第65回日本アレルギー学会学術大会に出席しました

2016年6月17日−19日に開催された第65回日本アレルギー学会学術大会 於東京国際フォーラム に出席しました。

以下の記載は私の聴講メモですので、記載に間違いがあっても責任は負えませんのでご了承ください。

シンポジウム6 好中球性気道炎症

重症喘息においては、特にhetrogenityがつよい。
好中球性喘息の特徴は、
 重症がおおい
 非アトピー性、高齢、高齢発症がおおい
 ステロイド抵抗性
 気流制限が強く、好中球増加と気流制限は相関する
 喀痰中好中球比率で診断するが診断は確定していない
 経口ステロイド 喫煙 気道感染 大気汚染などと関連
 near-fatal ashtma
診断の目安は、
 喀痰の好酸球1%以上・・・好酸球性炎症あり
 喀痰中の好中球60%以上・・・好中球性炎症あり
Simpson JLらの報告では、喘息は好酸球性炎症のものが43%、好中球性が20%程度である。
喀痰の好酸球2%、好中球76% でフェノタイプを分ける分類もある。

好中球性炎症のエンドタイプ 筑波大学 檜澤信之先生

喘息とCOPDで関与するとされる遺伝子に相当数のオーバーラップが認められる。(Int J chron Pulmon Dis2013 8 65-78)
喘息で11個、 COPDで12個がピックアップされた。
芳香族炭化水素受容体(AhR) IL-17A,Fが重要とわかった。
AhRは大気汚染、感染、などの刺激でアレルギーを活性化させる。
安定したCOPDの気道の好中球性気道炎症と常在する細菌が関連していることが、microbiome研究で判明した。microbiomeパターンにより好酸球性炎症に関与するもの、BMIと関連するものなどが認められた。
中高年発症喘息にGWASで検討したところ、HCG22(以前DPBと関連するものとして発見されたもの)が喘息の好中球性炎症と関連があると判明。
YKL-40はステロイド抵抗性の喘息で発現がおおく、好中球性炎症と関連することがわかった。
マウスの喘息モデルにOVAで刺激するとYKL-40 の発現が増加しLPSも増加する。
ILC3(Innate lymphoid cell)はAhRをノックアウトすると増加しない。
QaA
喘息もCOPDもピックアップされてくる遺伝子は環境変化に関与するものがおおい。

喘息気道における好中球と好酸球 埼玉医科大学アレルギーセンター 永田真先生

重症喘息では治療してもなお好酸球は多数気道に残存している。
ペリオスチンは最強の好酸球接着誘導因子であり活性化因子である。IL-5よりも強く好酸球を活性化する。
重症喘息では好中球性炎症と同時に好酸球性メディエイターの持続的放出が見られる。
重症喘息では誘発喀痰でIL8濃度が上昇している。
・IL8について、(kikuchi AJRCCM 2009)
ICSを中止するとIL4は上昇するがIL8は不変、喀痰中好酸球は増加するが好中球は増加しない。
IL8の上流はTh17分化を抑制するD1。
中等症喘息に抗IL-17抗体投与すると症状を改善させる。
・danger signalsの一つにATPがある。
COPDは重症ほど気道のATPは上昇する。演者らも重症喘息で喀痰ATPが上昇し好中球比率と相関した。
ステロイド抵抗性喘息のBAL中に高濃度のLPSが存在しその濃度はBAL細胞のIL8のmRNA発現と相関した。
・ICSでコントロール良好と考えラエル患者にダニアレルゲン吸入後のBAL中ECPは増加しないが、LPSを暴露するとBAL中ECPは増加した。つまり好中球とLPSを共存させると好酸球性炎症も増悪される事が判明した。
ILC2由来IL5とペリオスチンの寄与が推定される。
好中球と好酸球の混在が炎症で重要でIL8が関与している。

喘息気道完成と好中球性気道炎症 東邦大学呼吸器内科 松瀬厚人先生

炎症には
 好中球性
 好酸球性
 乏細胞性
ウイルス感染特にライノウイルス後気道にはCXCL8などの好中球性サイトカインが増加する
好中球による抗ウイルス感染
 第三の細胞死Netosisで感染細胞を叩く。
好酸球性DNAや好中球性DNAが感染関連喘息の気道に多数認められる。
真菌感作重症喘息SAFS・・・重症喘息があり何らかの真菌感染がありかつABPAでないものを指す
ABPA粘液には好中球と好酸球の両者が認められる
ダニアレルゲンだけでは好酸球のみ気道炎症を誘導、A.fumigatusのみでは好中球のみ、ダニアレルゲン+カビアレルゲンで両者が誘導される。
ステロイド抵抗性気道炎症
 TH2の炎症ならステロイド有効
 Th17 の炎症はステロイド抵抗性
A.fumigatusの炎症はリモデリングがつよいが、好中球性炎症を除くとリモデリングが進行しない。好中球性DNA量が多い。
高齢者喘息の難治化喘息要因の一つに、好中球性炎症が多いことがあげられる。
加齢+喘息→下気道細菌叢 →好中球性炎症 →難治化
BMI30以上の高度肥満喘息では、下気道にG-嫌気性菌が多いつまり誤嚥がおおい可能性、
好中球性気道炎症に対して
 マクロライド
 ICS+LABA
 LAMA?
 抗サイトカイン (抗IL17モノクローナル抗体)

粒子状大気汚染物質による喘息増悪と好中球気道炎症の関わり 鳥取大学呼吸器内科渡部仁成先生

粒子状大気汚染物質
 工場煤煙、排気ガス、火山ガス →更にこれらに紫外線があたりオゾン、VOC
SPM(suspended particulate matter;浮遊粒子状物質)
 スモッグPM1以下
 黄砂 PM4
SPM(suspended particulate matter;浮遊粒子状物質)をLIDERという形状分類する方法が開発された。
球形が大気汚染物質
非球形は黄砂
成人喘息患者137名の検討では、
 黄砂粒子、SPM(suspended particulate matter;浮遊粒子状物質)、黄砂で症状が有意に増悪。しかしPEFは不変。しかし大規模黄砂ではPEFはやや低下した。
小括:SPM(suspended particulate matter;浮遊粒子状物質)でPEFは低下し好中球性気道炎症の関与が考えられる。
PM10は喘息症状増悪は有意であるが、PEFは相関しない。
2012年の黄砂は2013年の黄砂よりもIL8の誘導量が有意におおかった。つまり黄砂の組成の違いや暴露量の違いが関与するのかもしれない。
粒子状大気汚染物質の影響
 短期影響と長期影響に分けて考える必要がある。
IL8を測定することでSPM(suspended particulate matter;浮遊粒子状物質)の炎症の影響を計ることができる。
QaA
日本と中国では石炭の組成も違い、中国では鉛含有が多い。
鳥取砂丘の砂は黄砂とは明らかに組成が違い、喘息増悪を惹起する可能性が低いとのこと。

喘息の治療標的として気道分泌を考える 会長講演 東京女子医大第一内科 玉置淳先生

喘息死で見られる気道所見
 末梢気道の大部分が粘液で閉塞している粘消栓。好酸球多数浸潤。
 全気道の98%が粘液に寄って狭窄閉塞している!
気道分泌を制するものは、喘息死をなくすかもしれない・・・会長の研究のモチベーション
気道分泌物(痰)
気道粘膜には粘液糖蛋白(ムチン)で構成されるゲル層、ムチンは杯細胞で分泌される。
その下に水分の層 ゾル層。 イオントランスポート→気道の水分分泌
 ※イオントランスポートは生命活動の根幹である!
1Eq = イオン1molあたりの電気量
イオン(NaやCl)が動けば電気が流れる(電流の発生)
 流れる電気量の単位;C(クーロン、coulomb)
ファラデー定数
 電子1個の1・・・・
ヒト気道においては、末梢側はナトリウムとクロールは吸収されるが、中枢気道ではナトリウムのみ吸収されてクロールClはむしろ分泌される。Clが管腔に分泌されるとそれに伴ってtight junctionから水分が管腔へ分泌される。
気道の分泌水分量は微量なので直接測定できない。そこで電流の動きで測定する
Cl分泌に起因するiscが10μA/cm2上昇する。→水分分泌36nL/cm2/min →1時間この状態がつづくと、ゾル層は水浸し のイメージである。
イオンチャネルの開閉=イオンチャネル分子のコンフォメーション変化
C:閉鎖 O:開放
喘息とイオンチャネル
IL13によるshort circuit current SCC反応性の変化
 Clの放出を増加させてNa吸収を低下させることが分かった
CLCA1を介した反応である。
IL13は管腔内のNa吸収を抑制し(細胞のNaチャネルを抑制)、Clチャネルに作用してCl分泌を増加させる。水分を管腔内に増やして異物や微生物の侵入を吹き飛ばす。
粘液分泌について
慢性気道疾患の急性増悪原因
 気道感染が58%、

なぜ喘息患者で粘液分泌が増えるのか
 杯細胞の過形成が原因と言われている。Th2サイトカインが重要である。
ICS減量するとムチン産生亢進するが、スプラタストを上乗せするとコントロールが良好となった。
スプラタストを投与すると気道上皮細胞のIL4とIL13の発現を抑制する。
Th2 細胞にIL13 →気道上皮のIL4Rα、IL13Rα1 →STAT6依存性pathway↑ →CLCA1↑
ヒトの気道上皮MUC5ACの発現がIL13で誘導される。
喘息気道におけるリン酸化EGFRの発現が亢進している。重症喘息の杯細胞にほぼ一致して発現亢進していることからムチン産生に関わっていると考えられる。
IL13で誘導された杯細胞のムチン産生はEGFRーTKIを投与すると、ムチンは低下する。
EGFRおよびIL13による杯細胞増生:Two sigunal model
 EGF TGFα amphiregulinがEGFRに結合 →上皮アポトーシスの抑制

教育セミナー4 アレルギー究極の臨床・究極の基礎

ωー5グリアジンが陽性の患者は加水分解コムギに反応は弱い。
ωー5グリアジン感作患者は一生治癒しない。
加水分解コムギ感作の患者は、抗原回避すれば 5.5年で治癒する。
症例1
 うどん摂取後PL顆粒を服用して両眼瞼に発赤腫脹
※ 眼から発症! つまりイネ科花粉に感作した可能性を考えた。
 →小麦 グルテン 陽性、 ωー5グリアジンは陰性
 →カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリの特異的IgEが高値であった。
これらのことから、演者らは以下のことを発見。
小麦とイネ科花粉に交叉反応があり。
 以上から「小麦摂取後に眼から始まるアレルギー症状:イネ科花粉アレルギー」を考慮すべし。
食パン30g摂取+運動負荷 →全身に蕁麻疹の患者 →抗ヒスタミン薬服用で症状は食パン2マイでもでなくなった。
牛肉・豚肉アレルギー、 カレイの魚卵にも交叉反応してアレルギーがでる。
セツキシマブと肉とマダニ
 抗セツキシマブ抗体はα-Galに対する抗糖鎖抗体である。
 四足の動物、マダニ咬傷後
牛肉アレルギー患者の多くは子持ちカレイにアレルギーがあり、食後3時間以上で発症、マダニ咬傷後に発症(犬など動物を飼育し散歩時に噛まれる可能性がある。)、これらの患者はセツキシマブを投与歴ないが、抗セツキシマブ抗体がかなりの高値となりうる。
血液型はA型かO型患者である。B型やAB型は糖鎖構造を持つのでなりにくい。
α-Galによるアレルギーはマダニ咬傷後の経皮感作による食物アレルギー・アナフィラキシーショック。
松江赤十字病院で頭頸部癌にセツキシマブを投与前にα-Gal特異的IgEを測定した。牛肉IgEでは6割しか特定できないので注意!
セツキシマブ投与後のアナフィラキシー発症は12.5%→6.25%まで低下した。
α-Galによる牛肉アレルギー患者で山歩きをする患者、マダニによく噛まれていたが、
マダニ対策を十分することで牛肉アレルギーは治癒した。
※ 抗原回避で食物アレルギーは治癒する可能性あり。

症例2 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの患者、魚摂取が原因と疑われた方。
しかしすべての魚のIgEは陰性だった。
牛肉、豚肉でIgE陽性 かつ 犬と猫のIgEで陽性。
→患者は毎日朝食時にハムかソーセージを摂取していた。
ねこ抽出物と豚肉抽出タンパク質に交差反応。
確定診断 PorkーCat syndrome
猫を飼っていたので、猫を飼わないようにすれば食物アレルギーは改善する可能性あり。

シンポジウム11

S11-1 ILC(Innate lymphoid cell)2による好酸球性炎症誘導機構
ILC(Innate lymphoid cell)はサイトカインを認識してサイトカインを分泌する細胞である。

ILC2はIL-25 やIL-33によって活性化する。
活性化したILC2はIL-5、IL-13 を産生し寄生虫感染に対して急速な防御反応を示す。
ILC2は恒常的にIL-5を産生する。→腹腔のB1細胞の自己複製維持に働く。同様に好酸球の維持にも重要であろうと推察される。
ILC2は1個の細胞のみでも解析可能なほどサイトカインを分泌する。
IL-2+IL-25 またはIL-33の気管内投与は好酸球浸潤を惹起した。T,B欠損マウスで同様の実験をしても好酸球浸潤は抑制されなかったが、すべてのリンパ球を欠損したマウスでは好酸球浸潤が抑制された。その後T細胞移植すると好酸球浸潤を認めた。
IL-33→気管支の杯細胞の増生・過形成を促進する。
IL-5 →好酸球浸潤を誘導する
IL-33のみの好酸球浸潤、 IL-2のみによる好酸球浸潤→デキサメサゾンで抑制可能
しかしIL-33+IL-2で両刺激するとデキサメサゾンで抑制できない好酸球性炎症を起こす。
気管支内にインターフェロンγを投与すると好酸球性炎症を抑制できた。
IL-33で惹起した好酸球性炎症をINFγは抑制した。
寄生虫感染時のINFγは獲得免疫系の細胞によって産生される。
INFγだけでなくIL-27もILC2を抑制する。
IL-27は真菌モデルにおいて、TH2細胞の浸潤は抑えないが、IL-5やIL-33は濃度依存的に抑制した。

好酸球性炎症と感染症の関わり 帝京大学呼吸器アレルギー学 長瀬洋之先生

・好酸球と細菌
 PHILマウス:好酸球欠損マウス 腹腔内で細菌感染が増えることがわかっている。
 好酸球は細菌に対してカタパルト様のLPSを放出する。
 MBPやECPが殺菌作用を持ち、ECPが細菌由来のLPSやペプチドグリカンに親和性をもち、グラム陰性桿菌を凝集させうることが報告されている。
 ミトコンドリアDNA、MBP、ECPからなるネットが細菌と会合し、腹腔感染に対して保護的に働く可能性が示唆されている。
・寄生虫と好酸球
 マンソン住血吸虫において好酸球ECP作用の弱い症例では鞭虫の虫卵が増加してくる。
 好酸球が寄生虫の生存を助ける可能性がある。
 旋毛虫では好酸球欠損マウスPHILマウスでは寄生虫が減少するが、NOを供給すると寄生虫が復活する。臓器や寄生虫種によって反応が違うと考えられる。
・好酸球とウイルス
 好酸球顆粒はRNAse活性を持つことから、好酸球は抗ウイルス作用を有している。
 好酸球はRSウイルスの活性を抑制する。
 ウイルス単鎖RNAの受容体であるTLR7やTLR8の発現をINFγは増強する。TLR7/8のリガンドは好酸球を活性化する。
 好酸球増多モデルではウイルス量が減ることが複数報告されている。
 RSウイルスの好酸球による抗ウイルス活性 →結局NO産生が抗ウイルス活性となっているがあまり臨床的に重要ではない。
 喘息患者は健常人と比較して、ウイルスssRNA/TLR7を介した抗ウイルス作用が証明された。喘息では過剰な活性酸素産生が症状増悪となる。
 喘息患者ではベースの好酸球性炎症を吸入ステロイド薬で抑制し、ウイルス感染時の好酸球活性を抑制したほうが良いのではないか。

好酸球の体内動態:炎症をきたす新しい細胞死ETosis 秋田大学総合診療検査診断学 植木重治先生

好酸球の分布は好中球と比較してmarginated poolに存在する。
好酸球の顆粒内には40種類以上のサイトカインを包含する。
IL-5は好酸球の生存を延長・活性化することが知られている。
Cytolysisの謎:
好酸球性食道炎では80%以上の好酸球が崩壊し、顆粒が組織に沈着している。
Cytolysisを起こした好酸球は細胞膜と核の崩壊を伴うが顆粒はそのままでMacrophageに貪食された特徴も認めない。
アポトーシスの形態学的特徴を認めない。
アレルゲンチャレンジの1時間後でcytolysisは増加する。
IL-5+PAF や GM-CSFを加えると迅速な細胞死が誘導される。
 好酸球のクロマチンが網状に放出される。
 これはExtracellular Trap Cell Death(ETosis) と同様の細胞死である。
 これは活性酸素に誘導されるプログラムされた細胞死である。
 病原菌を効率的に捕捉・排除するための機能(DNAトラップ)と考えられる。
しかし過剰の反応は病的となる。
好酸球性副鼻腔炎のムチン内にはDNAトラップが多量に含まれており粘性がつよい。DNaseにより粘性は消失することからDNAトラップであることが証明された。
好酸球のDNAトラップは好中球と比較して太くて粘性の強い線維を含んでいる。
好酸球を潰して比重遠心にかけると顆粒のみの層に分離できる。この顆粒にサイトカインを反応させても脱顆粒を起こす。まるでクラスター爆弾のようである。
以上のことは好酸球のETosis EETosisである。
まとめ:
細胞死のコントロール、過剰なDNAトラップの制御は気道炎症の制御に繋がる可能性がある。

好酸球性副鼻腔炎および好酸球性中耳炎の病態 弘前大学耳鼻咽喉科学 松原篤先生

好酸球性中耳炎 :耳閉感 →伝音難聴 →混合難聴 →最悪聾唖(6%未満)
中耳炎は89%、副鼻腔炎は26%が喘息を合併する。
気管支喘息との関連、ペリオスチン免疫染色すると
 アスピリン喘息は非常に粘膜下に染まる、同様に中耳炎でも非常に染まってくる、線維化のつよい症例でより染まりやすい印象である。
好酸球性中耳炎 ・・・耳管が炎症のスタートではないかと演者は考えている。
 好酸球性ムチンの貯留
 上皮障害 肉芽形成 EG2・IgE陽性細胞
 発症原因として、耳管開放の手技、 真菌・ダニ・細菌・ウイルスなどが中耳へ侵入する?
中耳の疾患とかんがえられるのに、なぜ最悪聾唖になるのか不明!中耳の好酸球が産生したLTsが内耳の膜を通じて内耳へ移行し好酸球を誘導させている可能性。
病態形成のメカニズム:
 鼻副鼻腔や中耳の粘膜が外的因子により刺激され、IL-5などに代表されるTH2サイトカインが誘導され、エオタキシンなども産生されて選択的に好酸球が動員される。好酸球は腔内で崩壊してDNA trapsとよばれるネット状のクロマチンが形成されて高い粘性を獲得し、粘膜は好酸球由来の種々の組織障害性タンパクにさらされ、粘膜は杯細胞化生が進行する。粘膜下ではIL-4、IL-13などにより線維芽細胞からペリオスチンが産生されて副鼻腔炎の鼻茸や好酸球性中耳炎の粘膜肥厚や肉芽形成などの病態が形成される。

教育講演11 乳幼児喘息の病態・診断・治療 東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科 勝沼俊雄先生

Fahy JV NAT MED 2015 ・・・REVIEW
2歳以後は喘息の重症度にかかわらずリモデリングが始まる。(種々のリサーチから)
生食とメサコリンを吸入しても気道収縮を起こさないものは炎症は惹起されない。
気道に圧力をかけるとTGFβ濃度が上昇してくる。
喘鳴がpersistent 、late onset, では約50%が喘息発症する。
early onsetでは 3歳までに一旦喘鳴がなくなってもその後結局喘息発症する。
喘息・非喘息の気道粘膜をこすってライノウイルスを50時間培養するとウイルスがおおいことがわかった。非喘息ではTGFβが分泌がおおく、ウイルス感染の細胞をアポトーシスしてウイルス排除するが、喘息患者では分泌が少なく排除できない。
17q21変異があると、小児期にライノウイルスに感染したら効率に喘息を発症する。
9歳までの喘息発症と環境要因として:以下の要因があると喘息発症が増加する。
 大気汚染は汚染物質が1ppmふえると有意に喘息発症
 ダニ(HDM)感作は3倍、PM2.5 は1.5倍、受動喫煙1.3-2.9倍、カビに感作1.8-2.6倍
 ペットに感作つまり犬1.1倍、猫1.2-4.7倍、ただしペットではリスクは増加しないとする報告もある。
2歳未満の喘鳴の鑑別疾患として、乳児喘息 喘息様気管支炎 GERDなどがある。

API asthma predictive index  ・・・3歳以下の喘息発症予測が可能である。
 喘鳴を繰り返す児の喘息診断インデックス
大項目: 親の喘息、アトピー性皮膚炎、(特異的IgE 1項目以上)
小項目: アレルギー性鼻炎、感冒時以外の喘鳴、好酸球増多4%以上
大1 小2 +繰り返す喘鳴 → 将来76%喘息発症
                    +少なくとも1度の喘鳴→ 将来59%喘息発症

小児には炎症マーカーが少なく肺機能もできない。→ペリオスチンに注目した。
非喘息100、 喘息は130程度
血清ペリオスチン はROCーAUC(0.7)はFeNOと匹敵していた。

治療:
風邪のときに追加治療はどうするか 2歳未満のとき
ステップ2で基本治療はLTRA
日常診療ではホクナリンテープはとっくに貼布されていることがよくある。
そこで親の判断でツロブテロールを貼布し中止する群と、プラセボを貼布する群に分けて1年間観察した。
プラセボ群は2日目が発作点数が最高点となりその後2週間で収束。
ホクナリンテープ群は貼ったその日から点数は減少していく。
ウイルス誘発の乳幼児喘鳴VS経口ステロイド NEJM2009 の報告によると
60ヶ月未満の乳幼児に(プラセボN=344 プレドニゾロンN=343)、PSL10-20mgを5日間投与した研究。→ 結果:軽症から中等症のウイルス誘発性喘鳴発作を呈した乳幼児にステロイド投与の効果は認めなかった。
急性発作の薬物療法プラン
重症発作にサルブタモールの持続吸入とアメリカのガイドラインには記載あるが、イソプロテレノールの持続吸入は日本のみである。GINAには記載すらない。
そこで、サルブタモールVSイソプロテレノールをランダム割り付けして83例を検討した。
イソプロテレノールはサルメテロールに比較して副作用は有意に少なく、サルメテロールは26%も副作用があった。この理由はサルブタモールが吸入でも相当血管内に吸収されるからである。
(目下論文提出)

How to manage 

コントロール不良患者が残っているのが問題である。
最大の問題点はアドヒアランス不良である。
1.コントロール良好がどういうものかわかっていない
     喘息コントロールに対する期待値が低い。
2.一旦症状がよくなると、自分の目的は達したと中止する。
3.毎日服用することで結果的に薬が効かなくなってしまうと考え、やめることで次に症状悪化したときにその方がよく効くのではないかと思っている。
毎日症状がある患者でも、8割の患者は自分の喘息コントロールは良好と答える。
メガネを外して時々かけたほうがよく見える?→患者が服薬の間違いに気づく。
吸入機器の吸入エラーを4000名以上調べた報告では
 pMDIやタービュヘイラーは有意に高齢者にエラーが増える(30%超)。
     息こらえ、吸入速度などが問題として大きい。
また吸入方法が間違うことにより当然コントロール不良となる。
ELLIPTAは非常によいデバイスである intuitive and easy to use

MS21-2 喘息管理におけるFeNOの日内変動の有用性 福島県立医科大学 植松学先生

喘息管理にはFeNOの実測値よりも変化量が有用ではないかと考えられてきた。
ある報告では、喘息患者のコントロール不良例ではFeNOの日内変動が大きい。
FeNOはPiKo-1で再現性をもって測定可能であった。治療介入後2週間でのFeNO日内変動幅のみ有意に縮小しており、短期的な喘息治療の評価に有用な可能性がある。
QaA FeNOは軽度の喘息発作ではFeNOがむしろ低下するようなパラドキシカルな変化をすることがあるが、PEFでは捉えられないような末梢気道変化の影響はどうか。
→まだ発作時のFeNOの報告はないと思われる。今後の検討課題である。
朝と夕ではFeNOは朝が高いと報告もあるが、本研究では特に朝が有意に高値ではなかった。
なぜ日内変動があるのか ・・・まだ不明。

MS21-3 咳喘息・咳優位型喘息に対するVFC頓用療法 三菱京都病院 安場広高先生

step down後の安定喘息か、咳が消失後の咳喘息にICS-LABA頓用使用の有用性を検討した。
頓用使用するとき:風邪気味、咳痰のでるとき、ストレスを感じた時、旅行するとき
定期使用に戻す時:喘鳴・小発作の出現、毎日頓用使用、月の半分以上連続使用、FEV1.0が10%以上低下、FeNOの持続上昇
結果:
咳で初診群は、頓用が可能となる症例がおおかった。
喘息発作で初診群は頓用移行が少なかった。
好酸球性副鼻腔炎を合併した症例は頓用継続はむずかしく全例連用にもどった。
また末梢気道閉塞が明瞭な例では、将来の慢性化、重症化が懸念されるので、ICS/LABAを継続させる必要がある。
QaA
この発表のやり方で、中等度以上の発作はないか
 3ヶ月に1回通院している方
 理解力があり早期に吸入できる方
は、そのような例は認めていない。

MS21-4 成人ダニ感作喘息患者の寝具・寝室Der1量測定における抗原採取法の違いに関する検討 NHO相模原病院 押方智也子先生

小児喘息ではDer1が2μ/g dustで感作し、10μ/g dust以上で喘息発症すると言われている。
掃除機法、テープ法(貼り付ける)、シャーレ法(寝室に2週間静置) により寝具寝室塵を採取して比較した。
掃除機法とテープ法、掃除機法とシャーレ法にダニ抗原量は正の相関を認めた。
Der1量と呼気NOは相関しなかった。
掃除機法・・・寝具のアレルゲン量をみるのによいが、日常の布団の使い方により必ずしも日常臨床を反映していない可能性がある。
テープ法(貼り付ける)・・・就寝時の寝具のアレルゲン量を反映できる
シャーレ法(寝室に2週間静置)・・・約1mに2週間静置 実際に空中に浮遊するアレルゲンを測定できるので有用
結果 テープ法やシャーレ法でもカットオフ値が決定できることが分かった。

MS31-1 低肺機能遺伝子多型喘息患者に対する2年間の高用量吸入ステロイド薬の効果

岩手医科大学 中村豊先生
岩手医科大学通院中の喘息患者をgenotyping しIL-13A/A とSTAT4T/Tの患者を検討。
背景因子は差がないが、IL-13ホモ群A/Aでは有意に肺機能低下している。
BAL液中では、IL-13、IL-23、IL11、GM-CSF ,ヒアルロン酸ではやはりIL-13ホモ群で有意に増加。STAT4ホモ群では差はなかった。
結果 IL-13ホモ群ではhigh dose ICSを投与群では、1年後2年後肺機能が有意に改善していた。
同時にBAL液中のサイトカインも低下。
一方STAT4ホモでは、治療後も有意差なし。
QaA BAL中の細胞分画は両者ともに有意差なし。

MS31-3 成人重症喘息における血清periostinおよびfree IgEとomalizumab反応性との関連 京都大学 田尻智子先生

オマリズマブはTh2反応性が強い例に効果が高いとされる。
オマリズマブ投与前にTh2バイオマーカーを測定した。
治療前の血清ペリオスチンが高値(60ng/ml以上)なものは、オマリズマブは有効性が高い。
free IgE値は低下するほど(変化量が大きいほど)増悪頻度は低下する。
ベースラインのIgE値とオマリズマブの治療効果は有意差なかった。
増悪群 血清ペリオスチンと好酸球が高値。
治療前の血清ペリオスチン、治療後のfree IgE値はオマリズマブの治療反応性を予測する可能性がある。
QaA 1年目で増悪0にならなくても、臨床症状改善がある場合やfreeIgEが低下傾向の場合は2年目に期待できる。

MS31-4 当院における気管支サーモプラスティの治療経験 東京病院 田下浩之先生

東京病院では14例実施している。
平均入院期間2泊3日の予定で平均4日となった。
術後に100%喘息症状は悪化した。
BT後に浸潤影が出現することがある。細菌性肺炎との区別は困難。
QaA 治療中の胸痛はどうか。処置中の頻脈はどうか。
胸痛は2-3例いる。
咳嗽での脈の上昇はあるが、それ以外は問題ない。
QaA なぜ中枢気道の治療で有効なのか
中枢気道の平滑筋の収縮が抑制されるから
末梢血好酸球がBT後に低下する。炎症への影響もある可能性。

MS31-5 BT後の短期的喘息コントロールとQOLの改善について 国立国際医療研究センター 呼吸器内科 小林このみ先生

11例のBT実施症例について検討
AHQーJAPAN によるとオマリズマブでは経済面をのぞくすべてのサブグループスコアが改善していたが、BT後については、経済面を含めてすべてのサブグループスコアが改善している。
とくに増悪因子のドメインでスコアの改善が顕著であったことから、BTは種々の側面の増悪因子による増悪を改善させていると考えられた。
QaA 短期効果では治療介入後にホットするとか、1ヶ月間丁寧に診察するなどの満足感もあるので評価がむずかしい。むしろ3ヶ月や半年後もQOLが維持されるかどうかはどうか。
→今後の検討

MS31-6 BT後の呼吸機能の短期的変化 国立国際医療研究センター飯倉元保先生

患者群は31-5と同じ。(11例のBT実施症例)
BTは3-10mmの気管支に治療を行う。
BT後当日および2日後が最もFEV1.0は低下しその後2週間で回復、呼吸インピーダンスも同様。
フローボリューム曲線ではMMFが改善している。
%FEV1は11例中10例に改善(わずかの改善からかなりの改善まで)。MMFと%V50も10例改善。
R5は7人、FeNOは低下6名・・・一定の傾向は認められなかった。
考察 重症ぜんそく患者に行われたRISA試験では%FEV1がBT後22週で15%改善しているが演者の発表も同定度であった。
QaA 呼吸機能が改善しなかった症例でも症状は良くなった症例はいるか。
いる。息がはきやすくなるとか、寒冷で咳がでていたがでなくなったとか、いわゆる過敏性亢進の症状が改善しているようである。
QaA なぜBT後に平滑筋がへると症状が起きにくいのか。
血管が減る→炎症細胞浸潤が減る という単純なこともあるかも、
ぜひ気道過敏性試験も評価にいれてほしい、とコメントあり。

イブニングシンポジウム6 アレルゲンコンポーネントを用いたアレルギー診断

小児の食物アレルギー診断 NHO三重病院 長尾みづほ先生

特異的コンポーネントIgEが保険適用となったものは以下の5食品である。
鶏卵; オボムコイド
牛乳; カゼイン αラクトアルブミン βラクトグロブリン
小麦; ω-5グリアジン・・・これが高値ならまず小麦アレルギーは間違いない。
ピーナツ; Ara h2・・・これが高値ならアレルギーは間違いない。
大豆; Glym 4・・・成人では大豆陰性でGlym4陽性のことがおおい。4歳以下では大豆陽性でもGlym4陰性のことが殆ど。
小麦とピーナツはコンポーネントIgEを確認して、危険な負荷テストを減らすのに役立つであろう。
3g allergyとimmuno CAPでは多くのアレルゲンでImmunoCAPが値が高いが、小麦については低めなので注意すること。
健常ボランティアにMASTを実施したら、感作率83%、一人あたり6.9個の陽性であった。

アレルゲンコンポーネントを用いたPFAS(pollen-food allergy syndrome)の診断 大澤陽子先生

10歳以上の約9000人(男性2200人、女性4633人)を対象にアンケート調査を実施した。食物摂取後数分以内に口腔症状の発症したことがあるのは10.9%も認められ、女:男=2:1と女性におおい。
PR10とプロフィリンは加熱処理に弱い。
LTPは加熱に強いので全身症状を起こしやすいので注意。
PR10のグループには、シラカンバBet v1、ハンノキAln g1、オオアワガエリPhl p1など。
プロフィリンのグループには、シラカンバBet v1、オオアワガエリPhl p1、ラテックスなど。
LTPのグループで陽性となるものは演者の検討では認められなかった。
     →本邦ではPFASの原因としてLTPはあまり関与していないのであろう。
Bet v1関連の食物アレルギーにはコンポーネントIgEの測定が有用である。
Glym4は加熱に弱いが、豆乳は大量に飲用するからアナフィラキシーを起こしやすいのではないかと言われている。

皮膚科領域とアレルゲンコンポーネントを用いた診断について 藤田保健衛生大学 矢上晶子先生

新鮮な野菜や果物によるプリックテストの感度は非常に高い。一方ピーナツ、ヘーゼルナッツ、えんどう豆などの豆類は低い。
市販のプリックテスト液ではリンゴなどの感度が低い。
特異的IgEでは感度が70%程度と低い。
ラテックスに関しては15種類の主要抗原が判明しており、Hevein(Hev b6.02)が医療従事者のラテックスアレルギーに重要である。
ラテックス粗抗原特異的IgEでは感度は低い上に、ラテックスアレルギーでない方も陽性となりうる。
逆にHev b6.02のみでは19%が偽陰性となる。
 →よって、ラテックス特異的IgE陽性 かつ Hev b6.02の両方が陽性 ならば確実。
 それ以外は、プリックテストやラテックス手袋の着用テストなどで確認する必要がある。
手袋にはゴム硬化剤と加硫促進剤が含まれており、これらに接触アレルギーを起こすことがある。ラテックスアレルギーではないので注意が必要である。
Bet v1などのPR10グループに陽性の人には、これらのグループのすべての食物に注意を払うように説明する。ただし、食べれるものは食べてもよい。加熱→半熱→少量の生食品 と食べてみて大丈夫か確認すること。
ももと豆乳はアナフィラキシーを起こしやすいので注意が必要。
豆乳アレルギーが疑われるときには、Glym4と大豆特異的IgEを両方検査する。
 →陽性ならシラカンバやハンノキも必ず行う。
 →確定診断には豆乳のプリックテストが必要!
豆乳や水分を多く含む豆腐はショックを起こしやすい。もやしも起こすことあり。

シンポジウム15 経皮感作食物アレルギーの最新情報

経皮感作による食物アレルギーはなぜ起こるのか-小児を中心に 国立成育医療研究センター研究所 松本健治先生

1.食物アレルギーの疫学(1)(2)
3.経皮感作
コクランライブラリーによるアレルギー疾患の発症予防のための妊娠中の食事療法は無意味。
イスラエル人は英国人よりも明らかにピーナツアレルギーが少ない。イスラエル人は乳幼児期からピーナツを摂取、英国人は食べさせないキャンペーン中。フィリピン人はピーナツアレルギーはゼロ。
ピーナツアレルギー発症を検討する研究では、ピーナツ摂取しない群のアレルギー発症13%、食べた小児は3.7%。有意に摂食したほうがよかった。
NEJM2016に報告されたEATstudyによると、ピーナツアレルギーの発症は有意に低下していた。ただし牛乳やごまには無関係だった。
BMJ2016:352 にメタアナリシスが報告。加水分解コムギ摂取は発症予防に無関係。
英国人は入浴後に乳幼児に体にオイルを塗る。ピーナツオイルを塗ると有意にピーナツアレルギーが多い。
経口摂取はアレルギーを起こさなくするシステムがあり、皮膚から侵入した抗原はアレルギーを起こしやすくする機序がある!
ピーナツの経皮的は暴露は、予め成立した経口免疫寛容を無効にしてアレルギーを発症させるのではないかと考えられる。
一方で経皮的な抗原投与による免疫寛容を誘導できる(JACI2009 )という報告もある。
乳幼児期の湿疹がある患児では食物アレルギーを起こしやすい。
生後6ヶ月の時点で湿疹の既往があると食物アレルギーを発症するORは5.3である!
フィラグリンの機能消失変異ではなく、湿疹こそが食物に対する感作を成立させる原因である。すなわちアトピー性皮膚炎が感作をおこさせるのである。
アトピー性皮膚炎の紅斑部位ではtight junctionの機能が正常でも、ランゲルハンス細胞が樹状突起を皮膚の表面まで伸ばしていることが判明した。
IL-1αとIL-33 は上皮細胞に初めから蛋白として存在しており、血がでるほど掻爬することで樹状細胞を活性化してしまう。その後の特異的IgE産生に働く。
生後1週間以内にワセリンを塗る群と塗らない群に分けると、塗る群ではアトピー性皮膚炎の発症は防げた(JACI2014)。ただし食物アレルギーの感作は防げなかった。
MS46-5 の発表では、まず皮膚をなおしてその後に卵アレルギーを経口摂取でなおした報告。

成人における経皮感作食物アレルギー 藤田保健衛生大学皮膚科学 矢上晶子先生

感作経路が異なる食物アレルギー
 従来の食物アレルギー
 交叉反応による
 経皮感作による
成人の経皮感作食物アレルギーには以下の2点がある。
 香粧品 加水分解コムギ コチニール色素 大豆
 職業性
・茶のしずくの加水分解コムギによる皮膚感作のアレルギーは3割は皮膚症状なくアナフィラキシーを発症している。その後の経過~ 石鹸の使用を中止後、いずれの重症度の患者も小麦を食べられるようになったが、一部症状あり。
花粉症やADをもっているかどうかは、発症しやすさとは無関係であった。
・コチニール色素などの食品添加物によるアレルギー
保存剤
パラベン
抗酸化剤 
着色剤
コチニール色素・・・マカロン、カンパリソーダ、魚肉ソーセージ、ハム、フランス製マカロンなどに含まれる。
殆どの症例が化粧をする女性。
抗原 CC38Kが一つ同定されているが、コチニール色素には複数の未知の原因物質が存在することが知られている!
コチニール色素における問題点
 遺伝子やタンパク質のシークエンス情報(ゲノム解析)が研究されていないので抗原解析・発見が困難である。
症例 29歳女性
 アイシャドーで接触性蕁麻疹の既往
イチゴ味の饅頭を食べると呼吸苦、膨疹。あんこにコチニール色素、アイシャドーにカルミンを認めた。
・23歳女性
既往歴AD
現病歴 ビールを一口飲んだあと全身に発疹。 受診は四肢と頸部に湿疹(アトピー)。
プリックテストは様々なビールに陽性。
※ADをもっていたことと、ビアホールでずっと働いていたときに手にビールが付着すると痒くなっていた。 アトピー+ ビールの経皮感作
・25歳女性
複数の魚類および白あんの経皮感作による職業性食物アレルギー
19歳寿司屋に修行 →種々の魚にアレルギー反応、和菓子屋に転職→白あんのみに症状発現。
まとめ:
食物アレルギーのみに注目していては感作減は突き止められない
湿潤状態やバリヤ機能が低い皮膚において特定の物質が頻回に皮膚に暴露されると経皮感作が成立する可能性がある。
感作原因を断つと、その後は食事できるようになることが多い。
QaA 手と顔はよく洗う部位でもあり、界面活性剤などの影響もあるのでは
→当然あり。クレンジングをしっかりしていることで皮膚バリア機能が低下し、抗原が皮膚からどんどん入っていったと思われる。
・職業性の場合は、感作原を直接触れずに手袋をすることで防げる可能性が高い。
回転寿司に務めた患者が週に1回冷凍穴子を冷蔵庫から取り出して解凍させるという作業を素手でおこなっていたところ、穴子が食べられなくなった。

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