2025年4月11日(金曜日)~13日(日曜日)に
第65回日本呼吸器学会学術講演会が開催されました。
(注意)あくまで私の聴講メモですので記載内容が正確でない可能性があります。責任は負えませんのでご了承ください。
急性呼吸器感染症
5類移行(2023年4月7日~): パンデミックの起点が呼吸器感染症に多いことから、迅速な動向把握と予防対策の観点で位置づけ変更。
厚労省による定義: 「咳嗽・咽頭痛・呼吸困難・鼻汁・鼻閉のいずれか1つの症状を呈するもの」。
課題: 従来の5類・4類疾患も含む広範な括りであり、定点報告医療機関の負担増(オーバーロード)も指摘。関連文書は調整後に公開予定。
COVID-19
・国内流行状況: 夏場に感染者数が増加する傾向。2024年夏も注意。
・世界的影響: 2021年、世界の死因第2位。医療・経済に多大な影響。
・他の呼吸器疾患との比較: COPD(4位)、下気道感染症(5位)などが死因上位。
・日本における超過死亡: オミクロン株流行期(2022–2023年)に顕著だが、2023年以降は観測されていない。
・ワクチン効果: 死亡・重症化を予防。特に80歳以上で顕著。
・公費助成終了(2024年4月~): 効果が認められるにもかかわらず終了。学術部会として国への意見表明が必要。
・関連ガイドライン: 免疫不全者向け指針案、5学会合同診療指針(ドラフト)など整備中。
鳥インフルエンザA(H5N1)
・米国: 乳牛からヒトへの感染(clade 2.3.4.4b)。軽症例中心だが死亡例もあり。ヒト-ヒト感染は未確認。
・WHO報告: カンボジアで死亡例、カナダで重症例あり。監視継続中。
・現状: 過度な懸念は不要だが、動向注視が必要。
RSウイルス感染症(RSV)
・成人の3~7%、高齢者の4~10%が有症状。入院率は一般成人0.8~1.4%、高齢者17~28%。
・インフルエンザと比較して人工呼吸器リスク・再入院率が高い。
・ワクチン:
- 有効性:高齢者で入院予防80%、重症化予防81%、免疫抑制者で73%。
- 課題:接種率・認知度が低い。情報提供と接種勧奨が重要。
- 同時接種:インフルエンザワクチンとの同時接種で効果に差はない(非劣性)。
肺炎球菌
・ガイドライン改訂(2024年9月、3学会合同)
・PPSV23未接種者:65歳で定期接種、66歳以上は任意(PPSV23 or PCV20)
・PPSV23既接種者:5年以上空けて再接種、または1年以上空けてPCV20/PCV15接種
・次世代ワクチン(V116:CAPVAXIVE™):成人向けに特化し、既存ワクチンに含まれない血清型8種類をカバー。65歳以上のIPDの約30%に対応。
肺炎・咳嗽/喀痰
・成人肺炎診療ガイドライン2024(向井先生委員長)
・咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025(同氏委員長、特に感染性について詳細)
マイコプラズマ肺炎
・2023年に流行。抗菌薬・鎮咳薬が不足。
・学会提言:「マイコプラズマ感染症の急増にあたり、その対策について」を発出(宮下先生・泉川先生)。
慢性肺アスペルギルス症(CPA)
・診断: IgG抗体検査が保険承認。高陽性率で有用だが適用制限あり。
・検査の適応: 慢性の咳・喀痰、血喀、肺CTで空洞性・結節病変など。
・解釈上の注意: IgG抗体陽性のみで確定せず、画像・臨床所見と総合判断。
・疫学: 高齢男性、西日本に多い。COPD/NTMとの合併多い。
・今後: 診断の普及により患者増加の可能性。日本からの情報発信が重要。
結核
・罹患状況: 世界ではアフリカ・アジアが高い。日本は減少傾向(1万人切り予測)。
・対策: 入国前検診制度(2025年3月~)対象国を段階的拡大。
・治療: 世界では4〜6ヶ月の短期治療が主流。日本の標準治療は長期であり、学会連携が急務。
肺非結核性抗酸菌症(NTM)
・診断基準改訂:「暫定診断基準」導入。MAC症初回時、喀痰培養1回陽性+抗GPL core IgA抗体陽性※で診断可能。
※筆者補足) 抗GPL core IgA抗体:キャピリア® MAC 抗体 ELISA 感度:約84.3%(70例中59例が陽性)特異度:100%
これは世界標準ではないが、国内における早期発見・早期治療開始を目的としたものである
・治療(間歇療法): 週3回投与が連日投与に対して非劣性(日本発・世界初の二重盲検試験)。
・治療(RFP): リファンピシン不要説も。オランダ研究で治療成績・副作用に差なし。代替薬剤検討が必要。
