後に判定する。
リンパ球幼若化試験は一般的に実施しない。
・パッチテストの手順

  1. 背部の皮膚病変のない部位にアレルゲンを閉鎖貼付する。パッチテストパネル等。
  2. 48時間後にパッチテストユニットを除去し、絆創膏による圧迫刺激の影響がなくなる約1時間後に48時間判定を行う。
  3. 以降72時間後、1週間後に判定する。

・パッチテスト用のアレルゲンの調整方法

・標準アレルゲン本邦陽性率
2014年の時点で上位10アレルゲンは、硫酸ニッケル、ウルシオール、塩化コバルト、パラフェニレンジアミン、フラジオマイシン、金チオ硫酸ナトリウム、香料ミックス、チウラムミックス、塩化水銀、重クロム酸カリウム の順に陽性率が高かった。
金属が多く、特にニッケルと金は女性に多い。
本邦で用いられている金属パッチテストアレルゲンは3社から発売されいずれも有用であるが、鳥居薬品のものは水銀とパラジウムも含まれており有用である。

ニッケル皮膚炎

陽性率が15-20%と最も高いアレルゲンである。
装飾品:ピアス、イアリング、ペンダント、ネックレス、指輪、ヘアピン
日用品:ビューラー、メガネフレーム、腕時計、ハンドバッグ、財布の留め金
衣服:ジッパー、下着ホック、ジーパン金属ボタン
その他:ニッケル硬貨(50円、100円、500円)、ペン、ドア取っ手、ステンレス製品(台所器具など)、携帯電話、iPad
医療材料:歯科用合金、ステンレス製医療機器(プレート、ペースメーカー、人工弁人工骨、注射針など)

コバルト皮膚炎

メッキ製品:ニッケルメッキされたものにはほとんど含まれる。
ビタミンB12製剤:メチコバール
絵具・クレヨン、陶磁器、エナメル、粘土、セメント
印刷インキ:コバルトブルー、コバルトグリーン、接着剤、色素
染毛剤、ポリエステル系プラスチック
歯科金属
※ NiとCoの検出にはSmart Practice社の「reveal and conceal®」で含有しているものを検出できる。
アレルギーのある患者に有用。

クロム皮膚炎

クロムは合金として使用される。ステンレス鋼(鉄とニッケルと10.5%以上のクロムを含む)
皮革製品:クロムを鞣しに使用しているものがある。革靴、ソファなど。
セメント
インク:ボールペン、印刷インク、黄色ペンキ、緑色衣料、緑色ネル生地
ゴム、ガラス、トタン、防錆剤、毛皮処理剤
(症例):食物中のニッケルが皮疹を起こしたと考えられる症例
硫酸ニッケル陽性 汗疱状湿疹

・偽アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎(AD)のサブタイプには以下の2つがある。
IgE高値:バリア異常(フィラグリンの低下など)・・・外因性AD、フィラグリン遺伝子異常、あるいは不明のバリア異常
IgE正常域:バリア異常なし・・・内因性AD ← 偽アトピー性皮膚炎のことであり、金属アレルギーが原因として多い。
まとめると、
金属アレルギーには、
接触物中の金属 → 接触により皮膚炎・・・金属接触アレルギー
歯科金属や食品中の金属 → 口腔粘膜や消化管より吸収 → 皮膚炎 ・・・全身型金属アレルギー(全身性接触皮膚炎)
※汗疱状湿疹、貨幣状湿疹、掌蹠膿疱症が難治性の場合には、全身型金属アレルギーも鑑別すべきである。
全身型金属アレルギーは必ずしもパッチテスト陽性とはならない。陰性でも内服テストが陽性となる場合がある。
パッチテスト陽性患者も全身型金属アレルギーは一部の患者である。
つまり金属接触アレルギーと全身型金属アレルギーは病態が異なる。→生活や食事指導も個々の患者に対処すべきである。

金:金チオ硫酸ナトリウム
2014年以後、金の陽性率は急上昇した。その理由はそれまでのパッチテストの金の濃度が低かったことによる。
貴金属、ピアス、歯冠など。その他金の化合物は抗リウマチ薬。
金は1ヶ月後にパッチテスト陽性となることがあるので、観察は1ヶ月間すること。

フラジオマイシン含有外用薬:陽性率6-8%、Day7に陽性となることが多い。
 ネオメドロールEE、眼・耳科用リンデロンA、プロクトセディル軟膏、クロマイP軟膏、フルコートF軟膏など。

カインミックス:市販外用薬、局所麻酔剤に含まれる。陽性率2-4%。
 塩酸ジブカイン、塩酸プロカイン、アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン®)、塩酸テトラカイン
 ※ パッチテストのキットは、ジャパニーズスタンダードアレルゲンとパッチテストパネル がある。

パラベンミックス:数種類の防腐剤のミックスである。陽性率は1-3%。
 食品や外用剤、化粧品などに幅広く使用されている。
 パラベンを含む化粧品のパッチテストは陰性だが、パラベンミックスのパッチテストは陽性となることがあるり、パラベンパラドックスと呼ばれている。
パラベンフリーの製品に変更することで症状は軽快する。

チメロサール:水銀含有の防腐剤 陽性率3−5%。
 化粧品やワクチンの防腐剤。
 殺菌剤、抗真菌剤、防腐剤に含まれる。
 ※ワクチンへの添加は最近は減少傾向である。
 (注意)ピロキシカム(バキソ®、フェルデン®)にも過敏症を生じる可能性があり要注意。

イソチアゾリノンミックス:防腐剤 陽性率1−3%
 クリーム、乳液、化粧水などの化粧品
 ケーソンCG:メチルイソチアゾリジンとメチルクロロイソチアゾリノンの混合物→米国ではすでに報告されている。冷却タオル、冷却ゲル寝具にも含まれている。
化粧水による眼瞼の接触性皮膚炎↓↓

ロジン(精製松脂):陽性率2−3%
 インキ、塗料、接着剤、滑り止め
 医薬品、湿布薬、テープ、ガム
 マスカラ、除毛ワックス、光沢のある紙
 ペルーバルサムと交差反応あり

香料ミックス:香料。陽性率4−7%
 メントールのタバコ、シャンプー、リンス、香料を含んだ化粧品、石鹸、香水、オーデコロン、線香、お香
 食品;シナモンを含むガム、アメ、アイスクリーム、パン、蕎麦、コーラ、マッシュルーム、ナツメグ、黒胡椒、ローレル、ペパーミント、ウイスキー、ブランデー、レモンやグレープフルーツの皮
 歯科用材料、セメント、固定糊
 医薬品で香料を含むもの

ペルーバルサム:マメ科の樹木から得られる樹脂である。香料、防腐剤として使用。陽性率4−6%。
 医療用外用剤、座薬、歯科材料、陶器、塗料、ソフトドリンク、絆創膏など。
 シナモン、クローブ、オイゲノールと交差反応する。

チウラムミックス:ゴム製品製造過程で使用される加硫促進剤の一つ。陽性率2−5%。
 手袋、長靴、水泳道具、下着、パテ、タイヤ、チューブ、コンドーム、化粧水パフ、化粧用綿棒、パフ、睫毛用ビューラー
 農業用殺虫剤、接着剤、石鹸、駆血帯、アルコール中毒治療剤、ペッサリー、腎透析装置 
 ※チウラム系加硫促進剤で熱加硫されたゴム製品はチウラム系化合物は熱分解されてジチオカーバメイト系化合物が残存している。→ チウラムミックス、カルバミックスを一緒にパッチテストすることが推奨される。
※パッチテストパネルSには5つのゴムアレルゲンが入っている。

カルバミックス、メルカプトミックス・メルカプトベンゾチアゾール::いずれもゴム製品の製造過程で使用される加硫促進剤の一つ。陽性率1%。

黒色ゴムミックス:黒いゴム製品の老化防止剤として含まれる。陽性率1−2%。
 タイヤ、ビューラーのゴム、手袋、靴底、ステッキの柄、エスカレータの手すり等々。
 ※ヘアダイの成分であるパラフェニレンジアミンに交差反応がある。

エポキシ樹脂:優れた電気絶縁性をもつ→電子回路の基盤やIC、パッケージの封入剤として使用される。陽性率1−2%。 
 自動車、家庭用電化製品の塗料、接着剤、床などとして使用される。
 ※職業性接触性皮膚炎のアレルゲンとして重要

p-tert-ブチルフェノールホルムアルデヒド:接着剤の強化のために配合される。陽性率1.7−3.8%。
 ゴム、革製品の接着に優れ、車の密閉剤としても使用される。
 接着部分(ゴム、ハンドバック、時計のベルトなど)
 複写紙、プラスチック製品、マーカーペン、プラスチック製爪の接着、ベニヤ板絶縁体、車のオイル、消毒剤、脱臭剤、殺虫剤。

ホルムアルデヒド:防腐剤、接着剤、塗料などに使用。陽性率0.5−1%。
 歯根管治療でホルムアルデヒドを含む製剤を詰められると、数時間後に蕁麻疹・アナフィラキシーを生じることがある。3種混合ワクチンや破傷風トキソイドに少量配合されている。
 合板家具、壁紙、衣料用仕上げ剤、抗カビ剤。
 衣服にも含まれることがあるが、洗浄によりなくなる。

症例)
臀裂部の湿疹が半年続き、全身に自家感作性皮膚炎が広がってきたため受診。持参したトイレットペーパーが陽性。 トイレットペーパー中のアレルゲン精査のため、成分分析をNITEに依頼した。

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