いびきは「寝ているときに生じる異常な呼吸音」のことです。
いびきには、病気ではない単純いびき症と、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの
病気の場合があります。
体に影響を及ぼすいびきの記事も御覧ください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に気道が塞がり、睡眠中に無呼吸状態が繰り返される病気です。
気道が塞がる原因は、気道・喉・顎・鼻周りの形態的特徴の他、呼吸中枢が関与する場合もあります。
日本人の2~4%、約240万人が罹患していると言われています。
本来は休息すべき時間である睡眠中に無呼吸状態が繰り返されるため、心臓や体全体に大きな負担がかかります。
最近の研究では、高血圧や糖尿病、脳卒中、心臓病など多くの生活習慣病との関連も明らかになっています。
また、日中の眠気が交通事故や労働災害の原因になりかねない危険性もあり、SASは早期検査・治療が重要な病気と言えます。
SASの代表的な症状は以下の通りです。お心当たりの症状がある場合にはお早めの受診をお勧めします。
- いびきをかく(ご自身で自覚がなくても、指摘されたことがある)
- 日中に眠気を感じる
- 朝起きた時に頭痛がある
- いつも熟睡感がない
セルフチェックについて
昼間の眠気評価には、Epworthの眠気テスト(ESS)等が用いられます。
ご自身の普段の様子を思い浮かべて、チェックしてみましょう!
状況 | 点数 |
1.座って読書している時 | |
2.テレビを見ている時 | |
3.公の場所で座って何もしていない時 | |
4.1時間続けて車に乗せてもらっている時 | |
5.状況が許せば、午後横になって休息する時 | |
6.座って誰かと話をしている時 | |
7.昼食後静かに座っている時 | |
8.車中で、交通渋滞で2,3分止まっている時 |
0点 眠くならない 1点 まれに眠くなる
2点 しばしば眠くなる 3点 よく眠くなる
24点満点のうち、11点を超えると眠気は強いと判断されます。
検査について
まず、問診で昼間の眠気の程度やいびきの有無、毎日の睡眠の状況など自覚症状について伺います。
検査は、希望日に小型の機械をご自宅にお届けし、一晩の睡眠状態を検査します。
ご自宅で検査が出来ます。
睡眠中のいびきや呼吸状態、酸素飽和度(SpO2)を調べることでSASの可能性を判別します。
指や鼻にセンサーを取り付けますが痛みを伴う検査ではありません。いつも通りお休み頂けます。
より精密な検査が必要な場合には、近隣の病院をご紹介いたします。
治療について
SASと診断された場合は、症状や重症度、原因に応じた治療法を選択します。
普段の睡眠環境や生活習慣を見直してみることも大切です。
就寝前の飲酒を控え、適度な運動を取り入れるなどできるだけ規則正しい生活を心掛けるようにしましょう。
睡眠薬を服用している方は予め主治医にご相談下さい。
CPAP療法
SASの治療にはいくつか種類がありますが、最も一般的なのが睡眠時にCPAP(シーパップ)という機械を使用する経鼻的持続陽圧呼吸療法です。
CPAPは、陽圧を送り込むことで気道の閉塞を防ぐ装置です。
CPAP治療には健康保険が適用になります。治療中の疑問やお困り事は毎月の外来で主治医にご遠慮なくご相談下さい。
マウスピース
就寝時に、専用に作製したマウスピースをご使用頂く治療法です。
下顎を上顎より前方に出すことで気道を広く確保する治療法で、軽症の場合には適用になるケースがあります。
マウスピースでの治療を行う場合は、作製に慣れた歯科医をご紹介いたします。
外科手術
気道を塞いでしまう部位が明らかな場合、またその部位によっては手術が適用になる場合もあります。
手術が適用になる場合には、専門の医師をご紹介いたします。
外来受診について
SASの検査・ご相談は、当院をご受診下さい。
ご来院の際には、健康保険証と服用しているお薬があれば併せてご持参下さい。