当院ではウォンツ伊勢丘薬局薬剤師と定期的に勉強会を実施しております。
内容要約を以下に記します。
急性副鼻腔炎の定義
急性鼻副鼻腔炎は、以下の疾患と定義されます。
急性に発症し、発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症
鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈する
頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う
発熱の有無にかかわらず、「くしゃみ、鼻汁、鼻閉を主症状とする病態」がある場合に疑われ、ウイルス性か細菌性かを判断します。
成人の急性鼻副鼻腔炎の重症度分類
わが国の急性鼻副鼻腔炎診療ガイドラインでは、以下のスコアリングシステムと合計点に基づいて重症度を分類します [71, 73, 表3]。
| 分類項目 | 症状/所見 | スコア |
|---|---|---|
| 臨床症状 | 鼻漏 | 0点(なし)1点(軽度/少量)2点(中等以上) |
| 顔面痛・前頭部痛 | 0点(なし)1点(軽度/少量)2点(中等以上) | |
| 鼻腔所見 | 鼻汁・後鼻漏 | 0点(漿液性)2点(粘膿性少量)4点(粘液性中等量以上) |
筆者補足)注意:軽度とか中等という表現は医師の判断であり、具体的な量は明示されていない。
- 鼻腔所見における鼻汁と後鼻漏は、スコアの高い方が採用されます。
- 鼻汁の色は炎症反応の程度を反映し、ウイルス性か細菌性かを直接区別するものではないとされています。
合計スコアに基づく重症度分類 [73, 表3]
- 軽症:1~3点
- 中等症:4~6点
- 重症:7~8点
成人の急性鼻副鼻腔炎に対する治療
急性鼻副鼻腔炎の治療では、ウイルス感染によるものと細菌性鼻副鼻腔炎を鑑別し、細菌性の場合に抗菌薬治療を行うことが重要です。
細菌性の場合、抗菌薬の投与期間は、わが国では7~10日が適切とされています。(欧米では10~14日が一般的)
- 軽症の場合
- 軽症の場合は、抗菌薬投与を行わずに5日間経過を観察することが推奨されます。
- 症状が増悪する場合には、速やかに抗菌薬治療を開始します。
- 中等症から重症の場合
- 第1選択薬はアモキシシリン(AMPC)(サワシリン®)が推奨されます。ペニシリン系抗菌薬は、高用量を使用することで薬剤耐性肺炎球菌に対しても有効性が期待できます。
- 抗菌薬投与期間は5日間を原則とし、細菌培養による薬剤感受性や臨床効果をみながら変更し、全投与期間は7~10日間とします。
- 治療において最も優先されるのは局所処置であり、鼻汁の吸引や副鼻腔自然口開大処置を十分に行うことが重要で、症状の改善が期待できます。
- 上顎洞の穿刺・洗浄は、洞内の膿性分泌物や炎症物質を洗浄し排泄させることで、早期寛解に最も有効であり、頭痛や頬部痛の改善が期待できます。
- 2次・3次治療(1次治療で改善しない場合)
- 1次治療で改善しない場合には、抗菌薬の増量、薬剤感受性に基づく抗菌薬選択、上顎洞穿刺・洗浄を組み合わせた治療選択を行います。
- 欧米のガイドラインでは、第2選択薬として第2・第3世代セフェム系抗菌薬とクリンダマイシンの併用、あるいはレスピラトリーキノロン系抗菌薬が推奨されています。
- わが国では、セフジトレンピボキシル(CDTR-PI)(メイアクト®)、セフテラムピボキシル(CFTM-PI)(トミロン®)、テビペネムピボキシル(TBPM-PI)(オラペネム®小児用顆粒のみ)、アジスロマイシン(AZM)の有効性が報告されています。
- レスピラトリーキノロン系抗菌薬は、成人中等症でAMPC高用量による治療が無効であった場合の第2選択薬、また重症例に対する第1選択薬の一つとして推奨されます。
- 日本の肺炎球菌やインフルエンザ菌はマクロライド系抗菌薬に高率に耐性化しているため、安易なマクロライド系抗菌薬の使用には注意が必要です。
これらの重症度分類と治療指針は、「副鼻腔炎診療の手引き2024」および「抗微生物薬適正使用の手引き 第三版」に基づいています。
成人の慢性副鼻腔炎の重症度と治療
成人の慢性副鼻腔炎について以下の記載は、「鼻副鼻腔炎診療の手引き2024」 および「抗微生物薬適正使用の手引き 第三版」 に基づいています。
急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の定義
「副鼻腔炎診療の手引き2024」によると、急性鼻副鼻腔炎は急性に発症し、発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症で、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽などの呼吸器症状に加え、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う疾患と定義されます。一方、慢性鼻副鼻腔炎は、これらの症状が12週間以上持続する場合に診断されます。
