2023年10月12日にTrelegy 喘息適応3周年記念講演会が開催され、私は座長およびkeynote speechをいたしました。

Keynote speechmのタイトルは「喘息の増悪因子と対策」です。
要旨は以下のとおりです。
喘息はアレルゲンを吸入すると悪化しますが、それ以外の悪化要因が多数あります。
その中で医学的に証明されている増悪因子について若干の解説をいたしました。

1.肥満は特に女性で喘息のリスクである。
 太るほど喘息の重症度が上がり、発症率が上がります。
2.妊娠は3分の1の方が悪化、3分の1が横ばい、3分の1が改善します。
3.環境整備は喘息症状の改善に有効ですが、複数の対策を同時に実施する必要があります。
 ダニ駆除剤使用、ヘパフィルター付き掃除機、空気清浄機、カーペット除去、ダニ不透過シーツ使用、湿気とカビ除去、ペット飼育中止、等です。
4.喫煙は吸入ステロイド薬の治療効果を減弱します。受動喫煙は息切れ、喘鳴、症状による睡眠障害を起こします。
5.カビのアルテルナリアは小児や青年期の喘息増悪要因です。

(注意)聴講については私のメモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。

講演は、
今後の喘息診療におけるテリルジーの期待
山口将史先生 滋賀医科大学内科学講座呼吸器内科准教授

喘息診療におけるLAMA

CAPTAIN試験
treatable traitsとテリルジーを投与する意味
トリプル製剤の喘息診断初回から投与する意義
などについてご講演いただきました。

今年のLANCET2023 Porsbjergらが喘息の管理目標について総説を発表している。
喘息診療実践ガイドライン(PGAM)は毎年改訂され一般内科開業医を対象とした内容となっている。

喘息診療におけるLAMA(長時間作用性抗ムスカリン受容体拮抗薬)
 喘息治療ガイドラインでは治療ステップ2からLAMAが推奨されている。
気管支拡張作用と気道分泌抑制作用、リモデリング抑制作用が期待される、
継続治療を行っても日中の咳は患者の5割近く残存し、痰も同様である。
LAMAは末梢気道を拡張させる効果、および気道分泌物抑制に優れる。Rogliani et.al Respir Med 2021
演者らの報告では、キュバールでは末梢気道病変をより改善することをアストグラフとIOSを用いて証明した。(2009年)
Carpaji OAらERS Open Res 2019では、持続性の喘息症状がある症例ほど末梢気道病変が多い。
2013年の報告では、吸入剤は1日1回、1回1吸入の製剤が望まれている。
マルチデバイスの吸入者はシングルデバイスよりも急性増悪頻度が高い。(COPDの試験)
テリルジーは費用対効果が適正である。

CAPTAIN試験

テリルジーVSレルベアでは、テリルジーの呼吸機能改善が優れている。
投与1日目の吸入3時間後で一秒量は100mL増加した。かなり早く効く。
軽症から中等症の増悪を対象にpooled data 解析を実施たところ、トリプルがDualよりも改善させていた。

テリルジーに含まれるICS(FF)は増量すると抗炎症効果は増加するが、血中コルチゾール抑制はBUDよりも少ない。
最適な呼吸機能の維持は認知症発症リスクが低いことが示された。(2023年)

Treatable traits

 難治化要因を患者個別に考えて対応していこうという考え方。
 問診、採血、肺機能検査で確認することが重要である。
*咳感受性亢進患者には、LAMAが有効である。

トリプル製剤の喘息診断初回から投与する意義

喘息学会の成人喘息治療のフローチャートでは、中用量のICS/LABAから開始が基準だが、
咳が強い患者ではトリプルから開始でもよいと注釈されている。

吸入ステロイドは最近は高用量で投与し続けるのは逆風である。

中用量までのICSで臨床効果は90%となる。高用量では副作用のデメリットが増えてくる。
テリルジー200で導入開始しても、3ヶ月で100へ減量したが、経過は良好。
喘息初診患者にトリプルのほうがデュアルよりも特に夜間の咳の改善効果が高い。

・トリプル療法が適応となる喘息患者 演者の私見

固定性の気流制限を有する。
ACO 
咳嗽がきつい
喀痰が多い
肥満
吸入回数や本数が多いとコンプライアンスが低下する。
*ステップダウン治療がメインとすると、まずテリルジー200から開始もありである。
肥満患者に対するLAMAの効果は確立されてる。
肥満患者はGLP1分泌が低下しており、気管支拡張作用が減弱している。

コメントは停止中です。