第72回日本アレルギー学会学術集会 聴講録 その1

(注意)あくまで私の聴講メモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。

目次

こちらの記事は以下の内容が書かれています。

●S6-1 職業性接触性皮膚炎

埼玉済生会川口総合病院皮膚科
高山かおる先生

職業性皮膚疾患は、接触性皮膚炎と接触じんま疹で全体の90%を占める。
職業性接触皮膚炎 には、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、光接触皮膚炎、接触蕁麻疹、タンパク質接触皮膚炎、の5つがある。
診断にはまず疑うことが重要である。
疑うポイントは部位と病変である。
 露出部:特に触る手、飛沫による顔面 、地面に触れる足、くつなど
職業別では、美容師、看護師、ネイリスト、医師、歯科衛生士、理容師、食品関係などが多い。
製造加工業では、化学薬品、接着剤、業務用手袋、軍手、水様性切削油、エポキシ樹脂が原因である。
理美容師は、シャンプー、パーマ液、ヘアリンス等、クリーム、業務用手袋、染毛剤、シャンプー
ネイリストはジェルネイル、ジェルネイル器具、エステシャンは精油、クリーム、マッサージ師は精油、ヘナインストラクターは染毛料
医療関係者はコロナが原因で手指衛生が非常に増えた結果、手湿疹が増加した。
・一般集団における手湿疹の有病率と危険因子について調査した報告では、 1年有病率はほぼ10%、生涯有病率は15%
高い罹患率は、女性、接触アレルギー、アトピー性皮膚炎、湿潤作業と関連 手湿疹のために医療機関を受診したのは70%、病気休暇(7日以上)は約20%、 転職は約10%であった
手湿疹の中等度から重度の拡大は、手湿疹の持続の最も強い危険因子であった。
その他の危険因子には、手湿疹の早期発症および小児湿疹が含まれた。
・ヨーロッパの報告では(Eur J Dermatol. 2020 Dec 1;30(6):668-673.)
患者512人(女性243人、男性267人)を対象に調査し、SARS-CoV-2の発生後、手洗いと手指消毒の頻度が増加(p<0.001).、症状は患者の29.9%(149/499人).
リスク因子:手指消毒の頻度(p=0.039)、アトピー性皮膚炎V (p=0.006)および若年(p=0.0499)
・手荒れと感染リスク
手荒れがあると手指衛生後にも十分に菌が除去されていない可能性がある。
手荒れは、皮膚細菌叢を変化させ、黄色ブドウ球菌などの病原菌を常在化させやすくする
EurJClinMicrobiolInfectDis.35(8):1355-61,2016
手荒れ防止のためのハンドケアは医療従事者のQOLを高めるだけでなく、院内感染コントロールの観点からも重 要であると考えられる
MorbidityandMortalityWeeklyReportVol.51,2002
少なくとも1日8~10回の手洗いは、 手湿疹のリスクを有意に増加させた (p<0.001)
アルコールベースの手指消毒剤の使用は、手湿疹のリスクと有意な関連は認められなかった。
COVID-19の大流行時に手指衛生習慣が広 く実施されたことを考慮すると、手湿疹 のより高い発生率を回避するために、 手指に特異的なスキンケア習慣を理解する適切な必要性がある。

アレルギー性接触性皮膚炎

職業性接触皮膚炎の看護師2248人を対象としたパッチテストの結果では、チウラムミックスに6.7%、重クロム酸カリウムに5.6%、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノンに4.4% の陽性反応が認められた。
ゴム手袋の加硫促進剤アレルギー

 ゴムは液体なので形にするために加硫促進剤(ゴム硬化剤)が必要となり、ほぼすべてのゴム製品に含まれる。
パッチテストパネル(SATO製)にゴム関連アレルゲンが含まれている。
加硫促進剤・・・チウラムmix、カルバメートmix、メルカプトmix、グアニジン系
加硫促進剤を使用することで、弾性・柔軟 性・生産性が改善(大量生産)
各々の長所を活かしてゴム製品を作製するた め、1製品に複数類の加硫促進剤が含有
手術用合成ゴム手袋には、カルバメートMixと メルカプトMixが含有されていることが多い。
加硫促進剤の陽性率4-6%

アレルギー性接触皮膚炎・接触じんま疹
ラテックス I型(即時型) 接触じんま疹・アナフィラキシー
加硫促進剤 IV型(遅延型) 接触皮膚炎

IV型ではない接触皮膚炎(PCD) ・・・タンパク質接触皮膚炎:臨床的には湿疹病変、プリックテストで陽性、タンパク質が原因
PCDタンパク質接触皮膚炎とは、
職業性PCDは、タンパク質が原因アレルゲンとなり、接触した部位に生じる再発性のアレルギー性接触皮膚炎をさすが、化学物質で あるハプテンを原因アレルゲンとしたⅣV型アレルギー性接触皮膚炎とは異なる病態と考えられる。
(食物を扱う人にみられる)手の皮膚炎には高分子量の抗原蛋白により生じる接触蕁麻疹が あり、さらにその表現型が湿疹 であるような病態。
手湿疹やアトピー性皮膚炎が先 行していることが多い。

●S6-2 職業性過敏性肺炎

東京医科歯科大学 呼吸器内科
宮崎泰成先生

過敏性肺臓炎

定義・概念
感作された抗原を吸入後に、肺胞壁(胞隔)や細気管支 においてIII型・IV型アレルギー反応を起こすアレル ギー性の間質性肺炎である。
急性過敏性肺炎は肉芽腫を形成するため肉芽腫性肺疾患に分類される。
慢性過敏性肺炎は進行性線維化を伴うびまん性肺 疾患に分類される。
最新のガイドラインでは、画像病理により非線維性と線維性に分類されている。

職業性過敏性肺炎Occupational hypersensitivity pneumonitis:OHP
・職場環境に存在する抗原が原因となって発症する。労働安全衛生法による職場管理によりじん肺症が減少している現在、OHPは職業性呼吸器疾患 の中でも重要な疾患となっている。
・日本におけるOHPは1980年代の全国調査で全体の69%が農業従事者であり、その中でもほとんどが農夫肺とよばれる農場労働者である。その他の農業従事者では、温室栽培者肺とキノコ栽培者肺が散見される。その次に多いのは化学物質による過敏性肺炎で、その中ではイソシアネートによる塗装工肺が多い。
*イソシアネートとは、R-N=C=O基をもつ化合物の総称である。
職業性過敏性肺炎の原因抗原は、
細菌、真菌、動物、低分子化学物質、金属などがある。

農業やっていて牛かとおもったら、牛のエサに集ってくる鳥の糞が原因のこともある。
日本の過敏性肺炎(HP)は夏型過敏性肺炎と鳥関連過敏性肺炎が多い。
急性=非線維性、慢性=線維性、であるが、およそ1:2で慢性が多い。
およそ夏型過敏性肺炎は急性=非線維性であり、鳥関連HPは慢性=線維性である。
非線維性HPの予後は良好(5生率>14.7年)だが、線維性HPの5生率は7.95年、蜂巣肺のあるHPは2.8年である。

防じんマスクなどを着用して防ぐことができる。

●S6-3職業性喘息

福井大学医学系部門 内科学(3)分野
石塚 全先生

職業性喘息の定義

喘息予防・管理ガイドライン2021
特定の労働環境で特定の職業性物質に曝露されることにより 発症する喘息と定義される。
既存の喘息が職業性曝露によって増悪する喘息は「作業増悪 性喘息」という。両者を併せて「作業関連喘息」と呼ぶ。

成人喘息患者のうち15%は職業性喘息 である

職業毎に異なるが、ペンキ塗り職人(イソ シアネート)、パン製造業、麺製造業、看護師、化学物質に関わる労働者、動物取扱い業、溶接業、食品加工業、木材加工 業などで有病率が高い。
横断研究による職業性喘息の有病率
カニ加工業者 発症頻度15.6%、塗装業者(イソシアネート)7.1%、クリーニング業者25%、いちご栽培4.7%、ホヤ喘息18-36%、ラテックス使用医療従事者7.1%、花屋14.1%。

ジイソシアネート喘息はIgE依存性か?

トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)による職業性喘息はポリウレタン・ プラスチック製造業者、スプレー塗装業者などにみられる。
ジイソシアネートは高濃度では刺激物質として作用するので、感作物質(経気道感作および経皮感作)と刺激物質としての2面性を有する。
多くの低分子量物質の感作による職業性喘息では血清中抗原特異的IgEを検出することは技術的に難しいが、ジイソシアネート喘息患者では 検出される場合がある(診断には有用)。
ジイソシアネート吸入誘発後の気管支生検組織において、IgE ε鎖やIL-4mRNAの発現がみられないことから、ジイソシアネート喘息発症には通常 IgEは関与しないという説もあり、抗原特異的IgEの病態への関与は明ら かではない。

職業性喘息の治療・管理

感作物質による職業性喘息は完全な抗原回避が原則
刺激物質による職業性喘息および既存の喘息の増悪は環境整備に よる原因物質の低減が原則
いずれの病型にも適用されるもの
患者に対して適切な喘息治療を行う
薬剤による喘息コントロール困難例は転職や配置転換により完全な抗原回避が必要
同一環境下の作業者のため職場の環境整備による原因物質の低減 を図る
職場全体の禁煙

重症職業性喘息

ヨーロッパ11ヵ国20センターのコホート研究997名の職業性喘息では、997名中162名(16.2%;95%CI,14.0-18.7)が職場での曝露がある時点では重症喘息(GINA治療ステップ4-5、かつコントロール不良、年間2回以上の増悪、または 気流閉塞)に分類された。
職場での原因を回避した467名では回避前は84名(18.0%)が重症患者に分類され、 回避後重症喘息患者は減少したが、回避後も52名(11.1%)は重症患者であった。→重症職業性喘息の20-25%はバイオ製剤の適応 (omalizumab,mepolizumab,benralizumab,dupilumab)

クリーニング業と喘息

職業としてのクリーニング(洗濯)業、家庭での洗濯は作業関連喘息(WRA)と関連している。
洗濯用スプレー、漂白剤、アンモニア、殺菌・消毒剤(クロラミンT、 第4級アンモニウ化合物、エタノールアミン)、それらを混ぜるこ とによって発生する物質などは喘息増悪の原因となる。
漂白剤をアンモニウム塩あるいは酸性洗剤と混ぜることによって発生する塩素ガスの吸入はRADS,WEAの原因となる。
多くのクリーニング用物質は気道への刺激作用があるが、クロ ラミンTや酵素などは感作物質としてIgEを誘導する。(Siracusa A, et al. Allergy 68: 1532-45, 2013)

マウスに洗濯用洗剤の経鼻投与すると好酸球性気道炎症が誘導される。洗濯用洗剤投与によってILC2のIL-5、IL-13産生が増加することが判明した。
洗濯用洗剤と界面活性剤の経鼻投与によってIL-33の発現増加とILC2活性化を伴う好酸球性気道炎症が誘導される(Saito K, et al. Allergy 78:1878-1892, 2023)

Summary

高分子量物質の感作による職業性喘息では抗原特異的IgEを介する免疫学的機序(獲得免疫)が病態に寄与している。
低分子量物質の感作による職業性喘息ではIgEが病態に関与する場合もあるが、多くの場合、抗原特異的IgEの関与しない免疫学的機序(獲得 免疫)が病態に関与すると予想されている。・・・よくわかっていない。
ジイソシアネートなどの低分子量物質は高濃度では刺激物質として作用 し、同時に感作物質として免疫学的機序で職業性喘息の発症に関わる。
喘息の発症に自然免疫、特にILC2の活性化による好酸球性気道炎症が 重要視されてきているが、洗濯用洗剤(界面活性剤を含む)や界面活性剤 は気道上皮におけるIL-33発現増加とILC2の活性化を伴う好酸球性気道 炎症を惹起することがマウスモデル(ヒト気道上皮細胞)で証明された。
感作物質誘発職業性喘息では原因物質からの完全回避が優先されるべ きであるが、刺激物質誘発職業性喘息、作業増悪性喘息では原因物質へ の曝露の軽減も意味がある。
実施可能な免疫療法は限られており、標準薬物療法、職場環境の改善のみで症状のコントロールができない重症職業性喘息ではOmalizumabやそ の他のバイオ製剤が有用なケースも存在すると予想される。

喘息およびアレルギー疾患と鑑別を要する化学物質過敏症

湘南鎌倉総合病院免疫・アレルギーセンター
渡井健太郎先生

・化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity:MCS)とは
定義:1999consensus (Arch Environ Health 1999;54:147-9)
原因物質・環境への曝露で、症状に再現性がある慢性経過をたどる通常では影響しない微量な曝露で症状が誘発される症候群である。
原因物質・環境から回避すれば症状が軽快する。
化学的に系統立たない多種多様な物質・環境に反応する。
特徴と問題点として、
症状は多臓器にわたる。
アレルギー疾患と誤診される例が多い。
アレルギー疾患と合併しやすい?
医療者側からの診療拒否が多い 。
小児でも大人でも発症する。
診断が遅れると、予後が悪い(若くして寝たきりにも)。

MCSの症例

・30歳代女性食物アレルギー疑い
リンゴ、メロン、イチゴなどで口腔内掻痒感あり。清涼飲料水摂取時に、腹痛・めまいの誘発 あり。
・40歳代女性薬剤アレルギー疑い
近医で、セフェム系内服抗菌薬処方受け、めまい・嘔気あり、薬剤アレルギー疑いで紹介受診となった。
問診すると、抗菌薬のみならず、制酸剤(PPI)や去痰薬内服でも、同様の症状誘発歴あり。
・20歳代女性 難治性咳嗽
発作性の難治性咳嗽・呼吸困難認め、重症喘息の診断で、ステロイド内服加療受けるも改善せず、喘息に対して生物学的製剤投与受けるも、注射後に過敏症状出現し、使用中止となる。

MCSの外来像

【内科】女性>>男性、嗅覚過敏、アルコール不耐症
「重症」食物アレルギー?・・・多種で系統立っていない。つまり摂取できない食品が多種でいろいろあり統一性が見られない(分類・整理できない)。
「重症」薬剤アレルギー?・・・使えない薬が多種で系統立っていない
「重症」喘息?
【小児科】女児≒男児、*筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に類似する。
「だるい、頭痛、腹痛、結膜充血、水様性鼻汁」+多種の系統立たない食物・薬剤に過敏 体育着の柔軟剤の香りや、床のワックスがけ、屋内プールが問題になる。
【皮膚科】
「金属アレルギー、手指側面の点状紅斑、手指の湿疹」+患者さんの記載した「使えない薬」が多種で系統立たない。
【耳鼻科】
「めまい、聴覚過敏」+患者さんの記載した「使えない薬」が多種で系統立たない 。
【眼科】
「焦点が合わない、眼が乾く、羞明」+ 患者さんの記載した「使えない薬」が多種で系統立たない。

喘息患者には化学物質過敏症が多いといわれる。

日本の有病率は1%、海外では認知度がたかく有病率は10%程度と言われている。
発症から10-15年後に受診するケースが多い。
化学物質過敏症の発症機序は不明であるが、キーワードは中枢性感作central sensitizationである。
中枢性感作(central sensitization)=すなわち脳が関連する。
化学物質過敏症発症の平均17年前に mental disorder(身体表現性障害、気分・不安障害)を発症していることがおおく、精神的だと言われることもある。
・化学物質過敏症の発症パターン
化学物質の急性あるいは慢性暴露以外に、アレルギー素因、精神・神経素因、脳脊髄液漏出症などから発症するケースがある。
脳との関連であり、腸脳連関であったり、脳の炎症細胞であるミクログリアであったり脳内のマスト細胞が関与している可能性がある。
必ずしも化学物質が発症因子とは限らないことから、特発性環境不耐症(idiopathic environmental intolerance)と呼ぼれることがある。
予後は5年後で70%が不耐症持続する。
病因がcentral sesitizationと考えられている疾患は、化学物質過敏症の他に、
 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、緊張性頭痛、片頭痛、原発性月経困難症、うつ病、心的外傷後ストレス症候群、筋筋膜性疼痛症候群、周期性四肢運動障害、レストレスレッグス症候群、顎関節症、線維筋痛症、などが挙げられる。

Overlapping disordes:化学物質過敏症患者は慢性疲労症候群や線維筋痛症、脳脊髄液減少症を合併しやすい。
代謝に関連する遺伝子変異なども報告されているが確定的なものはまだない。
→演者らもGWASで網羅的に解析している。

・診断

確立した診断基準はない。
診断:質問票
Quick Environment Exposure Sensitivity Inventory(QEESI)
Toxicol.Ind.Health2003;19:41-9
石川・宮田らが、QEESI日本語訳版を作成している
北條らは、QEESI日本語訳版を用い、日本人を対象として調査⇒患者の国際比較にも有用
Toxicology and Industrial Health 2003;19:41-9
QEESI日本語訳版は日本人MCSのスクリーニングに有効(Environ Health Prev Med2009;14:267-75)

演者らのspeculationでは、視床下部と下垂体の間に正中領域(median eminence)と呼ばれる部位があり、ここにはBBBを欠きマスト細胞が多数認められる。
なぜ正中領域にマスト細胞が多いのかは、
BRief Environmental Exposure and Sensitivity Inventory(BREESI®)質問票
Q1.次のもので気分が悪くなりますか?(ここでの気分不快とは、頭痛、思考困 難、呼吸困難、脱力感、めまい、胃のむかつきなどです)
タバコの煙,特定の香料,マニキュア/除去剤、エンジン排気、ガソリン芳香剤、殺虫剤、塗料/シンナー、ダール/アスファルト,クリーニング用品,新しいカーペットや家 具→YesorNo
Q2.次のもので、身体に違和感や反応が出ることがありますか?
薬剤や薬物療法(抗菌薬,麻酔薬、鎮痛剤、造影剤,ワクチン、避妊薬など) インプラント,補綴物(義歯・人工骨頭など)避妊具、他の医療での材料または処置→YesorNo
Q3.次のもので、身体に違和感や反応が出ることがありますか?
乳製品,小麦,トウモロコシ,卵,カフェイン,アルコール飲料,食品添加物(グルタミン酸Na、食用色素など)→YesorNo
「Yes」3個97%で不耐症スコアhigh
1つ以上に「Yes」と答えた場合、QEESIを施行する。

演者らの研究では化学物質過敏症は帝王切開と関連することが疑われた。

治療方法:保険適応となる薬物はない。一方で手術療法も検討されている。

まとめ

●成人で約1%程度の有病率、アレルギー疾患と誤診されやすい
●アレルギー様の多臓器症状+嗅覚過敏が特徴
●診断は日本語版QEESIが有用
●疾患メカニズムのキーワードは「中枢性感作(脳過敏)」
●帝王切開出生歴や、腸内細菌叢環境の変化が関与している可能性もある
●合併症(片頭痛、過敏性腸症候群、線維筋痛症、慢性疲労症候群、 脳脊髄液減少症など)の適切な評価と介入が重要
●治療不可避な薬は、10分の1から4分の1量で投与開始し漸増

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