第71回日本アレルギー学会学術大会 聴講録day1

(注意)あくまで私の聴講メモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。

目次

こちらの記事は以下の内容が書かれています。

◆シンポジウム1 2型アレルギー性炎症の新規制御機構

◆ミニシンポジウム6 アナフィラキシー診断・検査

◆イブニングシンポジウム1

◆シンポジウム1 2型アレルギー性炎症の新規制御機構

●SY1-1 喘息病態におけるTSLPの役割と制御

慶応義塾大学呼吸器内科
加畑宏樹先生

TSLP(Thymic stromal lymphopoietin)はマウスの胸腺にてリンパ球を刺激するサイトカインとして同定された。
TSLPレセプターはα鎖がIL-7と共通するレセプターでありJAK-STAT系を活性化させる。
喘息患者を対象としたGWASでは喘息発症と重症化に関与すると考えられていた。
TSLPは上皮細胞由来サイトカインであり気道細胞に多く発現しているとされる。
IL-33やIL-25も同様のサイトカインである。
健常者と比較し喘息患者のBAL中にTSLPとIL-33の濃度は増加している。
その濃度は肺機能(%FEV1)と逆相関していると報告され喘息重症度と関連すると考えられている。

・喘息におけるTSLPの役割

OVAで発症する喘息モデルのマウスにおいてTSLPをKOすると炎症は惹起されない。
・TSLPは生体内でどの細胞に直接作用しているのか?
演者らはCre-loxPシステムをつかったマウスを作成し検討した。
(https://www.amed.go.jp/news/release_20170811.html)

・喘息モデルマウスにおけるTSLPの関与

自然免疫において、パパインという物質でもっともTSLP依存的であり、TSLPの有無により惹起される炎症が大きくことなった。
一方アスペルギルスでは無関係であった。
獲得免疫ではOVAの経腹腔感作よりも経皮感作(耳)のほうがTSLPに強く依存していた。
パパイン喘息モデルマウスはTSLPRノックアウトで気道炎症を惹起しなかった。(BAL中の好酸球とILC2、気道粘液産生のいずれも増加なし)
そこで細胞特異的にTSLPRノックアウトさせて検討した。

自然免疫系ではTSLPはILC2に直接作用して好酸球性炎症を発症させる。
獲得免疫系ではTSLPは感作相でCDCやCD4-T細胞に直接作用し所属リンパ節の抗原特異的TH2細胞を誘導して気道に移行し好酸球性炎症を惹起する。

ILC2にIL-33を作用させるとILC2が強力に活性化され細胞数が増加するが、デキサメサゾン濃度依存的に抑制される。
しかしIL-33にIL-2、IL-7、TSLPのいずれかを併用投与するとデキサにより抑制できない。→ステロイド抵抗性の機序の一つである。
IL-2、IL-7、TSLPはいずれもSTAT5のリン酸化を活性化し、Bcl-xL発現を増強し細胞死を抑制する。
IL-33とTSLPはILC2に直接作用してIL-4,IL-13の分泌促進し気道過敏性も増悪させる。

・まとめ

TSLPは、喘息における2 型炎症を誘導する
ILC2を介して局所の2 型炎症を誘導する
樹状細胞やCD4-T 細胞に作用して所属リンパ節におけるTh2 細胞の誘導を促進し、全身性の2 型炎症を誘導する
ILC2のステロイド抵抗性を誘導する

●SY3-2 自然歴から考える成人喘息の発症予防

広島大学分子内科学
岩本博志先生

成人発症喘息の自然歴リスク因子
 女性・肥満、気道過敏性・低肺機能、アレルギー感作、アレルギー併存症、喫煙 が挙げられる。
・アレルゲン回避による増悪の予防
アレルギー感作
ダニとペットアレルゲン
鼻炎治療による喘息発症抑制 ・・・小児で治療をすると喘息発症率が低下する、気道過敏性が低下する
成人後の体重増加 つまり肥満になると喘息発症率を上昇させる。
33歳時に喫煙者は有意に喘息発症率が高い。
・小児喘息の長期予後調査で成人期の低肺機能とCOPDのリスク因子であることが報告されている。
Melbourne Asthma Cohort 1964年に開始された観察研究である。
小児重症喘息は50歳時に15%しか寛解していない。低肺機能である。
・SARPIIIコホートではN=187、平均11歳の小児重症喘息患者に高用量ICS、生物学的製剤を投与し3年後に重症喘息の割合が半減した。
好酸球が高値の症例で改善しやすい。
・CAMP trial ではブデソニドで18歳時に寛解は6%台であった。
・他の報告では小児喘息の症状コントロールがよい小児は寛解率が高い
・小児期にICSを中止すると呼吸機能は低下
たとえ1年間臨床寛解が得られても、気道粘膜に好酸球性炎症は残存していた。
また小児喘息患者の寛解者で26歳時の気道過敏性は半数が残存している。
・小括
小児喘息は成人喘息、COPD、成人期低肺機能のリスクであり、肺機能の改善や症状コントロールは寛解の予後因子である。
ICS治療により重症度を低下させる。
成人期に寛解していても気道炎症や気道過敏性が残存する場合がある。
・小児期に寛解し成人期に再燃した症例では、その間のブラックボックスがある。
小児喘息既往は成人期の肺機能に影響するのか演者らは検討した。(ERJ 2022)
結果:FEV1の経年低下が小児喘息既往のある喫煙者で有意に大きい。
非喫煙者は-18mL/年、喫煙者は-31mL/年
・小児喘息はなぜ寛解後も呼吸機能低下の原因となるのか
気道過敏性・気道炎症が残存、成人期の喫煙、などが影響している。
・ステップダウンの際には増悪因子の管理も重要となる。
呼吸機能が良好か、最近1年以内に大発作はないか、花粉症の時期に増悪しないか等。
・小児喘息の寛解と関連する因子
母親の喘息歴が無い、アトピー性皮膚炎がない、アレルギー性鼻炎がない
一方成人期の喫煙はACOやCOPDのリスクである。→小児喘息患者の喫煙を防ぐべきである。

◆ミニシンポジウム6 アナフィラキシー診断・検査

●MS6-1 じゃがいもによるFDEIAの1例

大和高田市立病院小児科
池田聡子先生

ポテト菓子摂食後の運動でアナフィラキシーを生じたが、原因特定に難重した症例。
考察では病院での FDEIAの診断 について述べられた。
・FDEIAの原因が特定できない場合は最重症例を除き運動誘発試験の実施が望ましい。⇒運動誘発試験の感度と再現性は高くない。
誘発に不安が強い児や保護者の場合は同意が得られないこともある。
・特異的 IgE 抗体の陽性率は約 80%、皮膚テストは約 90%と報告されている。
・小児のWDEIAではω5グリアジンIgE 抗体、皮膚テスト共に陰性である例が少なくないので陰性でも否定はできない。

Q and A

Q じゃがいもは生でしかプリックテストは陽性にでなかったが、どういう機序か?
A 不明 今後解明していきたい
Q 喘息の症状コントロールが悪いときは食物アレルギーが起きやすいのか?
A 閾値はあがる可能性がある。
Q  過去にじゃがいもたべて運動はおそらく多数回あったと思うがなぜ9歳で発症したのか?
A 他の報告からも過去に多数の摂食歴があっても発症することがありまれではない。

●MS6-2 天ぷら粉に混入したダニによるoral mite anaphylaxis (OMA)の一例

鬼追芳行先生

本症例では具材によらず天ぷら摂取後に症状が強いことが判明した。

考察では、JACI 131 .31-35:2013から診断基準を引用されていた。(筆者確認)
1993 年、米国で初めて報告された(別名 pancake syndrome).

  1. 小麦粉食品摂取による症状の誘発
  2. 気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,食物アレルギーの既往
  3. ダニ特異的 IgE 陽性(invivo, invitro)
  4. 被疑粉の抽出液による皮膚テスト陽性
  5. 小麦またはダニ非混入の小麦の抽出液による皮膚テスト陰性
  6. ダニ非混入小麦食品摂取では症状なし
  7. 被疑粉中に顕微鏡下でダニの確認
  8. 被疑粉におけるイムノアッセイによるダニ抗原の確認
    9.アスピリン/NSAID 過敏症

・本邦におけるOMA 報告例

小麦粉単独の例はほとんどない
調理粉によるOMAが多い (お好み焼き粉 80%, たこ焼き粉 10%,天ぷら粉 5%)
栄養源を含んでいるためダニが繁殖しやすい。
他のアレルギーの既往が多い(喘息、AR、AD、食物)

Q and A

Q 開封後どれくらいまで保存してよいのか?
A 不明だが、ダニ繁殖は1ヶ月後くらいから急激に増えると言われている。

●MS6-3 遅発性アナフィラキシーからアニサキスアレルギーとの鑑別が困難であった精液アレルギーの一例

昭和大学呼吸器・アレルギー内科部門
能條 眞先生

諸外国では精液はアナフィラキシーの誘因として重要視されている。
疑われる原因の回避/除去をしても繰り返すアナフィラキシーではclosed questionでの性交渉歴の聴取も重要である。
本例では精液原液のプリックテスト2+陽性、BATでは精液原液および精子で強陽性により診断された。
避妊具使用によりアナフィラキシー再発なくアトピー性皮膚炎も改善した。
妊娠希望のため、人工受精を実施しているとのことであった。

Q and A

Q ペット 犬 うさぎ などのIgEは高かった。
Q 経膣感作の機序は?
A 精液内の蛋白が抗原となるI型アレルギー。
Q 頻度は?
A 日本では症例報告レベルである。
陰部症状などの症例に本当は精液アレルギーがうもれているのではないか。

●MS6-4 はち刺傷後のアナフィラキシーを契機に蚊刺過敏症の診断に至った1例

大分大学皮膚科
西依 諒先生

本症例ははち刺傷後に刺傷部位すべてが皮膚壊死に陥っていたこと、スズメバチ特異的IgE低値であったこと、幼少期から同様のことがおきていたこと、EBウイルス核酸定量検査値が上昇していたことより確定診断された。
考察では、
蚊刺過敏症は小児と若年成人に発症する稀なEBV 関連疾患である。
経過中に他のEBV 関連疾患を発症、死の転帰をとる 成人、高齢発症例の報告も少数あり。
蚊以外にも同じ双翅目のブユに反応あり。
ワクチン接種により局所・全身症状を生じる場合もある。

Q And A

Q アナフィラキシーと蚊刺過敏症は同じ病態という判断ですか?
蚊にさされやすい状態だったのか
A そのとおりである。
普段から蚊にさされてはひどく腫れていたとのことである。
蚊に刺されたときは瘢痕形成がおこったと本人による訴えがある。
蚊とハチの毒素に交差反応があるという報告もある。

●MS6-5 周術期アナフィラキシーの2例

済生会松阪総合病院皮膚科
欠田成人先生

詳細な問診と臨床経過の把握から原因としてセファゾリンとロクロニウムを同定した報告である。
被疑薬のプリックテストは全薬剤で陰性であったが、皮内テストにて陽性となった。
ロクロニウムについてはBATでも陽性。
モルヒネは10μg/mLで陽性となったが、肥満細胞脱顆粒をきたすので判定には注意を要する。
アトロピンは0.5mg/mLの濃度で皮内テストにて陽性を示したが、健常人3人でも同濃度で陽性であり、偽陽性と判定。
皮膚テストは偽陽性を生じない濃度の設定が重要と述べられた。

◆イブニングシンポジウム1

●EV1-2 重症喘息治療の今後の展望

静岡県立総合病院呼吸器内科
白井敏博先生

現行生物学的製剤のエビデンスと重症喘息治療の現状
ERS/ATSガイドライン:メポリズマブのエビデンス (ERJ 2020;55:1900588)
※筆者は原著を確認し以下に示す
・3つの試験を解析した。MENSA(増悪抑制), SIRIUS (OCS 減量), MUSCA (QOLと呼吸機能)
あらゆる増悪を50%減少,救外受診や入院を要する増悪を64%減少。OCS(中央値)を50%減量。
・ACQ-5を0.43pointの減少(改善),SGRQを7.14point 減少(改善)。
・FEV1の効果はMCID (0.23Lかつ10.38%の変化)以下であった。
※MCIDとは:患者における変化が有益であると解釈できる最小の変化値
・4 年半のfollow-upにおける安全性は確保された。
有効性は末梢血好酸球数と増悪歴の程度に依存する。

ERS/ATSガイドライン:ベンラリズマブのエビデンス
・5つの無作為試験を組み入れて評価。SIROCCO, CALIMA(増悪抑制), ZONDA (OCS 減量)等を主に解析。
あらゆる増悪を55%,救外受診や入院を要する増悪を55%減少。OCS(中央値)を75%減量。
ACQ-5を0.29pointの減少(改善),AQLQを0.32point 増加(改善)。
FEV1の効果はMCID (0.23Lかつ10.38%の変化)以下であった。
・有効性は末梢血好酸球数と増悪歴の程度に依存する。

ERS/ATSガイドライン:デュピルマブのエビデンス
・Phase2b (Wenzeletal.), QUEST(増悪抑制,FEV1 改善), VENTURE (OCS 減少率)を解析。増悪を46-70.5%減少。
・OCS50%超の減量:相対リスク1.49 倍,5mg 未満への減少:1.92 倍,中止:1.81 倍。
・FEV1は有意に改善したが, MCID (0.23Lかつ10.38%の変化)以下であった。
・ACQ-5, AQLQも同様の結果であった。
上記有効性は血中好酸球数≧150cells/μLまたは呼気 NO≧25ppbで大きかった。
・一過性の好酸球増多は有害事象と関連がなかった。
・デュピルマブを末血好酸球数によらず成人重症好酸球性喘息および重症ステロイド依存性喘息に用いることを推奨する。
※呼吸機能の改善は有意に認める

増悪因子
・重症喘息の59%は複数のバイオマーカーが陽性である。
単一のバイオマーカーだけ注目しても他の病態を改善できないのではないか

抗TSLP抗体テゼペルマブTezepelumabのエビデンス
・外的因子による刺激(汚染物質・煙、花粉・ハウスダスト、ウイルス・細菌、物理的損傷等)により、TSLPが放出される。
TSLPは樹状細胞を刺激してTH0→TH2に誘導、あるいはILC2に直接作用によりTH2サイトカイン放出(IL-4,5,13)させる。
抗TSLP抗体はこれらの複数の炎症経路を阻害することができると考えられる。
BAL中のTSLP濃度が高いほど%FEV1は低下(負の相関)を示した。(J Immunol 2018)
すなわちTSLPは、喘息重症度、呼吸機能低下、気道リモデリング、ステロイド抵抗性、ウイルスに対する過剰なTH2炎症などに関与する。
・NAVIGATOR試験 NEJM2021
12歳以上のコントロール不良な重症喘息患者N=1061を対象に、テゼペルマブを投与。
主要評価項目は、52週間における年間喘息増悪率、副次評価項目はFEV1の変化量と健康関連QOLスコアの変化量、バイオマーカーの変化量。
ベースライン時のバイオマーカーは血中好酸球数の平均は340/μLだが、150未満/μLも26%いる。
FeNO平均は43.8ppbだが、25未満は41.3%、通年性吸入アレルゲンは34.1%は陰性。
結果:血中好酸球数、およびFeNOは投与2週目から急激に減少、維持した。血性総IgEは徐々に52週まで連続して低下した。
年間増悪回数は2.1回から0.93回に有意に減少した。サブグループ解析では、好酸球やFeNOがより高値のほうが増悪抑制効果はおおきかったが、低値の群でも有意に増悪回数を低下させた。
特に血中好酸球数300/μL以上かつFeNO25以上群ではもっとも年間増悪率を低下させた(3.14回→0.73回/年)。
年齢、性別、人種、BMI、地域によらず有効であった。
ATS 2022の発表演題では、リモデリングマーカーであるMMP-10とMMP-3が有意に低下したと報告された。MMP-10は好酸球数とも相関した。
Tezepelumabの増悪減少効果はすべての季節で認められた。(ERS congress 2022)
Tezepelumab 投与下のclinical remissionはプラセボの3 倍強であった。
日本人のサブグループ解析では、52 週間における年間喘息増悪率3.12→1.54回に減少した。
・NOZOMI試験:N=66の日本人、1年間の安全性と忍容性を観察した。
・CASCADE試験:N=116。気管支鏡検査による粘膜下の炎症細胞浸潤の評価→好酸球は有意に低下、その他は有意差なし。
探索的評価項目として気道過敏性は低下させた。
Tezepelumabはプラセボよりも有意にmucus plugを減少させた。
・副作用 頻度不明のものとしてアナフィラキシーと心筋障害があった。

●教育講演1 ILC2によるアレルギー発症機構を考える

大阪大学生体防御学教授、理化学研究所生命医科学研究センター
茂呂和世先生

・T細胞は、細胞傷害性T細胞Tc(表面抗原CD8+)、と3つのヘルパーT細胞(表面抗原CD4+)Th1、Th2、Th17に分かれる。
すべてのT細胞には抗原を認識するTCRが存在する。これにより抗原特異的反応を起こすことができる。つまり抗原がないと活性化しない。
一方ILCは抗原認識するレセプターは存在しないが、多数のサイトカインレセプターを発現し反応する。つまり多数のレセプターで周囲の様子を感知してみんなの様子をみながら行動する細胞である。
・NK細胞とILC1は機能は同じと考えて良い。これらの異同について最近議論されたが、PerforinとGranxymeを産生放出するのがNK、放出しないのがILC1という認識である。
NK、ILC1の機能はウイルス感染細胞を障害、「細胞内に侵入する細菌」に感染した細胞を障害、がん細胞を障害する。I型サイトカインを産生する。
・ILC2は寄生虫感染排除が進化の過程で必須だったと考えられ、アレルギーの発症は先進国のみの疾患と考えられる。組織修復は重要な働きである。I型反応で障害された細胞/組織を修復する。つまりI型反応の裏でII型反応が修復しているのである。修復過剰は線維症を発症する。
・ILC3は細胞外細菌感染の防御を行うが、それよりも恒常性維持の機能が重要である。腸管や粘膜面に存在する。
・ILC2は抗原依存性を持たないが様々な内因性ファクター(サイトカイン、脂質、ホルモン、神経ペプチド)のレセプターを持っている。IL-33は、皮膚、呼吸器、耳鼻科、大腸の免疫に関連する。 IL-25は、腸管免疫、特に小腸に関連する。
ILC2は性ホルモンは重要で、オスのマウスはアンドロゲンにより常にILC2が抑制されている。よって研究にはメスのマウスを用いる。
・最近の報告では、アルテルナリアやアスペルギルスなどのお真菌成分によって誘導されるセロトニンはILC2を抑制する。
※筆者補足:セロトニンのソースはマスト細胞であり、活性化したILC2を選択的に抑制するとのこと。(KAKEN https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K16702/) セロトニンは新たな治療ターゲットとして期待される。

IL-33はウイルス感染に対して抗体産生を増幅させることで抵抗性もつ。
マウスにインフルエンザワクチンとIL-33を同時に投与すると抗体産生が非常に増幅された報告がある。
IL-33がILC2活性化→II型サイトカイン分泌→B細胞からの抗体産生を増幅している。
ILC2=アレルギーという考えは間違っている。I型炎症が行き過ぎるとII型サイトカインが抑制する機序がある。

・異なる組織のILC2は異なる表現型を持つ
脂肪と肺と骨髄のILC2はIL-33レセプターを高発現している。
腸管はIL-25R、皮膚はIL-17Rをそれぞれ高発現している。

・ILC2からのIL-5 産生はB1 細胞の自己複製に必須である。
IL-33はILC2だけでなく肺のB1 細胞に影響を与える。
演者らの報告では、ILC2はIL-33がないと少ないが、IL-33を加えるとB細胞が非常に増加することが判明した。
B2細胞(普通のリンパ球)、B1細胞、形質細胞が増加する。かつてB1細胞はヒトにいないとされていたが、
好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸にはIgEを産生するB1 細胞が存在することが証明された。
※筆者補足 B 細胞は2つのサブセットからなる。腹腔や腸管にはB1細胞、脾臓などに存在するB細胞はB2 細胞とよばれる。B1細胞の活性化は病原体の多糖類などの認識によって起こり微生物を広範囲に認識する。

・ILC2がIL-4を放出するにはCa流入刺激が必要である。
IL-2 + IL-33の気管内投与により7日目くらいからILC2がIL-4を産生する。同時にB1細胞からのIgE産生が誘導される。
通常のIgEはリンパ節でクラススイッチされるが、B1細胞のIgEは肺内でクラススイッチしている。(Innate IgEと呼ばれる)
Innate IgEは好塩基球と肥満細胞の生存・増殖を担う。
Innate IgEは低親和性であり抗体の架橋は起こらないが、Innate IgEは多様なアレルギー反応を増幅する。
ILC2sは好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸でIL-4 を産生し、鼻茸内のB1 細胞はIgEを産生している。

まとめ ILC2によるアレルギー体質形成機構
ILC2はIL-4を産生するが、それにはIL-33 + IL-2が重要で、さらにILC2から分泌されるIL-5が好酸球を活性化してCysLTなどを分泌させ、その刺激がILC2に入りCa流入刺激が入るとIL-4を産生分泌する。
IL-4は肺内でのB1細胞を増殖・活性化しInnate IgE(低親和性IgE)を産生し、好塩基球や肥満細胞を増殖する。抗原暴露したときこの増殖した肥満細胞はより強く反応(脱顆粒)しやすい。アレルギーの重症度と関連していると考えられる。増殖した好塩基球はIL-4を産生しILC2を増殖・活性化するので、またIL-4産生ILC2が増えることになる。

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