第71回日本アレルギー学会学術大会 聴講録day3

(注意)あくまで私の聴講メモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。

目次

こちらの記事は以下の内容が書かれています。

◆シンポジウム24 食物アレルギー発症予防の最新知見

◆シンポジウム24 食物アレルギー発症予防の最新知見

●SY24-1 妊娠中から新生児期

浜松医科大学小児科
夏目 統先生

2歳までの抗菌薬暴露は5歳時のアレルギー疾患と高率に関連がある。
妊娠中の業務用消毒剤の使用が、3 歳児の アレルギー疾患の発症(喘息・アトピー性皮膚炎)と関連している可能性がある。食物アレルギーには無関係だった。
妊娠~出産後の乳児期までプロバ イオティクス投与でアレルギー疾患発症予防できるかもしれない。がエビデンスはまだない。
妊娠中の母親の摂食したアレルゲンが胎児にも届いているかもしれない。特にIgGがあると胎盤通過しやすい。
BENEFIT pilot trialでは、卵とピーナッツを多量摂取と少量摂取で比較したところ、有意差はなかった。
→ 現在のエビデンスは妊娠中に母親がアレルゲンを除去する必要はないとされている。

保湿剤の効果は?

家族歴のあるHigh risk 児が保湿剤を使用していると発症を遅れさせられるか? → 食物アレルギーは予防できない。
生後 3か月時の保湿剤使用頻度と3 歳までの食物アレルギー発症が正の相関をすると報告がある。
保湿剤にはオリーブ油など種々の成分が含まれており、それがよくないかもしれない。→これも証明されていない。

消化管アレルギーの予防は?

→ 現在未知の状態。そもそも診断が難しい。
過去のエピソードが1-2回の食物に負荷試験しても陽性率は50%程度しかなかった。
3回以上の場合は陽性率は75%。
まず正確な診断がもとめられるので、予防までの介入研究には至っていない。

出産前後の親への指導はどうするか。
エビデンスは確率していないので、教育が重要である。
まとめ
妊娠期・授乳期の食物アレルギー予防
・プレ・プロ・シンバイオティクス→使用推奨なし。研究中
妊娠中・授乳中の母の食事→除去しない。積極摂取は研究中。
児の保湿剤→ADのためにhighrisk 児に、肌に合うものを。
親の負担も考慮
・教育→この後の児の摂取についても妊娠中から啓発して計画してもらう。

●Sy24-2 生後3日間

東京慈恵会医科大学小児科
田知本 寛先生

・食物アレルギーはいつ発症するか

生後2ヶ月までにかゆみを伴う湿疹・即時型で発症している。

・早期に食べると発症予防できる?

ピーナッツ摂取時期が早く、摂取量も多いイスラエルに住むユダ ヤ人のピーナッツアレルギーはイ ギリスに住むユダヤ人の10 分の1であった。
そこで生後 4~11ヶ月の乳児。ピーナッツ除去群 VS 摂取群にわけて、5 歳での評価を実施した。その結果、生後早期にピーナッツを経口で摂取するればピーナッツアレルギーを予防できることが示された。
生後 4-6ヶ月に鶏卵を摂取しても卵アレルギー抑制効果は得られなかった。生後 4ヶ月ですでに鶏卵アレルギーを発症している乳児が相当いたので、介入がすでに遅すぎた可能性がある。
産院中に牛乳に暴露すると、アレルギーのリスクが 1.5 倍に増加した(JACI 1999)。
デンマークからの前向きコホート研究では(JACI1988)、対象 1749 名中 39 名に牛乳アレルギーが発症した。その39 名は生後 3 日以内に人工ミルクを飲んでいた。完全母乳 210 名に牛乳アレルギー発症はなかった。

→演者らは生後3日間が重要ではないかと考えた。

そこで演者らは、アレルギーのある妊婦を出産後2群にランダム化した。母乳+牛乳由来ミルク除去群N=156例、母乳+牛乳由来ミルク5ml/日以上投与群N=156例。5ヶ月間継続。5ヶ月後も24ヶ月後もミルク投与群で牛乳アレルギーが有意に多かった(JAMA Pediatr 2019)。また牛乳に限らず何らかのアナフィラキシーを起こしたのも、ミルク投与群で有意に多かった。
この研究は、牛乳に対する感作だけでなく、出生時に牛由来の人工ミルクの補充を避けることによって予防可能であることを発見した。この予防は、治療の費用と時間をかけずに簡単かつすぐに適用できる。
1) アレルギー素因をもつ児には
 食物アレルギー発症予防(鶏卵・牛乳・小麦・食物によるアナフィラキシー)
 生後 3 日間は母乳、不足分をアミノ酸乳で補い、生後 4 日以降からは人工ミルクへ変更可能。
2) 生後から人エミルクを症状なく飲めている児には、
 人工ミルクを飲まない期間(ブランク)を作らない
 ブランクは二週間以内にとどめておくことがよい考えられる

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